Posted on 2013.12.16 by MUSICA編集部

9年ぶりの革命的問題作のすべてを語る
銀杏BOYZ・峯田和伸 超ロングインタヴュー敢行!

エンターテイメントがドキュメントを
食い潰すところを見せてやりたいと思った。
そのカタルシスをもう1回作り出したいんだ。
今はみんな裏側を見ようとするけど、そこに真実
なんてない。真実は作品の奥にあるんだよ

 

『MUSICA 1月号 Vol.81』P.72より掲載

 

 ■2011年の6月、いわきでのライヴの楽屋で会って以来になりますね。あの時もレコーディング中で、「あともうちょっと」って言ってて、そこからさらに2年半経って。でも、もっとやつれたりしてるかと思ったんですけど、むしろちょっと若々しくなったくらいな感じて安心しました(笑)。憑きものが落ちた感じというか。

「うん、今は元気ですよ。ようやく終わったからね」

■でも、デビューアルバムからちょうど9年ということは、峯田くんの年齢でいうと、27歳から、この号が出る頃には36歳になってるわけで。僭越ながら自分に引き寄せて考えてみるとね、27歳から36歳の間に起こる出来事って、なんというか、すべてがそこにあると言ってもいいくらいの時期で。

「一般男性だったら、仕事の面で言うと稼ぎ時だよね(笑)」

■うん。稼ぎ時っていうか、働き盛りってやつですね。あとはまあ、感受性でいうと10代がピークかもしれないけど、人生的にはその時期にフルコースが来がちですよね。セックスをいっぱいしたり、結婚したり、子供ができたり。

「その9年間に何やってたんだっていう(笑)。アルバム2枚かよっていう(笑)」

■もちろんね、その期間も、ある時期まではシングルも何枚か出してきたし、ライヴもやってましたし、映画とかにも出たりしてたわけだけど。でも、まずはどうしてアルバムに9年かかったのかっていうところから訊かざるを得ない。

「実際はね、アルバムに向けてのレコーディングが始まったのが2009年くらい。だから、制作期間4年間ってところですね。録ってはボツにして、また録り直して。たった1個のギターフレーズを撮るのに4日かかったりとか、ずっとそういう状態だったから。その過程で、メンバーも抜けちゃったしね。メンバー4人がずっといいコンディションでやれてればまたちょっと違ったんだろうけど、そうはいかない状況がいろいろあって。本当にね、気がついたら大晦日が来て1年が終わってたりしてね。もちろん早く出さなきゃっていう焦りはあったり、今はレコーディングが終わったので言えますけど、スタッフからは『本当に大丈夫か?』みたいなのもあったと思うけどね。でも、敢えて寝かせてとかは一切ない。これが最短コースだったの」

■2011年6月30月の東北ツアーのステージでは、当時のMUSICAでもレポートしましたけど、今回のノイズどっぷりの音楽的アプローチをすでに披露してましたよね。つまり、あの時点で、今作をどういう作品にしようかっていうのは明確に見えていたんですよね?

「そう。ギターノイズっていうのは、レコーディングの初期段階から始めてたことで。あの時のライヴでは、それがどれだけステージで再現できるかっていう挑戦でもあったんだけど。正直、観にきてくれたいわきのあたりまではかなり試行錯誤してたんだけど、ライヴをやるうちにだんだん固まってきて、最後のほうは凄く手応えがあったんですよ」

■そっか。いや、いわきのライヴも相当なインパクトでしたけどね。あの完成形を4人でやってるところを見ることができないと思うと、それは本当に残念です。

「…………うん」

■地下に潜ってレコーディングを続けていた4年の間も、基本的には峯田くんも普通の日常生活を送っていたわけですよね。

「あのね、スマートフォンというのを持ったんですよ」

■う、うん(笑)。

「それがね、まるっきり違う世界で。僕、パソコンを持ってないんですけど、スマートフォンって、まぁ検索とかが早いんですよ」

■うん、知ってる(笑)。

「その画期的な商品をゲットして、生活がちょっと変わり始めて。結構大きかったな、それが。エロ画像とかね」

■でも、あの画面の大きさで興奮する?

「いや、それを見てオナニーするとかじゃないの。そういうのとは違くて、ずっと見てると、だんだん麻痺してくるんだけど、それでも探すんですよ、ベストショットを。で、100枚くらい見てると大体1枚くらいあるんですよ、ベストショットが。それをどんどん貯めていってね、こないだ1万枚超えました」

■ってことは、分母は100万ってこと?

「そう。100枚探して1枚ですよ。それで、今度その1万枚の中からベストを選んでいくんですよ。100分の1の確率で選んだ時は最高だと思うんですけど、そうやっていいのばっかりを集めてると、そのうちそれもだんだんちゃちく見えてきてしまう。なんなんだろう、この現象はっていう。それで、その1万枚の中から100枚をまた選んでいくっていう、そういう毎日でしたね」

■えっと、今、脱線話として聞いてましたけど、それと同じことを自分のバンドでもやってしまっていたという、的確な比喩でもあるんじゃないかという疑惑が(笑)。

「そう」

■100テイク重ねて1テイクっていう。

「うん。次から次へとね、どんどん気になることが出てきちゃって」

 

(続きは本誌をチェック!

 

text by 宇野 維正

『MUSICA1月号 Vol.81』