Posted on 2012.12.18 by MUSICA編集部

デビュー10年、遂に勝利への道を歩き始めたクリープハイプ、尾崎世界観の1年を聞く

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時代が求めたのか、時代を引き寄せたのか。
今年、負けっぱなしで辛酸を舐め続けた日々からの大逆転劇を演じた
クリープハイプ・尾崎世界観の混乱と幸福に満ちた1年を紐解く

『MUSICA 1月号 Vol.69』P56に掲載

「やる気まんまんですよ、今日の取材。だって鹿野さんが褒めてくれるって聞いてますよ?」

■はは。今回は2012年のイヤーブックとなる号で。ロックバンドがロックバンドとしてあるべき姿でもっとも活躍した新進気鋭なバンドとしてクリープハイプに登場願いました。まあ、もう10年もやってるし、いまさら新人扱いされたくない感じだろうけど。

「そんなことないですよ、いつまで経っても褒められたいですから。ただ去年、12月発売号のMUSICAを隅々まで見たんですけど、クリープハイプの名前が一切出てこなかったのが許せなくて。写真とかはいらないからせめて……」

■もの凄く目が据わってるね、今。

「だって必死ですから。で、『さすがに今年名前が出てこなかったらおかしいですよね? 俺はMUSICAに殴りこみますよ』って話をしてて。そしたら次の日にこの取材の話がきて、『よし!』って思いましたけどね(笑)」

■お待たせしました。今年はいろんな意味で本当にバンドにとってのターニングポイントとなった1年だと思うんですが、まずざっくりと振り返ってみてどうですか?

「いろんなものを手にして、いろんな扉を開けて……とにかく開けっ放しにしてるなっていう感じがしますね。CDをリリースすることも、ライヴの規模とか、フェスに出たこと、あとはいろんな雑誌に出て発言したりとか……。で、来年は本当にいよいよ中に入っていく感じなのかなって思ってますね。変な話になりますけど、コンビニでバイトしてる時に冷凍庫が壊れて、アイスが全部溶けて、廃棄処分にすることになって、片っ端からひと口ずつ食って捨てていったことがあったんですけど……その感覚ですね。雑な言い方すると(笑)。そういうふうにいろんなものを食って、ひと口ずつ食べて、『あぁこれ美味い(までが今年)。次(来年)は買って全部食おう』っていうことです。まぁ……中にはまずいものもありましたけど。でも、やっぱり全部必要だなと思いましたね。そういうふうに扉が開くってことは凄いことだと思うし、そこで『これはよくないから』っていうわけにはやっぱりいかないですよね、責任として。その結果、これまではただ攻めて手に入れていけばよかったんですけど、これからは手にしたものを守っていかなくちゃいけないなって感覚になりましたね」

■尾崎の中でまずかったアイスっていうのは、たとえばたくさんプロモーションしなくちゃいけなくなったこととか、これまでよりもたくさんの人にクリープハイプの音楽が届いたことで逆に、世間が捉えている尾崎の表現やイメージと実際に自分自身が考えているものにギャップが生じたことでストレスを感じることもあったっていうこと?

「そういう部分もありますね。あとは、実際にスケジュールがきつくて」

■こんなに働く自分がいるとは思わなかった、と。

「びっくりしましたねぇ」

(続きは本誌をチェック!)

text by 鹿野 淳

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