Posted on 2014.10.17 by MUSICA編集部

SHISHAMO、メンバーチェンジのあり得ない顛末
宮崎朝子の独白と3人全員インタヴューですべてを語る

Interview with 宮崎朝子

松本を含めた3人でやってきた青春が終わったんだなって思ったんです。
だから青春的なものとは違う次元に入っていかなくちゃいけないし、
ここから、いろんな人の期待に応えるために頑張らなきゃいけない

『MUSICA 11月号 Vol.91』P.86より掲載

 

■今年は初めて夏フェスに出て、バンドのステージが着実に上がっていることを実感したんじゃないかと思うんですけど。

「ステージが上がっているというよりは……今年初めて夏フェスに出たんですけど、『SHISHAMOを観に来ている』っていう人がたくさんいたのがびっくりして。夏フェスって、アーティストというよりもイベント自体を大事にしている人もたくさんいると思うんですけど、そういう人達にも受け入れられてるんだっていうことは凄く実感しました。最初は他のステージでやられている人も気になったんですけど、やってみて、『そんなに引けをとってない』と思えて。高校生の頃は、暑いのは嫌だし人ごみも嫌いだったから、『夏フェスに行く人の気が知れない』っていうくらいだったんですけどね(笑)」

■その「行く人の気が知れない」と思っていた人が自分達のライヴで楽しそうに盛り上がってる景色を見て――。

「いやぁ、『夏フェスなんて』って思ってた私が間違ってましたね(笑)」

■懺悔か(笑)。自分自身も楽しめたし、バンドの音楽もそういう場所で楽しんでもらえたっていうことが凄くよかったんだね。

「はい。でも、やっぱりそれは“君と夏フェス”っていう曲のおかげだなって思いました。たとえば、大阪のFM802のチャートで“君と夏フェス”が5週連続1位になったと先に聞いて、でもその凄さはあまりわからないままRUSH BALLで“君と夏フェス”をやったら、やっぱり圧倒的に盛り上がったんですよね。ラジオって凄いなぁと思って」

■ラジオが凄いなぁと言うのもいいけど、その盛り上がりの49%がラジオのおかげだとしたら、51%は“君と夏フェス”という曲の凄さでしょ。

「うーん……でもあの曲って、割と狙って作った感があったと思うんです。元々は『夏に勝っていくための曲』っていうより、ただ『夏の曲を作ろう』っていうだけだったんですけど。……私は友達が全然いないんで、『夏』と言っても誰かとどこかに行けるわけでもないから、今の自分に近い『夏』といえば夏フェスかなと思って、曲を作るための題材としてフェスを使った感じなんです……現に、この夏もフェス以外、どこも行けなくて(笑)」

■バンドとしてどんどん忙しくなってるってことだ。

「はい。最近の大体は、CDジャケットの絵を描いたり、曲を作ったりばっかりですね。特に最近は絵を描くことが多くて。だからずっと引きこもったまま忙しくて、何もしない時間がないし……休みたいです。ただ、今は休んだ瞬間に何か取り返しのつかないことになるんじゃないか?っていう恐怖があって、それと闘ってる感じなんですよ」

■それはどういう気持ちなの? デビューして1年が経とうとしている今、不安はどこにあるの? それはどういう夢があるから生まれるものなの?

「元々、デビューした頃から何かを夢見てやってきたわけではないし、本当に流れに乗ってるだけなんですよ。だけど今は、とにかく目の前のお客さん、聴いてくれる人と触れることが凄く多くなったんです。そういう機会が増えたことで、『夢を見ているからやっている』っていうよりは、『そういう人がいるんなら、やってもいいんだ』と思えているというか……。ただ、目標があったわけではないからこそ、この状況を『満たされている』とは思っていないんですよね。……やっぱり、私は凄く用心深いし、人が本当に私のことを好いてくれてるのか、信用できないところもあって」

■その用心深さって、実は宮崎の全部の歌の根本にあるものだよね。それは自分で気づいてるの?

「ああ、ほんとそうだと思います。だけどお客さんは本当に素直に私の曲を好きでライヴに来てくれるじゃないですか。だから疑いようがないし、今は人に対して少し欲張りになったかもしれないです。相手に求めることが多くなったというか。だから結局、そこが満たされないと、私は人を突き放しちゃうと思うんですよ。そうすると、どんどんひとりになってく感じがするんです」

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text by 鹿野 淳

『MUSICA11月号 Vol.91』