indigo la End & ゲスの極み乙女。同時メジャーデビュー。
両バンドを率いる張本人、川谷絵音の才気に迫る
『indigoとふたつやってます』ってこと、『ゲスの極み乙女。』っていうバンド名……
そういうファッション的なところばかり理解されてる感覚があって。
もっと自分を出してもいいんじゃないかって思ったんです
『MUSICA 4月号 Vol.84』P.62より掲載
■この取材、紙資料が2枚あるんです。迷惑な取材ですよ(笑)。
「ははははははははははははは!」
■非常にトリッキーかつ、コンセプチュアルな同時発売という形で自らがフロントマンを務める2バンドがメジャーデビューを遂げることになりました。どうですか、この上ない快感って感じですか?
「ぶっちゃけ最初、indigo la Endのやつは、普通にインディーズで出すつもりで作ってて、レコーディングが終わる時まで何も話さなかったんですよ。それが同時発売にしたほうが面白いんじゃないかっていう話があって、乗っかろうってなったんですよね」
■じゃあ相乗効果を狙う戦略みたいなものはなかったんだ?
「むしろ僕は同時に出すことでの弊害のほうを考えていたんで」
■どういうこと?
「やっぱり如実にふたつで差がついちゃったりとかって絶対あると思うし、それって結局自分ひとりのエゴでやってる感じが出てくるというか……他のメンバーに対する悪影響のほうが自分の中ではデカくて。でも実際考えてみたら、ふたつ同時に出すのは面白いし、嫌な部分に勝るものがあったのでやろうかなってなりました」
■そもそも川谷くんの中では、メジャーの話がきたこと自体はどう捉えてたんですか?
「そもそもゲスは、去年3月に最初のアルバムを出した次のライヴには、もうメジャーの人が来ていたんですよ。だからゲスがメジャーに行くのは必然的で。ただ、僕の中でゲスとindigoは全然別に考えてて、indigoはインディーズでもいいかって考えてたんですよね」
■音楽性とかの話は一旦置いておいて、川谷くんが言うこのふたつのバンドが別物っていうのはどういう位置づけなんですか?
「そもそも、僕はindigoを先に真剣にやってて、ゲス自体は遊びで始めたものだったから……本当に最初は、仕事と趣味みたいな位置づけで。でもゲスはふざけててもいいものができるバンドだって気づいて、自分のモチヴェーションは今はどっちも五分五分くらいで」
■ただ事実として、どんどん上手くいっちゃって集客とアンセム度を爆発的に伸ばしているゲスっていうバンドがあって。元々自分の中で真剣にやっていたindigoというバンドとは、どういうバランスで保たれてんですか?
「バンドとしては完全に分かれてはいるんですけど、曲作りの中では分かれていないというか。だから今回も同時に出す2枚のアルバムを合わせて、自分のフルアルバムみたいな状態になってて」
■まさにまったく同じことを、リスナーとしても感じました。でも2バンドをフロントマンとして両立していく中で一番下世話なところを訊いてしまうと、どっちが本妻/愛人みたいな話もあるんじゃないかなって思ってしまうんだけど。
「(笑)元々僕はindigoをがっつりやってて、ゲスは遊びだった分、ゲスのメンバーは僕にindigoの活動はあるものだと思ってて。あとは、全部僕が曲を作ってて、バンドの支配率が割と100パーセントなところがあるから、なんとかなっているというか。だからガッツリ僕に何か言い返してくる鬼嫁のようなメンバーがいたら、もしかしたら上手くいってないのかなって思いますね(笑)」
■ははは、この飄々とした感じでバンドでイニシアチブを完全に握っているっていうのが凄く不思議なんですよね。
「自分では意識してないんですけど、深くつき合っていくと、徐々に人の心を支配していく感じがあるらしくて(笑)。本当はそういうのを眺めてるのが好きなタイプなんですけどね」
■今現在、indigo la Endとゲスの極み乙女。とではモチヴェーションは五分五分と言っていたけど、自分の中では時間とかストレスとか喜びとか全部含め、ちゃんと平等にいこうっていうことは気をつけてやってるんですか?
「完全にスケジュール自体が半々になってて。もう考える暇もないんで……とにかくやることをやろうっていう感じですね。今年の1年はもうサイボーグみたいな感じで生きようと思ってるんですけど」
(続きは本誌をチェック!)
text by 鹿野 淳
『MUSICA4月号 Vol.84』