サカナクション、遂に生まれた最高傑作『sakanaction』! 完成までの生々しき全吐露、および最速第一声をここに!
サカナクション一世一代の挑戦状『sakanaction』、
最速第一声インタヴュー!
ポップでありながら唯我独尊、表裏一体の音と言葉――。
さあ、稀代のポップアルバムが生まれるまでの
ドキュメンタリーを、
今のロックバンドとしてのアティチュードを、
どうかここから感じてくれ
■今日は1月27日です。
「………ヤバいね」
■時間がないね。街はバーゲンと新年会でもの凄い盛り上がりを見せてますけど、この部屋だけは静かだね。
「そうだね、静かっすね。この部屋はずっとこういう感じだからね。“ミュージック”が生まれた時だってそうだったし。……でも『ミュージック』がリリースされてわかりましたね、あの曲からアルバムが始まったんだって。そもそも“ミュージック”はアルバムリード曲のつもりで作ってた曲だし、シングルとして機能性のある“僕と花”と“夜の踊り子”の真逆にアルバムとして成立する曲を作ろうとしている、そのちょうど中間に立つ感じの曲だから。自分達が何やろうとしてるのかと、バンドの根源が詰め込まれてるんだよね。サカナクションっていうバンドはいったいなんなのかっていう、自分達が無意識に歩いてきた、目指してきたものがわかってきた中でできた曲だし」
■それは“ミュージック”の中にある、どうしようもなくダンスミュージックなんだけど、どうしようもなく歌が歌われてる、そういうこと?
「そう。あのね、“僕と花”からちょっと制作方法変わったんですよ。具体的に言うと、トラックが全部完成してから歌詞書くっていうやり方。要するにメンバーがレコーディングするのに言葉のガイドになるものが一切なくて、ラララだけで歌ってるものに対してアレンジ進めていくから、自分達の中で勝手にストーリーを作るんですよ、音を出すために。それででき上がったオケを聴いて今度は俺が歌詞書くから、みんなのイメージを俺が代弁するっていう流れになってたんですよ。“僕と花”も“夜の踊り子”もそうだし、今回のアルバムの曲も全部そうだから」
■なんでそういうやり方をしたかったの?
「わかんない。……たぶん歌詞で本当に悩み始めたのは“エンドレス”からだと思う」
■一昨年の夏からか。
「うん、振り返るとね。“エンドレス”の書き方って、ひとつ自分の中で発明だったんだよ。風景描写する歌詞とか情景描写する歌詞っていうんじゃなくて、時代を描写する歌詞、それを目指して書いてできた曲だから。それが自分の中でもすとんと落ちたっていうか、ハマったっていうか。それができちゃったぶん、凄い難しくなった。……あの歌詞の価値観ってさ、サカナクションじゃなくて俺なんだよね。完全なる俺の価値観。メンバー全員あれかっていったらたぶん違うもん」
(続きは本誌をチェック!)
text by 鹿野 淳
『MUSICA 3月号 Vol.71』のご購入はこちら