Posted on 2013.02.22 by MUSICA編集部

KNOCK OUT MONKEY、生々しい感情が滾る『reality & liberty』堂々完成

己の深層にある言葉を曝け出し
一層ラウドに、一層鋭利にぶっ放す音塊――
いよいよ心の深奥を開陳した暴れ猿の
本当の自由へ向かう闘いは、ここからだ

『MUSICA 3月号 Vol.71』P108に掲載

■前作『0 → Future』で見せた多様なジャンルのミックス感から進んで、音のハードさや各要素の強度を振り切らせた作品だと感じました。

「そうですね。前回は、『いろんな武器があるよ』って、たくさん武器を作った感じがあったんです。ピストルでも刀でもいけますよっていう。その1個1個の強度を高めた感じがするし、曲と向き合う行為が今回のほうが濃かったと思います。前回はやりたいことが凄く多くて。それを一度詰め込んで、すべて吐き出してから次を考えようっていう感覚だったんです。そのツアーもやりながら制作したから、現在進行形の作品ができましたね」

■曲に向き合う時間が濃かったっていうのは、技術的なことだったんですか? 精神的なこと?

「『0 → Future』をリリースしてからフェスに出たり、ツアーの中でも、僕らをあまり知らないお客さんも集まって盛り上がってくれたり、そういうのは今までになかったことだったんです。それで一気にいろんな情報がワッときて、それを咀嚼していくのに時間がかかったというか。たとえば『フェスに出た次の日に曲を書きましょう』っていう時に現実感がなくなってしまったりとか。そういうスイッチングが多かったんです」

■日常生活と、グッとアガってるライヴの間のスイッチングって、自分のテンションの上下や生活の波とか、精神面の落差とかを正面から見つめるような感じだったんですか?

「そうですね。でも、その感覚がないと曲ができないっていうのは自分でわかっていて。フェスの翌日に目覚めた時、一気に現実に戻ってるわけじゃないですか。寂しいと思う部分もあるし、それが『もう一回出てやるぞ』っていう想いにもなったし。逆に『あの日は楽しかったのに』って落ちる時もあったりして。1日の感覚が全然違ったから、今回は浮き沈みが多かったかもしれない。聴いてみると本音を曝しまくってると思って(笑)」

■今回の『reality & liberty』は、音楽性に変貌があるわけではないけど、変化作だと感じたんです。おっしゃったように、w-shunさんが音楽に注ぐ感情の振れ幅が凄く大きくなってる気がして。

「ああ、そうですね。不特定多数の人が自分達の音楽を聴いていて、そこで聴く人の感情を全部読み取れなくても、もっと自分の根っこを見つめて感受性豊かに日常を見られるようになれば、自分以外の人のこともわかるようになるんじゃないかなって思ったんです。もっと自分達の言葉や、スタイルや、人間性の根っこに向かって掘っていこうっていう感覚で。その中でできた曲達だから、言葉選びも前回とは違うと思う。自分がステージで言葉を吐く時に『人間ひとりのことですら完璧にわからないのに、何百人、何千人のことなんてわかるわけない』って思ってる部分はあって。……人ってわからないものだとは思うんですよ。凄く複雑ですよね。だからこそ、その中で引っ掛かる、シンプルで単純なキーワードを探したいって思ったんです」

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text by 矢島大地

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Posted on 2013.02.21 by MUSICA編集部

FOUR GET ME A NOTS、鮮やかに突き抜けた進化作、その真意に迫る

FOUR GET ME A NOTS、決意の進化!
歌とメロディを研ぎ澄まし、ポップの花も咲かせ、
より広いフィールドへ攻め込む変化作『BLINKS』
メロディックパンクシーンを突き破り、いよいよ登壇!

『MUSICA 3月号 Vol.71』P104に掲載

■メロディックパンクのアグレッシヴさも健在だし、全編通してフォゲミ節と言えるメロディが詰まっているんだけど、もっと大衆的でポップなフィールドにも歩を進めていこうとする、過渡期の作品だと感じました。自分達では、どういう作品になったと捉えていますか?

石坪泰知(Vo&B)「ライヴでみんなが歌えるようなものとか、より聴きやすいものをっていう意識があって。自分達のやりたいことを残しつつ、それが統一してできた感じだと思います。それが、自分達で持ったテーマみたいなもので。ライヴの中で気づいていったことでもあるんですけど、より歌える、より心に響きやすいものを作れたらいいなと思ってたんです」
高橋智恵(Vo&G)「素直なメロディや素直な想いを詰めることが、お互いに共有できたり、一層届いていくことに繋がるんじゃないかな?と思って作れたアルバムだと思いますね」

■おっしゃったように、『ELIXIR』の時も、『SILVER LINING』の時も、ライヴで気づいたことをストレートに作品に落とし込んでいったバンドだと感じてるんですけど、幅広いバンドと共演するようになってきたことでの発見はどういうものだったんですか?

