Posted on 2013.07.13 by MUSICA編集部

クリープハイプが満を持して放つ『吹き零れる程のI、哀、愛』。 フロントマン尾崎世界観が掴んだ、「手応え」と「決意」。

尾崎世界観の『吹き零れる程の、I、哀、愛』

『MUSICA 8月号 Vol.76』P.18より掲載

■名作誕生、おめでとうございます。

「はい、ありがとうございます」

■またしても全曲すべて素晴らしい、デビュー以来1曲も捨て曲がないという実績を更新するアルバムが生まれました。

「『い い曲が入ってるな』とは毎回思うんですけど、今回は特に『いい曲をちゃんとやりたい』っていう気持ちがあったんで。なんか、(メジャーでのアルバムの)2 枚目で微妙になる感じは嫌だなと思って(笑)。そういうバンドっているじゃないですか。ファーストはよかったのに、2枚目で冒険を始めて崩れてくってい う……そうはなりたくないなって。だから今回は『いい曲をちゃんとやりたい』って、凄く思ってて」

■(メジャー)1枚目で注目を浴びたからこそ、2枚目は冒険をせず「クリープハイプ」というイメージをきっちり守って作って、その上で3枚目でバーンと勝負作を作ろうとしてるってこと?

「い や、全然違います。それはないです。そういうんじゃなくて、単純にいい曲を作りたいし、あと『俺ら変わらないよ』って言いたいという気持ちはありました。 ――きっと聴いてくれる人からしたら、サウンドに新しい何かを取り入れてだとか、そういうのはクリープハイプに対してはあんまり欲しくないと思うんです よ。僕がリスナーだったらそうだから。そこは気を遣ったというか…………上手く説明できないけど、安心して欲しいっていうのはあったんです。曲自体もよく なってるし、僕らは間違った方向には行ってないって示したかったというか」

■なるほど。でも、僕はこのアルバムは大変化作だと思ってるんですよ。

「あぁ……」

■前作のメジャーデビューアルバムは、メジャーに行った証を“オレンジ”という1曲できっちりと記したアルバムだったと思うんですけど。

「はい、そうです」

■今回は、自分達がいい曲を作っていけばどこまででも大きくなれるんだっていう気持ちがアルバム全体に行きわたった、非常にポップな装いで、今までのクリープハイプの閉塞感を覆す名作だと位置づけてもおかしくないアルバムに意図的になっていると思っています。どう?

「うー ん………曲に関しては、本当に凄くいい曲ができていると思うんですけど。今回、自分が曲を作るタイミングにも恵まれてたと思うし。自分の中にあるものと自 分がやろうとするものが、凄くタイミングよく開いていったというか……」

(続きは本誌をチェック!)

text by 鹿野 淳

『MUSICA 8月号 Vol.76』より