Posted on 2014.04.17 by MUSICA編集部

ART-SCHOOLアルバム『YOU』発売企画:
ありそうでなかった初の親密対談
木下理樹(ART-SCHOOL)×佐藤(きのこ帝国)

 

木下「正直言って、『ロンググッドバイ』を初めて聴いた時は、
凄く落ち込んだ。このバンドには勝てないって。
だからもう、ただのファンですね」

佐藤「木下さんのように、ミュージシャンとして真っ当な姿勢を貫いたまま、
ずっと一線で活躍しているっていうのは、
バンドにとってひとつの理想像ですね」

MUSICA 5月号 Vol.85P.114より掲載

 

■理樹くんと佐藤さんは、もちろん対バンなどでは面識があるわけですが、意外にも、こうして対談をするのは初めてなんですよね?

木下理樹「うん、初めて」

佐藤「そもそも、ふたりだけで話したことはないですよね」

木下「うん。大体、3人とか4人とか」

■その時はどんな話をしたんですか?

木下「割と真面目に音楽の話ばかりしていた記憶がある」

佐藤「ホントですか?(笑) 木下さんは、いつも疲れているイメージがあって。ご飯、食べてんのかな?みたいな(笑)」

■また痩せたよね。

木下「ヤバいね(笑)。もう、単純にストレスで痩せていってるだけですよ」

■今はART-SCHOOLのニューアルバム『YOU』を完成させたばかりだけど、曲作りはまったく楽しいものじゃない?

木下「地獄の中にいるような感じでしたね」

■作品を完成させた直後は毎回言ってますよね?

木下「ちょっとね、今回は期するものがあったので、これまでとは違うレベルでキツかった。以前はプリプロで消耗してたりしてけど、この作品は曲作りの段階からかなり根を詰めてたから。ちょうど曲を作ってた去年の9月頃は、毎日バンドを辞めたいと思ってましたね」

■佐藤さんは、曲作りでそこまで根詰める時はありますか?

佐藤「私の場合、結構ギリギリまで『できないなできないな』ってうんうん唸って、ギリギリになってわーって作ったりすることが多いですね。作り始めたら意外に早いけど、そこまでが大変というタイプです」

■じゃあ、ソングライティングをしていて、ここまで不健康な状態にはならない?

木下「『ここまで』って、失礼な(笑)」

佐藤「自分はどちらかと言うと逆で、曲作りをしないでダラダラしてる時のほうが錆ついてる感じで、ちゃんと曲を作り始めることで、ようやく身体に油が差されるみたいな。作ってない時のほうが、ご飯食べなかったり、寝なかったりして、ボロボロになってたりする」

■佐藤さんは、『YOU』を聴いてどのようなことを思いましたか?

佐藤「とにかく凄くよくって、嬉しかったんですよ。友達でも先輩でも後輩でもそうですけど、音源を貰うことって多いんですよ。でも、知り合いだけに、聴く前は内心結構心配というか、自分的にピンとこなかったらどんな感想言おうって悩むんですけど」

■よくわかります(笑)。

佐藤「だから、貰ってもなかなか聴かない音源とかもあったりするんですけど(笑)。でも、今回の作品を聴いてみたら、『全然心配いらなかったじゃん!』と思って。『むちゃくちゃいいな!』って。まず、音の立ち方がいいっていうのは大前提で、歌のエディットっていうんですかね? 録音されている歌の質感が凄くよくて。今までの作品もそうだったけど、これは最高級にいい歌の録れ方なんじゃないかなって個人的に思って。歌がいいと、聴く側は難しいことを考える必要がなくなるんですよね。普段ロックを聴かないような人も、聴いたら一発でいいなっていうのが直接伝わってくる、そういう作品だと思います」

(続きは本誌をチェック!

 

text by 宇野維正

MUSICA5月号 Vol.85