阿部貴之(Dr&Vo)「僕個人は、音楽的な考えが偏っていた人間で。今こそ歌モノのバンドとも一緒にやるようになってきてはいるけど、昔は受け入れられなかった人間なんです。だけど、いいものはいいとちゃんと思えるようになってきたんですよね。実際に幅広い場所でやってみて、いろんなお客さんが受け入れてくれたのが大きくて。それを経験して、素直になれたんです」
石坪「より、お客さんに楽しんで帰ってもらおうっていう気持ちが大きくなったのかなと思っていて。僕らが今までやってきたことって、自分との闘いを見せたり、葛藤との闘いを見せたりしている感じだったんですよね。みんなで共有するものというより、葛藤の様を見せているような感覚だったんです。でも今は、自分達の経験もそうですけど、いろんな人と『楽しい』とか『切ない』っていう気持ちを共有したいって思うようになってきた。それが一層伝わりやすい楽曲やライヴを求めるようになった理由なのかなと思いますね」
高橋「特に意識をしたというよりは、前作から今作に至るまでのライヴの中で、伝えるというよりも、投げかけて返してもらうっていうやり取りをしているバンド達との出会いがたくさんあって。それを純粋に『いいな』って思ったりもしたから、共有っていうテーマに近づいていった感じがします。それもあって、幅広いバンドや音楽性に歩み寄っていった感覚ですね」

■メロディックパンクのシーンの中で頭角を現していく道筋が、ここまでの作品だったと思うんです。その中で歌心とメロディ、歌い切っていくスキルがこのバンドの武器で。そういう意味で、今作は非常にポップな方向に振った変化作ではあるんですが、根本が変わったわけではなく、元々持っていた自分達の資質や武器を際立たせていった結果の進化作だとも感じていて。

石坪「あぁ……言われてみると、そうかもしれないなぁと思いますね。結局、自分達の『3人でできることはこれだ』っていうことがわかってきたから、特別なことをしようとしたとしても『それはやり過ぎだろう』とか、『今ならこれはやれるよね』っていう話ができるんですよね。だから、今言ってもらったようなことなのかなと思います」
高橋「3人が上を向いているからこそ、言ってもらったような特徴を伸ばせていった気はします。自分がやりたいことは広がってくるし、得意とする部分や特徴を音楽の中に上手く出したり、馴染ませられたらいいなと思っていたんです」
石坪「今、より純粋に音楽を楽しめているのかな、と思いますね。余計なことを考えずに歌えているし、楽器も弾けてると思いますね。ずっとバンドを続けてきた中での出会いや、歩んできた人生が表れているんだと思います」

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text by 矢島大地

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Posted on 2013.02.20 by MUSICA編集部

sleepy.ab、2年ぶりの新作『neuron』で、遂にバンドの真髄を鳴らす

闇は光へ、刹那は永遠へ、悲しみは希望へ
やがてすべては繋がり、未来へと向かう――。
2年ぶりのアルバムにして真骨頂。
孤独な生命から広がる、
果てしなく、深淵で、美しき音楽宇宙『neuron』

『MUSICA 3月号 Vol.71』P98に掲載

■前作の『Mother Goose』は過渡期の作品なんじゃないかっていう話をしたんですけど――。

成山剛(Vo&G)「覚えてます(笑)。インタビューの冒頭でパッと言われちゃって。あれから1年くらい『俺ら過渡期だしな……』って口癖になってましたもん。軽いトラウマというか(笑)」

■すみません(笑)。

成山「いや、自分でも引っかかってたところではあったから。そこを突かれた感じだった(笑)」

■でも今回の『neuron』は本当に素晴らしい、スリーピーの新たな真骨頂を見せるアルバムになったと思います。語弊を怖れずに言えば、『fantasia』(2007年、メジャー移籍前に出した4thアルバム)までに築いたスリーピー像を初めて更新した手応えがある。だから今日訊きたいことはひとつだけで、何故このタイミングでこんな傑作ができたのかってことなんですけど。

成山「結局、メジャーには2~3年いたんですけど、今考えると気負ってた部分があったんだなって。別にレコード会社に何か言われたわけじゃないんですよ。『もっとポップにしろ!』とか、そんなこと全然言われなかったんだけど、でも俺はそういう方向に仕向けていってて。何故なら、自分をこじ開けるチャンスだったから」

■そうですよね。だから歌のメロディや歌詞然り、そこにどんなアレンジを施していくか然り、凄く意図的にポップソングとしての在り方を追究していきましたよね。そこで開いたものは、今回の血肉になっていると思うんですけど。

成山「そう、そういう意味ではよかったと思うんです。そうじゃないと“君と背景”みたいな曲はできなかったし。ただ、やっぱり精神的な部分でちょっと勘違いしてたのかなっていうか……『好きなように作る』っていう前提は持ってたんですけど、今思えば、自分達で勝手にその幅を狭めた部分があったんじゃないかと思って」

