BIGMAMA、歓喜と笑顔の全国ツアー仙台公演を親密に密着
喜びや楽しみは全て君のもので
悲しみや苦しみは全て二人のもので
その笑顔やその涙が何よりも愛しくて幸せを映し出す――
そんな奇跡のような軌跡を残しながら進むツアー「ライブ・イズ・ミルフィーユ」。
数々の想いが駆け巡る仙台にて完全密着。
街の中心にあるRensaには13時に入るということだったが、金井から「昼ご飯でも食べませんか?」というお誘いを受けたので、ちょっと早く仙台に入り、石巻港直送の寿司屋に入って、ほどほどにつまむ。彼らは前日に新潟でのライヴがあり、その終演後に車で4時間夜走りをし、27時前に仙台入りしたそうだ。その新潟で金井は大好きな名物「タレカツ(薄い豚のカツに甘辛い醤油タレを染み込ませて食べる丼)」をひとりで食べに行ったのだが、夜走りの弁当がまたタレカツで、その動向を読めなかった自分を反省しながら、寿司を食べている。疲れがないことはないだろうが、とても元気だ。しばしツアー中のグルメ話に花が咲き(ちなみに金井は、長崎グルメが大好きで、あそこの餃子にはほっぺが落ちるらしい)、そのままRensaに入った。
かっきーこと柿沼(G&Vo)、リアド(Dr)、安井(B)、そして真緒ちゃんこと東出(ヴァイオリン)の4人は既にライヴハウスに入っていて、勝手気ままにいろいろやっている。ツアーも中盤を過ぎ、じたばたするより、リハーサルで問題点があるかないかを判断し、本番までのテンションをどう上げていくかにかかっているようだ。スタッフ楽屋で談笑したり、廊下で身体を柔らかくしたり、リアドは楽屋でゴムパッドを叩いたり、それぞれのペースでリハーサルまでを過ごしている。リアドが「仙台、好きなんですよ。割と早い頃、客が10人いなかった頃からやらせてもらっていたし、思い出に残っているライヴも多いし。……今回、初めてこのRensaがソールドしたんですよね。こうやって目に見えて成長しているのがわかると嬉しいですよね」と嬉しそうな表情で話す。
金井がドサッと紙の束を僕の目の前に置く。よく見ると、「色校」だ。さっき寿司屋で「今、本を作っているんです」と話していた、その色校だ。
肌触りのいい紙をペラペラとめくっていくと、とてもパーソナルな、もしくは独特の空気感のある時間の止まっている写真が並び、その下には過去のいろいろな曲の歌詞やエッセイのようなメッセージが綴られている。これはツアーファイナルの東京ドームシティホールで特別に販売するものらしいが、単なるグッズとして作ったというより、ここまでの自分の心象風景をまとめることによって、次の世界を見据えたいという考えの下に綴ったものらしい。
「ここまで5枚のアルバムを作ってきて、毎回毎回いろいろ考えながら、それでもひとつの世界を追求してきた気がするんです。でも、もうこれ以上進めないかもって現実的に思うし、何よりも今バンドの調子もいいし、ライヴも人がどんどん増えている。こういう時期に、これから先を長く見据える何かを求めるのは悪くないかなと思って。そのためにもまずは今までを総括して、それをみんなに楽しんでもらえたらという気持ちの本です」
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text by 鹿野 淳
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