
ポップへの挑戦、己との闘いーー
星野 源がそのすべてを懸けて生み出した
とんでもなく光り輝く金字塔『Stranger』。
くも膜下出血という大病を越え、
こんなにも力強く生命を歌い鼓舞するアルバムと共に
私達の元に戻ってきた星野 源。
星野 源という魂がすべて刻まれたアルバム完成を祝し、
全てを語り明かす保存版巻頭特集を送ります!
▶このインタヴューはやっぱり、この言葉から始めさせてください――おかえりなさい。
「ありがとうございます。ただいま戻りました」
▶はい。本当に、本当によかったなぁと思ってます。心から嬉しい。
「ふふふ。ね。僕もよかったです」
▶そして、アルバム完成おめでとうございます。これはもう、お見事な最高傑作誕生です!
「おお、ありがとうございます! 凄く嬉しい」
▶というわけで今日はこのアルバムのことを深く訊いていこうと思いますが、まずは最初に、療養中のことを。既にラジオなどでも経緯はお話されてるので、訊きたいことはひとつなんです。それはやはり、死というものが実際に自分の身に降りかかるものとして目の前に迫る体験をされて、何を感じたのか、自分の中で何かが変わったのかということなんですけど。
「そうですね、どう話したらいいかな…………………まず、倒れる前が、もうその時点で凄く辛かったんです。仕事も凄く忙しかったし、精神的にも本当に苦しくて。…………音楽制作の中で自分が掲げるハードルがもの凄く高くなってたんですよね。去年1年間は、シングル3枚の中で1個ずつ自分の目標を掲げて、それを必ず超えようという意識で作り続けていったんですけど」
▶まさにそうでしたね。
「その流れのままアルバムの曲を、主に年末に集中的に作っていったんですけど。やっぱりシングルを踏まえた上でもっと面白いものをっていうか、もっともっと!っていう気持ちでアルバムを作っていたから、前と比べると自分の納得のいくラインみたいなのが相当高いところにあったんですよね。なので、それをやり切るために、本当に死に物狂いで曲を作り、レコーディングをし、音1個1個にこだわっていって……その中で、やっぱり凄く自分を追い込んでしまってたんですよね。セルフプロデュースっていうのもあって、人への頼り方がよくわからなくて。それでも妥協は絶対にしないぞ! もっともっと!ってやっていて。しかも、(アルバム作業で)一番時間が必要なところで他の仕事のピークもきてしまって………お芝居も、あとは文章も」
■『働く男』も作ってましたもんね。
「そうですね。あと『そして生活はつづく』の文庫版の直しもあったり、連載もやってたので、まぁ寝る時間が全然なくて。とはいえ性格的に『これはこれでいいや』とはできなかったので、ちょっとノイローゼみたいになっちゃってて………ちょっと頭おかしかったと思いますね。もう最後のほうは、集中するあまり孤独感みたいなところにハマってたし。……冷静に考えれば、その都度みんなが手を差し伸べてくれていたんだけどね。でも、それも見えないぐらい没頭して、ひとりきりの作業というか、己との闘いをずーっとやっていたので。なんていうか……………言葉が難しいんだけど、非常に寂しかったんですよ」
(続きは本誌をチェック!)
text by 有泉智子
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