山内憲介(G)「やっぱりちょっとバランス崩れてたんですよね。やりたいアイディアはあったんですけど、いつまでに作らなきゃいけないとか、そっちが重要みたいになってたし。あと今回作ってて凄い思ったんですけど、サウンドをどんどんマニアックにしちゃっても大丈夫なんだなと思って。それでも、成山の歌が入れば全然ポップに聴こえるんですよね。サウンドとかアレンジをポップっていうほうに寄せていったりとか、そんなことは気にしなくていいんだな、それよりも自分達が好きなこと、面白いと思うことを詰めていけばいいんだっていうことに気づいて」

■まさにそこだと思うんです、今作は。日本ってポップもロックも歌が強いものが大衆性を帯びていくじゃないですか。まぁ世界的に見てもポップソングはそういうものだけど、ただ日本は特にその傾向が強いし、大衆性を意識した時にそこに引っ張られてサウンドがわかりやすいものになっていく、つまり実験性を失っていくことが凄く多くて。でも本来、歌を聴かせることと音楽的な豊かさや面白さを両立することはできるはずだし、むしろ普遍的な歌に新たなサウンドアプローチを当てていくことでポップミュージックの価値観が更新されていく。それこそが本当に美しいポップミュージックの在り方だと思うんです。で、『neuron』が素晴らしいのは、“euphoria”を筆頭に、メロディのポップさを磨きながら、同時にスリーピーならではの音楽的な深みやアート性を豊潤に響かせた点にあって。逆に言えば、ここ数年のスリーピーに足りなかったのはそこだったと思う。

成山「そういう部分はあったかもしれないですね。“euphoria”はできなかったもんね、やっぱり」

山内「うん」

■“euphoria”はスリーピー流ポップの金字塔だと思いますよ。弾けるような飛翔感のあるアップリフティングなメロディも素晴らしいし、サウンドのオリジナリティと遊び心も抜群で。ほんとにね、初めて聴いた時に思わずマネージャーさんに「これをメジャーの時にやればよかったのに!」って言っちゃいましたよ。

成山「はい(苦笑)。単純なことだったと思うんですけどね、でもできなかった。やっぱり俺達はフィールドみたいなものを意識しちゃってたんでしょうね。人と話すのでも、相手によって自分の出せる部分が結構変わっちゃうというか、誰とでも同じように話せないところがあるから。メジャーっていうフィールドにいる時は、それが特にわかりやすく出ちゃってた感じもあって」

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text by 有泉智子

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Posted on 2013.02.19 by MUSICA編集部

The Mirraz、遂に放たれるメジャーファーストアルバム、全曲解説

自分達が闘う場所も、鳴らすべき音楽も、
全ては自らの意志の下に。
溢れんばかりの遊び心と鋭いメッセージを刻んだ
『選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ』。
全曲解説で、The Mirrazメジャー攻勢に賭す!

『MUSICA 3月号 Vol.71』P92に掲載

■メジャーファーストアルバムが完成しましたが、『選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ』というタイトルからして、バンドのこの1枚に賭ける決意が凄く伝わってきました。

「自分達がやってきた音楽の集大成的なものでもあるし、メジャーという場所に来て、それを一番わかりやすい形で出したかったんです。結果的に、作詞作曲の仕方やアレンジ、そして音質という部分でも、聴いてくれる人に対してすべての要素を濁らずに届けることができるクオリティのアルバムを作れたなという手ごたえが今はありますね」

■アルバムを聴いて凄く感じたのは音が格段によくなってるということで。特にヴォーカルに関しては、ひとつひとつの言葉が凄くクリアに耳に入ってきて。このアルバムを作る上でポイントになったことは何かありますか?

「 “僕らは”という曲ができたことが大きくて。この曲がアルバムの中心になるという意識は明確にあったので、そのイメージをいかに広げていくのかを制作中は常に考えていましたね。“僕らは”ってどういう曲なんだろうってことをメンバーで話した時に、なんか宇宙っぽい雰囲気があるよねって話になったんです。だから、今回のアルバムは今までのように洋楽のアーティストの特徴を取り入れて作るというやり方ではなくて、『宇宙』という抽象的なイメージを音にしていくというやり方でした」

■これまでのミイラズって音に関しても、歌詞に関しても、攻撃的だってことを言われていたじゃないですか。でも、今回ってその攻撃的な部分はなくなっているわけじゃないけど、その表現の仕方が凄く変容してきていると思うんです。

「ああ。確かにそこは意識しましたね。今回のテーマのひとつとしてあったのが、曲のイメージを壊さないように言葉を選んで乗せていくということで。歌詞によって曲のイメージが限定されてしまうのが嫌だったんです。だからわざと曖昧な言葉を使ったりもしましたし」

■じゃあその辺も含めて、1曲ずつ伺っていければと思います。

<気持ち悪りぃ>

■この曲の歌詞は不倫がモチーフになっていて、以前インタヴューした時には、たとえば若いリスナーの子達が親の不倫で苦しんでいたとしたら、この曲を聴いて少しでもストレスを吐き出して欲しいという気持ちも込めているということをおっしゃっていて。この曲を1曲目に持ってきたのはどういう意図があったんですか?

