Posted on 2014.04.14 by MUSICA編集部

2度目の病気療養を経て帰ってきた星野源、
2年ぶりの全国ツアー『星野源の復活アアアアア!』
福岡市民会館での公演に完全密着!

 

 

MUSICA 5月号 Vol.85P.42より掲載

 3月15日(土)。冷たい雨が降り注いだ前日の寒さから一転、この日の福岡は綺麗に晴れた空に恵まれ、穏やかな春の陽気に包まれていた。

 ご本人よりも一足先に会場入り。昨年50周年を迎えた福岡市民会館は、しっかりした大小ふたつのホール(星野がライヴを行うのはもちろん大ホール、約1800席ほどある会場)の他にも様々な講習などができるような練習室が備えられている、いわゆる地元密着型な市民会館で、会場に足を踏み入れた瞬間から、なんというか、市民に愛されてきた歴史と共にどこか温かなフィーリングを感じる会場だった。楽屋エリアも、真ん中に小さな中庭があって、そこに柔らかな光が射し込み、ポカポカとした日溜まりを作っている。静かに、穏やかに、日常と非日常が隣り合う空間だ。

 13時54分、星野が会場に到着。楽屋口で出迎えようと外に出ると、車から星野が降り立ち、ピースしながらこちらに向かってきた。大きなマスクをしているのであまり表情は見えなかったけど、目は笑っていて、身振り手振りで「おはよう、今日よろしくお願いします!」みたいな気持ちを伝えてくれる。―――そうなのです、この日の星野さんは、リハと本番のステージ上以外はひと言も「声」を発しませんでした。もちろんそれには理由があって。実は、初日の大阪公演が終わった後に声が嗄れてしまったらしいのだ。そのため、ライヴで100%の歌を歌えるように、ステージ以外の場所では声を使わない、つまりちゃんと声帯を休ませようというわけだ。ちなみに、ツアー中になるべく声を使わないように心がけたり、ウィスパーヴォイスで会話したりというヴォーカリストは結構多い。みんな万全の状態でステージに臨むために、様々な努力をしているのです。

 というわけで、本日の星野とのコミュニケーションはバックエリアから打ち上げまで、メンバーもスタッフも、もちろん私も、オール筆談。ご本人持参のノートとペンでサラサラと書いて答えてくれたり、あるいはタブレットの筆文字アプリを使って筆文字な会話をしたり、あるいはスマホのメール画面を駆使したりと、いろんな形でコミュニケーションしました。「せっかく密着なのにすみません」と言う(書く)星野にツアーの調子を訊くと、「いいです! ただ喉だけ心配。楽しくライヴしたいし、念には念を入れてなるべく喋らないようにしてるの。やっぱり喋らないのが一番いいみたいだから」とのお返事が。体調を崩したことによる喉ケアではないことがわかって、ひとまず安心。声を発しない以外はとても元気そうだ。

 星野が会場入りした20分後の14時15分から、サウンドチェックが始まった。まずはバンドによるサウンドチェックから。今回のツアーメンバーは、ドラムに盟友・伊藤大地、ベースに伊賀航というお馴染みのメンバーに加え、ギターに長岡亮介(ペトロールズ、ex.東京事変)、ピアノ/キーボードに野村卓史、キーボード/マリンバ/フルート/ピアニカ/コーラス等に石橋英子を迎えた、星野も含め6人編成。野村はSAKEROCK初期メンバーであり、武道館公演も共にしているが(武道館のアンコールで、ニセ明の扮装をした星野が野村に「俺はお前と武道館に来れて本当に嬉しいぜ!」と言った瞬間にグッときた人も多かったはず)、長岡と石橋は共にライヴをするのは初めて。長岡とは“ギャグ”や“地獄でなぜ悪い”のレコーディングを共にしているけれど、石橋とは完全なる初共演である。

(続きは本誌をチェック!

 

text by 有泉智子

MUSICA5月号 Vol.85