Posted on 2014.10.15 by MUSICA編集部

ゲスの極み乙女。――今最も新しい日本の音楽シーンの顔、
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Section 2. メンバー3人初インタヴュー

休日課長「最初の頃は『ちょっとスタジオで遊びません?』
みたいな軽い感じで、ふわっと始まったんです。結束してたわけでもないし」
ちゃんMARI「っていうか、バンドっていう概念もそんなになかった(笑)」
ほな・いこか「私は事後報告でバンド名を知らされて、
『何言ってんだ?』って思いました」

『MUSICA 11月号 Vol.91』P.33より掲載

 

■(冒頭略)この4人が出会ったのが2015年の5月で。

ちゃんMARI「はい、初めてスタジオに入ったのが2012年の5月です。対バンしたのが、その前の年の7月だったかな? マイクロコズムとindigoとCrimsonで一緒にやって」

いこか「そうだ。その前から対バンはしてたんですけど、元々知り合いで。私、Crimsonは観たことなかったんですよ。で、下北沢ERAの店長と『Crimsonってバンドめっちゃいいよ』っていう話をしてながら、7月に下北沢でERAで、マイクロコズムの企画で、課長がいた頃のindigoとCrimsonと他3バンドぐらいに出てもらって。全員が会ったのはそこが初めてだと思います。でもその頃には課長、辞めるって決まってましたよね? だから、ラスト2回か3回ぐらいのライヴみたいな感じでしたね」

■最初にゲスのゲの字が出てくるまではどういう流れだったんですか?

ちゃんMARI「そっからTwitterでいこかさんが川谷くんと――」

いこか「そう。私はもう1個ぐらいバンドやりたいなって思って。いろんな人とスタジオ入ってみたいなって思って、『バンドやりたいな』ってつぶやいていたら、『やろうよ』って川谷さんからリプライが返ってきて。しかも『課長連れてくよ』って言ってくれて。そのまま半年くらいは何もなかったんですけど――半年後にindigoのライヴがあって、ベースが課長から変わって、女性の方が入った初めてのライヴで。それを観たいなって思って観に行ったら、そこで本当にやろうよって話になって、『じゃあ、課長連れてくよ』って話に再度なって。本当は3人で入ろうとしてたんですけど、元々ちゃんMARIともバンドやろうよっていう話に偶然なって、もうひとりと3人で何回かスタジオ入ったりしてて。でもそれが自然消滅しちゃったので、ちゃんMARIも誘ってみようと思って、『キーボード連れていきます』って言って。それで4人で下北沢で入ったのが最初ですね」

■そこでセッションやったの?

いこか「ちょっと音合わせただけなんですけど、しっとりした歌モノみたいな感じの曲をやってて。『まぁ……楽しかったねぇ』みたいな感じでしたけど(笑)」

■全然楽しそうじゃないね。

課長「そんな楽しそうじゃない感じだったね(笑)。『ご飯どこ行こう?』みたいな」

ちゃんMARI「うん。ご飯が楽しみでしたよね(笑)」

■課長は、絵音くんにどう口説かれてそこに行ったの?

課長「『ちょっとスタジオで遊びません?』みたいな軽い感じですね。当時は働きながら、地元のおじさんとかと一緒に小学校でライヴやったりしてて。『バンド続ける?』みたいな話も別になかったんで、ふわっとした感じでしたね。しかも、最初、ほな・いこか来なかったんですよ、ご飯に。もうその瞬間ガッカリですよ」

■は?

いこか「そうそう、用事があって行けなくて(笑)。……バンド名って、1回目から決まったんだっけ?」

ちゃんMARI「その時のスタジオに入った後のスパゲッティ屋さんで、『バンド名どうする?』みたいな感じになって。『せっかくやるし、なんかつける?』みたいなノリで。それが私の持ってたトートバッグがネタになって決まったってやつなんですけど(笑)。本当に冗談で、『これは?』とか言ったら、『いいじゃん』って川谷くんがなって」

いこか「私は事後報告でメールで知ったんで(笑)。『何言ってんだ?』って思いましたよ(笑)」

課長「正直、僕は後ろ向きでしたね。でも、川谷がそう言ってるし、逆らえないなって……」

一同「はははははははははははははは!」

ちゃんMARI「『本当にこの名前でやるのかな?』って思ったよ(笑)」

課長「でも、あの時後ろ向きなこと言わなくてよかったって思う」

いこか「でも、言っても変わんないですけどね。私、1回『いや、これはなくないですか?』とか言ってたんですけど、2回目のスタジオの時に入った時には決まってたから(笑)」

■当時はこのバンドに魅力とか未来を感じていた人はいたんですか?

いこか「私は特に……」

ちゃんMARI「っていうか、バンドっていう概念もそんなになかった(笑)」

課長「確かに。結束してたっていうわけでもないもんね」

ちゃんMARI「全然他にやりたいこといっぱいあったし。たまに息抜きする感じでスタジオに入るのが楽しいなっていうぐらいでしたね」

■当時のみんなにとって、川谷くんはどういう存在だったんですか?

課長「結構人の強みを引き出すのが上手いっていうか。しかも、本人が気づいてないところを拾って、それを育てるみたいなところがあると思います。他のメンバーに対しても、ちゃんMARIのいいところとかほな・いこかのいいところを上手いこと引き出していて、凄いなと思います」

いこか「元々indigoとマイクロコズムっていう知り合い方をした時から、やっぱ違う感じがしたんですよね、その界隈の中で。indigoのことは結構好きだったんですよ。曲ができるスパン早いし。『今日は新曲しかやりません!』みたいなライヴとかあったりして、『1曲もわからない! でもカッコいい!』みたいな(笑)。『バンドやりたいな』って言った時、まさか返事が来ると思ってなかったので、『やった!』みたいな。その時は本当に友達っていう感じだったんですけど、こんなセンスある人と一緒にできて嬉しいなって思いましたね」

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text by 鹿野 淳

『MUSICA11月号 Vol.91』