「ミイラズというバンドの特徴を一番わかりやすく表現している曲だと思って。歌詞については今話してくれたようなメッセージもあるんですけど、この曲の一番の狙いは、<気持ち悪りぃ>って言葉をいかにキャッチーな歌にして楽しめるものにするかということで」

■確かにこの曲はミイラズの真骨頂的なもので、<気持ち悪りぃ>という棘のある言葉をユーモアを効かせて、ポップなものとして鳴らしていて。でも、こういう曲を作るのってシンプルなようでいて、実は難しいことでもありますよね。

「そうですね。単純に怒りをぶつけて叫んでるみたいになっちゃうと、聴いてる人からすれば、ただ不快なだけなので、メロディやアレンジを上手く使って、面白く聴かせるためにギリギリのバランスで成立させることができたということは、自分の中でも凄く自信になりましたね。そういう意味でも1曲目にぴったりだと思います。あと、実は去年の年末に桑田佳祐さんがラジオ番組の2012年に印象に残った曲という企画の中で、“気持ち悪りぃ”を6位に選んでくれたんですよ。こういうわかりやすい歌をこの時代にやれてるってところがいいよねってことを言ってくれて。そのことで自信にもなりましたね」

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text by 板子淳一郎

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Posted on 2013.02.18 by MUSICA編集部

Base Ball Bear、6つのキーワードからBase Ball Bearの核を成す世界観を炙り出す

ベースボールベアーの10年
ベースボールベアーの今までの22曲と新しい3曲
ベースボールベアーの「青」「檸檬」「黒い長い髪の少女」etc…
「永遠なる衝動と憂鬱」ベースボールベアーの
ターニングポイントを今、語る

『MUSICA 3月号 Vol.71』P84に掲載

■今回のベスト盤リリースは、小出くん自らが言い出したことなんだってね。

「そうなんですよ。『新呼吸』出した後に、レコード会社の人とか、誰か言い出すんじゃねえかと思って待ってたんだけど、いくら待っても誰も言ってこなくて(笑)。で、これは『初恋』出した後かなと思ってたら、やっぱり誰も言ってこなかったから、自分から『ベスト盤どうっすか?』って言った(笑)」

■アーティストから言い出すのって凄く珍しいよね。もしかして引退っすか?

「いやいやいやいや! 全然違うんですけど(笑)。でもいい区切りかなとは思っていて」

■それは、メジャーデビューしてからひと区切りついたなって思ってるのか、もしくは、ここでベスト盤を1回出すことで創作に余裕が欲しいみたいなアーティストとしての本音もあったのか?

「休憩したかったっていうのはないです。シングルも同発だし、曲も変わらず作ってるしね。だから今回、(レコード会社の)ディレクターには『景気づけ』っていう言い方で言ったんですけど(笑)。うちのディレクターはまったく考えてなかったらしくて。『マジで? ベスト盤、出したいの!?』みたいな。『アーティスト側から言われると思わなかった。ちょっと待って、1回揉ませて』って。それで結局、レーベル側も後づけで『出しましょうよ』みたいな感じになったという」

■今回2枚組で合計22曲と、大量に入っているわけで。このタイミングで自分達の活動をきっちり見せたいっていう意志を強く感じるんだけど。

「それはありますね。でも、順番的にはシングルのほうを先に出したいっていう話が先でした。で、シングル出すのにもう1個ニュースが欲しいなって思ったから、『じゃあニュース作ればいいじゃん。ベスト盤出しましょうよ』って言って。それで最終的にシングルと同時リリースになったんです。シングルについては他にも何曲か候補があったんですけど、ベスト盤と一緒に出す意味があるものがいいなと思ったので、“PERFECT BLUE”を選んだんですけど」

■ “PERFECT BLUE”の音楽性も歌詞も、ここまでのBase Ball Bearの世界をひとつ総括している曲ですよね。こうやってベスト2枚にまとめたところで、何を感じましたか?

「ベスト盤っていろんな作り方があると思うんですけど、僕達は初めてのベスト盤だし、ここからBase Ball Bearの第2章が本格的に始まると思っているから、第1章のあらすじ的な機能を持ったものにしたかったし、これからBase Ball Bearを知る人に向けたアイテムにしたくて。だから『シングルとアルバムの推し曲を並べてみようよ』って作ってみたら、結果こうなったという。割と自動的に並べたんですけど、凄く客観的に年表を見るような選曲になりましたね」

■Base Ball Bearのこれまでの流れがよくわかるようになってると思う。こうやって眺めてみて、改めて感じたことってありますか?

「うーん………もっと評価されていいんじゃねえの?っていう」

■目力強いよ、今もの凄く(笑)。

「(笑)。いや、俺、強い曲作ってると思うんですよねぇ。こうやって並べると、そう思いません?」

■常に当てに行ってるよね、シングルははっきりと。ロックのマナーでポップに当てに行くという、明快なルールがすべての曲にある。僕がひとつ思ったのは、とても早熟なバンドだったなということで。明らかに、古い曲であればあるほど渋い。

「はははははは、そうですね」

■で、年を追うごとにだんだん解放されていってるっていうか、無邪気になっていってるよね。

「ざっくり言うと、このベストアルバムは自分が心を開いていく歴史だなぁとは思いますね。曲そのものもそうだし、歌詞もそうだし、歌単体でもそうだし、あとはバンドの成長もそうなんですけど。僕の心のシャッターがだんだん開いていく様子が綴られてるなっていう感じがします」

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text by 鹿野 淳

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Posted on 2013.02.17 by MUSICA編集部

ACIDMAN、遂に辿り着いた『新世界』の全貌に迫る

ただひとつのことを歌い続け9枚目のアルバムに辿り着き、
「今ラストソングをここで歌おう」と放ちながら、
「今日、世界は生まれ変わる」と覚醒する。
太陽の高揚、風の音、光の速さで新たなキャリアと衝動と確信を響かせる
アルバム『新世界』。
アシッドマン、さらに「たったひとつの音」に近づく――

『MUSICA 3月号 Vol.71』P76に掲載

■おめでとう。

「ん? いや、ありがとうございます(笑)。何がおめでとうなんですか?」

■このアルバム。これは近年の中で突出した名作だと思うし、ここからの5年、10年への確かな一歩を踏み出したコンセプチュアルな作品にもなっている意欲作だよね。手応えあったでしょ?

「手応えは凄くありますね。だからそう言っていただけるのはとても嬉しいし、自分の感覚が間違ってなかったんだな、と。まあでも、いいものができてるなっていう実感は最後、曲順を決めるまでは持てなかったですね。今回印象的だったのは、いつもマスタリングが終わって決着がつくと、ちょっと満足いかない部分がポロポロ出てくるんですけど、今回はそういうことがなくて。スタッフも含め全員がちゃんと満足感が得られたんですよね。中でも何がいいって、濃いものができたことがよかったと思う。それは重過ぎるとか粘っこい濃さじゃなく、濃密なんだけど、1曲聴き終わると次の旅に出ちゃう感じというか。その旅は長いし、なかなか帰ってこられない旅だとわかりながらも、また出かけていくような………だから自分でも1個1個、世界がどんどん入れ替わっていくのが楽しかった。そういうアルバムですね」

■近年、バンドが大人になったからなのか、アルバム制作でテンパってる雰囲気がなくなっている気がするんだけど。今回も割とリズミカルに淡々と作れた感じなの?

「いや、そうでもないですよ。いろいろ大変でしたね(苦笑)。でも、煮詰まってスランプになってみたいなことは1個もなかったですね。1曲ずつ明確に世界は見えていたので。あと、今回は佐藤(雅俊:B)くんが作曲にまで踏み込んできてくれたので、それが自分の心の余裕というか拠り所になって、凄く心強かった」

■2年3ヵ月ぶりのアルバムだということも含め、かなり前から作ってた曲も入ってきたんだと思うんだけど。つまり2011年の3月11日以降の自分の中での衝動を音楽としてしたためていったものの総集編という意味合いもこの作品には込められていると思うんです。その辺はどうですか?

「それもありますけど、3月11日以前に作った曲達もあるんですよね。なので、いろんなものが詰まってると思います」

■『新世界』というタイトルは、自分達の結成15年/デビュー10年からの「新世界」でもあるし、今の日本が「新世界」を描かなくちゃいけないというふたつの意志を込めていると思うんだけど。

「そうですね。実は他の候補も考えてたんですけどね。でも、まさに今は時代が変わる瞬間だと思うし、時代が変わるということは、人の価値観が変わるっていうことでもあるし……この『新世界』ってタイトルが自分自身ストンと腑に落ちたのは、マスタリングが終わった時だったんですよ。このアルバムの曲って、どれも同じ瞬間にそれぞれ違う世界で起きていることを歌ってる――住んでる星も空間も次元も違う、ただ同じ時間軸の上にあるパラレルワールドに生きる10人の住人が経験していることを歌ってるんだなということに気づいて。つまり、それぞれの新世界を描いてるんですよね。で、最後の“to gen”ていうのは桃源郷のことを指していて。最後、この歌の主人公である10人が天国というか、桃源郷に集まって満たされるっていう、ハッピーエンドのイメージなんです。“to gen”は、1曲目の“gen to”と対になってるんですけど、これは現当(げんとう)っていう仏教の言葉から取っていて。その言葉には世界の生と死とか、終わりと始まりという意味もあるんです。つまり、そこから始まり、最後は桃源郷で終わるっていう意味を込めていて」

■音を聴いている感触として今回特徴的なのは、バンドで音を鳴らしてるっていう感覚が非常に強いんですよね。その印象は、自分の中で腑に落ちる部分はあるんですか?

「目標とするところまではまだ行けてないですけどね(笑)。でも、その手がかりみたいなものは鳴っていると思います。俺、作曲クレジットをACIDMANとしている以上、本当の意味でそうなりたいってずっと思っていて。だからそれこそ結成した頃から、佐藤くんや一悟くん(D)に楽曲制作にもっと力を入れて欲しいって言ってたんですけど、なかなか上手くいかなくて何年も何年も経って(笑)。でも今回、佐藤くんが作曲に関わり始めてくれたのを含めて、凄くバンドという手応えは生まれてると思う」

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text by 鹿野 淳

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Posted on 2013.02.16 by MUSICA編集部

ASIAN KUNG-FU GENERATION、軽やかに生を祝福する名曲『今を生きて』誕生

今、僕らはこの日々を、この世界を生きている
その小さな奇跡に、
どうか愛と歓びと、祝福を――
『ランドマーク』後、初のシングル『今を生きて』。
音楽に託された想い、そしてアジカンの現在地とは

『MUSICA 3月号 Vol.71』P70に掲載

■まずは、昨年末にファイナルを迎えたツアーの話から訊いていこうと思うんですが。レヴューでも書いたんですけど、明確にライヴバンドとしてのアジカンを更新する素晴らしいステージで。7人体制になったことが大きかったと思うんですが、ここ数年作品の中で目指してきた音楽的な世界観がライヴという場でもきっちり果たされた手応えがありました。ご自分達ではどうでしたか?

喜多建介(G)「最新アルバムの曲は全部やったし、曲順も基本的には作品に近い形でやったんですけども、間に入れていった過去の曲も含めて一貫性があって、ひとつのショーとして凄くやりがいがあるツアーでしたね。毎回終わるたびにミーティングをしたりして、サポートの方々もどんどん自由になっていった感じがあったし」
山田貴洋(B)「本当に楽しく回れたツアーだったんですけど、ただツアー中はそこまでの実感はなくて。もちろん観に来てくれた人のリアクションでよい感じだったことはわかるんですけど、でも最近やっと映像を観て、思っていたよりも見応えがあるライヴをやってたんだなと思いましたね。たぶん今までのツアーで一番よかったんじゃないかな」
伊地知潔(Dr)「僕も凄く楽しかったですね。サポートの方々のおかげでよくなったところが結構大きいんですけど、ただ、そのおかげでいろいろわかっちゃった悔しい反面もあって」

■それって具体的には?

伊地知「やっぱり音楽的にバンドがスキルアップすると、こういう表現したいからこうやってくれ!みたいなことで言い合ってたことがなくなるというか、いろんなことが自然と解決するんですよ。それを今までできなかったのが悔しいなと思って。だからこれを踏まえた上で4人でやれるようになりたいなと思うんですけど」

■全体がスキルアップしたことで、プレイヤーとしても自由度が上がった感じはあったんですか?

伊地知「そうですね。あと隣に僕の師匠(三原重夫/長年アジカンのRECでドラムテックを務めている)がいたんで、迷うことなくできて。三原さんはパーカッションというより、バンドをまとめるような立ち位置でやってくれてたんですよ」
後藤正文(Vo&G)「たとえば、僕がリズム隊に要求したいことを、潔とか山ちゃんにわかるように言語化するのって凄い難しくて。だけど三原さんは僕の意図を汲み取って、具体的な叩き方として潔達に示してくれるんですよね。それは凄く大きかった。俺は『馬に乗ってるような感じでパッカパッカやって欲しいんだよね』とか言うわけですよ。そうすると『ゴッチがまたワケわかんないこと言い出した。この話、早く終わんないかな』みたいな空気になることが多くて」
喜多「なるね(笑)」
後藤「それが三原さんを通すと、『こうだよ、潔くん』と具体的な叩き方を示してくれる。で、潔達も『なるほど、やっとゴッチの言ってることわかった!』ってなる。もちろん、そういう役割も期待して(ツアー)に呼んだんですけどね」

■あ、そうだったんだ。

後藤「はい。三原さんはレコーディングの現場で僕の抽象的な表現をわかってくれる人だったので。だから今回はライヴにおいても潔との間に通訳として立ってもらった。で、上田さんはまた違う役割で、全体的なサウンドにもうひと味つけてもらう役割。本来だと僕が重ねるべきギターのノイズやフレーズがあるんだけど、歌いながらだとそこまで手が回らないので、そこは上田さんに担ってもらって。上田さんも三原さんも音楽の理解力が凄く高いので、僕がやりたいと思ったことをすぐ理解して鳴らしてくれたんで、凄い助かりましたね。僕は自分をヴォーカリストとして解放したかったので、そういう意味でも手応えがあったし」

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text by 有泉智子

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Posted on 2013.02.16 by MUSICA編集部

クリープハイプ、ウナギ昇りに駆け上がる尾崎のさらなる本音、全開!

社会の窓、
ガチで全開
しましたから

『MUSICA 3月号 Vol.71』P60に掲載

■まるで本当に、社会の窓の中で常にくすぶってる「あれ」が、そのまま社会の窓の中で爆発し切ってるような印象を受けた曲なんですけども。

「ははははははは、いいですね、その感じ」

■メジャーに行ってからの自分達の状況を歌にしたっていうところで、これまでのいろんな思いがこの曲に繋がっていったと思うんですけど。

「まず、『おやすみ泣き声、さよなら歌姫』の時にもの凄く時間がない中で、キャンペーンとかもたくさんあって、もう肉体的に本当に疲れ果ててしまったんです。でも、またシングルを出すことは決まっていて、レコーディングの予定もあったんですけど、ちっとも曲はできてなくて。そういう追い込まれた状況の時に、マネジャーから『大変そうだから、もうやめよう。俺がなんとか言っとくから』みたいなこと言われて」

■ん? 締め切りを守んなくていいってこと?

「いや、シングル自体を出さなくてもいいんじゃないのって話してくれて」

■大胆なマネージャーだね、そりゃ。

「ははは、でしょ? だからちょっと俺ムカついて、『そういうことじゃないだろう!』と思って。曲については、ディレクターから『クリープハイプがちょっと遠いとこに行っちゃったと思ってるようなお客さんがいると思うから、そういう人達を安心させられるような部分も入れられたらと思うんだよね』って言われてて、確かにそれも大事だし、その上でさらに攻めに出ていくものにしたいと自分の中では考えていて。だから出したかったんですよ」

■まあ、そういう前向きな尾崎も珍しいから、よかったよね、マネージャーの制止を振り切って曲作りに向かえて。

「(笑)そうかも。そんな時に、『BOROFESTA』っていうイベントにいつもPVとか撮ってくれてる松居大悟と俳優の池松壮亮くんがふたりで来てくれて、ライヴの後に、3人で京都に泊まってちょっと遊んで帰ったんですよ。その時に久しぶりに大阪の西成――凄く刺激的な街なんですけど、そこにみんなで行ったんです。ふたりは俳優と映画監督ですけど、自分と同じような目線で作品を作っている人達で、『こんなもん映画のセットじゃ作れないですよ』って西成の街に感動してくれて」

■西成ってそんなに凄いの?

「ヤバいですよ、ほんとに。東京で言うと、山谷(日雇い労働者が多く住む、通称ドヤ街)みたいな街なんですけど。ふたりが感動してる姿に自分も嬉しくなったし、さらに刺激も受けて。で、東京帰ってきたら、言葉がバーッと出てきたんですよね。それでバンドで演奏してみたら、これが最初は微妙で(笑)。だけど、せっかくこんなに自分の中で大事な言葉があるのにこれを無駄にするのはほんとにイヤだと思って、『頑張ってなんとかしてくれ』ってメンバーに言って」

■時期的にも勝負作だからね。

「それで何回か繰り返してくうちにこの形になっていって。でもこの曲はほんとに言いたいことを言えたし――前から言ってますけど、僕は人に馬鹿にされる前に自分で自分を馬鹿にするのが好きで。それを歌にできたかなと思います」

(続きは本誌をチェック!)

text by 鹿野 淳

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Posted on 2013.02.15 by 鹿野淳

MUSICA3月号本日発売につき、サカナクション巻頭記事の裏ネタをどうぞ!

 今月もMUSICAを読んでくれてありがとうございます。

 今月の表紙巻頭のサカナクションはアルバム完成前のドキュメンタリー、そして巻頭の次にくるONE OK ROCKはアルバム完成前夜の4人それぞれのソロインタヴューと、極めて貴重な第一声インタヴュー特集になっています。

 特にサカナクションに関しては曲名も仮題が5曲もあり、歌詞が出来ていない曲も5曲あり、勿論曲順も決まっていない状態でのインタヴューでした。

 ちゃんとした雑誌をみんなに届けられるギリギリのタイミングまでインタヴューの一部を待ち、それを果たしたのが2月8日の0時から。そして次の日には入稿して、本日発売になりました。

 でも凄いよね、実はアルバム『sakanaction』のマスタリングまですべてが完成した瞬間に同席させてもらったんだけど、それ、13日の25時頃です。つまり、丸5日で、上記したものをすべてクリアしたわけです。

 その辺りの話は来月3月15日発売号で多分やります。
 が、ここでは事実確認として、MUSICAの一郎インタヴューの中での仮題だった5曲が、どんな正式タイトルになっているのか?

★ 仮題“朝の歌”→そのまま本題
★ 仮題“M”→そのまま本題
★ 仮題“ミッドナイトコーヒー”→本題“mellow
★ 仮題“神の子”→本題“ボイル”
★ 仮題“瞬き”から仮題“東京オーケストラ”に変わり、さらに“オルケストラ”に変わりそうだった曲→本題“アルデバラン”

 以上です。

 面白いですよね、こういうのを加味して読み解くと。

 ちなみにインタヴューでアルバムは本編13曲かなという話でしたが、実際には14曲になっています。これは1曲目に“intro”が入ったからです。この“intro”は、出来ればやりたいというもので、必ずしも入る予定ではなかった筈の曲で。これが入った事で、最終局面でどれだけスイッチが入ったのか、どれだけ覚醒したのかがわかるでしょう。

 というわけで、引き続き本日発売MUSICAをお楽しみください。

 写真はマスタリングスタジオで完成直後のサカナクションです。

text by 鹿野 淳

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Posted on 2013.02.15 by MUSICA編集部

MAN WITH A MISSION、2013年さらに化けるオオカミ集団に肉薄する

猛速で日本列島攻略を続けるオオカミ達が、
2013年の命運を一気にキメにきた――
人間以外で初の武道館公演決定と共に放つ
超鉄板シングル『Emotions』。
獰猛なエナジーの裏にあるロックへの鋭い批評眼、
一筋縄では行かない確信犯の頭脳に迫る

『MUSICA 3月号 Vol.71』P52に掲載

■こうやってロングインタヴューをするのは、MUSICAでは初めてなんですよ。

「オー、イェス!」

■というわけで、今日はバンド哲学なども含め、根本的なところから話を伺えればと思ってます。

「ヨロシクオ願イシマス!」

■まずは、2月20日にニューシングルがリリースされますが、これはもう、初の武道館公演も決定してる中で非常に「攻め」のシングルを切ってきたなという印象なんですけれども。

「オッ、アリガトウゴザイマス!」

■特に表題曲の“Emotions”はエモさ、アグレッシヴさ、ドラマチックさっていう3つの要素をそれぞれに押し進めながらひとつの楽曲の中に共存させた、かなりの鉄板ソングですよね。2曲目、3曲目の振り幅も含め、MWAMとしてさらに世の中に攻め込んでいこうという姿勢が明確に見えるんですけど。ご自分ではこのシングルについてどんな位置づけをされてますか?

「今、私ガ言イタイコトノホトンドヲ言ッテイタダイタヨウナ気ガスルンデスケド(笑)。マズ表題曲ハ、オッシャル通リ、ヨリドラマチックナモノヲ強クメザシマシタネ。音ヲ聴クコトデ、視覚的ニモ明確ナモノガ見エテクルヨウナ、ソウイウアプローチヲ心掛ケマシタ」

■音色にしても展開にしても、エモーショナルかつスケールが大きな景色を誘発していくフックが見事に盛り込まれてますよね。音から立ち上がるイメージが非常に鮮烈といいますか。

「ソウデスネ、オッシャル通リダト思イマス。特ニ音トイウコトデハ、以前トハレコーディングノ形態ソノモノヲ変エマシタノデ、ヨリ鮮明ニナッタノハソコガカナリ起因シテイルト思イマス」

■レコーディングの形態を変えたというと?

「エンジニアサンモ、ギターテック、ベーステックトイッタ方々モ、音周リヲ録ッテクダサル方々ガ全員替ワリマシテ。簡単ニ言ウト、以前ハPCデ音色ヲカナリ作ッテタンデスケド、ソレヲ一切ゼロニシテ、スベテ生音デコノ音色ヲ鳴ラシタンデス。ソノタメノ専門的ナチームト一緒ニヤッテ」

■音像がここまで解像度高く、ダイナミックになったのはその成果なんですね。音自体のパワーと表現力が上がってますもんね。

「オー、イェスイェス! ココモ挑戦ノヒトツダッタノデ、ソウ感ジテクレテ嬉シイデス!!」

■で、2曲目の“Take What U Want”は、ホルモン以降のこの国のラウドロックの個性と面白さをMWAM流に昇華した曲であり、そして3曲目の“アカツキ”は、ロックリスナー云々を超えて万人にアプローチする壮大なポップアンセムで。この辺の幅の広さに、MWAMの業の深さを感じるんですけれども。

「イェス! 我々MWAMハ、曲数ガ多カロウガ少ナカロウガ、1枚ノ作品デMWAMノ世界観ノホボスベテヲ網羅デキルヨウナ作品ヲ必ズ完結サセルトイウノガ元々モットーノヒトツデモアリマスノデ。ソウイッタ意味デハ、攻メノ姿勢ヲ打チ出シツツ、我々ノ本質的ナ姿勢ソノモノヲ忠実ニ具現化デキタ作品ニナッタト思イマス」

■おっしゃる通り、一番最初のミニアルバムからずっとラウド/パンクからポップまで幅広い楽曲を盛り込んでらっしゃいますけど、これはどういう考えから始まってるんですか?

「僭越ナガラ根本的ナオ話ヲサセテイタダキマスト、我々自体ガ、モチロン特化シテ好キナジャンルトイウモノハ当然アルンデスガ、音楽ソノモノガ非常ニ好キデ。何カヒトツニ絞レト言ワレテモ、逆ニソッチノホウガ難シイト言イマスカ。ソモソモ音楽ソノモノガ―――」

(続きは本誌をチェック!)

text by 有泉智子

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