Posted on 2015.01.15 by MUSICA編集部

KANA-BOON、初の表紙大特集2本立てインタヴュー①
完全覚醒を果たしたニューアルバム『TIME』
メンバー全員全曲解説!

飛躍と核心のセカンドアルバム『TIME』
メンバー全員Track by Trackインタヴュー

『MUSICA 2月号 Vol.94』P.20より掲載

 

■今回は初の表紙を飾っていただきます。

全員「ありがとうございます!」

谷口鮪(Vo&G)「古賀、なんか強い(笑)」

飯田祐馬(B)「テンション上がってる(笑)」

古賀隼斗(G)「上がるやろ、そこは!」

■(笑)前号の鮪くんのアルバム第一声インタヴューに続き、今回は『TIME』を1曲1曲紐解いていこうと思うんですが。まず、このアルバムに対する感想や手応えを、こいちゃんから。

小泉貴裕(Dr)「2014年はいろいろ悩んだ時期もあって。ドラムも凄い頑張ったし、音楽について考える時間も2013年とは比べものにならないぐらい多くて。そういうことを全部アルバムに詰められたなって思います。この1年で曲の中に自分の考えを入れていく形でドラムを叩けるようになったし、気持ち的にもいろんなものをそれぞれの曲に対して表すことができたので、全曲満足のいく出来やなって思います」

飯田「僕も、ほんまに凄いアルバムができたなって思っていて。2014年はシングルを4枚出したんですけど、その4曲はやっぱり凄い強い曲やって思ってて。だからシングルだけ強いアルバムも嫌やなって思ってたんですけど、曲ができていくにつれて『あ、この曲達なら大丈夫や』っていう自信が生まれたし、シングル曲もちゃんとアルバムの中で役割を果たしてるなって思えたし」

■“シルエット”の取材で、飯田くんは『DOPPEL』を超えるアルバムを作りたいって言っていて。あの時は佳境で、あとは鮪くんが歌詞を書いて歌を入れるだけという状況だったと思うんですけど。

飯田「そうですね。歌詞が入ってないサウンドだけでも凄くいいなって思ってたんですけど、歌詞がデータで来た時に『もの凄いアルバムになるぞ』って思いましたね」

■歌詞はデータで先に来るんだ?

飯田「あ、データっていうか、歌録りが終わった後に歌入りの音源データが来るんで」

古賀「俺、歌詞に関してはこの資料(取材用の資料)を持って帰ったで」

谷口「持って帰ったんや(笑)」

古賀「持って帰るやろ。で、家で読んで」

■そういうのって、鮪くんに感想伝えるの?

古賀「伝えないっす」

飯田「でも、3人で車に乗ってる時とかに『あれ、いいよな』って感じの話にはなるよな」

■たとえばどの曲?

飯田「1回、『確かに愛にまみれてんなぁ』みたいな話にはなりましたね」

古賀「そうそう、“愛にまみれて”は――」

飯田「今日の古賀、グイグイ来んな!」

古賀「だって、まみれてるとこを言いたいねん! でもわかった、順番待っとくわ」

飯田「ははははは。でも鮪って、前までやったらこういう自分の面をあんまり見せなかったと思うんですよ。前は『俺はこう思ってるけど周りはこう思ってる。まぁ別にいいけど』みたいな歌詞やったんですけど、“愛にまみれて”みたいな曲だけやなく、アルバム通して見ても『このままじゃいけない、みんなでなんとかしていこう』みたいな、外に向いてるなって凄く感じたし。なんか凄い正直になったなって思います」

■そう言われて鮪くん、どう思います?

谷口「一番近くで見てる人がそう思うなら、そうなんかなって。もちろん、自分自身が変わった意識は凄くありますから……人に合わすってことをしないようにはなりましたね。歌詞書く上でも、『自分が変わったからそれでいい』じゃなくて、自分が変わったからこそ、周りを変えていきたいって気持ちも強くなったし。自分の中で起きた変化をどんどん外に表現として出していこうっていうのは、このアルバムで新しく生まれた部分で」

■それが今作の芯と感動を強くしてるよね。で、お待たせしました、古賀くんはどうですか?

古賀「凄い成長したアルバムやと思うし、やっとバンドマンらしいアルバムができたなって思ってて。今まではフレーズに耳が行ってたんですけど、今回は音質にも耳が行くアルバムやと思います。音楽好きな人だけじゃなくて、楽器を好きな人達にもちゃんと聴かせられるアルバムやなって思いますね。どれを取っても胸張っていいって言えるギターフレーズが、胸張っていいって言える音質で入ってる。そこはめちゃくちゃこだわったし」

■古賀くんはこの1年、音色にも凄くこだわりながらギター表現を追求してきたもんね。

古賀「はい、その成果は出てるなと思います」

■鮪くんは、前号の取材は本当に録り終わったばかりだったけど、あれから1ヵ月経ってみて、このアルバムに対してどんな感想を持ってますか。

谷口「曲順含め、なるべくしてこのアルバムになったって思いますね。あれからずっと聴いてるんですけど、当然『できたことが嬉しい』っていうのもあるけど、いち音楽として聴いても全然飽きない、何回も何回も聴きたくなるアルバムやなって思うし、前半から後半への流れもグッとくるし……本当にKANA-BOONっていうものを前よりもちゃんと詰め込めるようになったし、それがより一層伝わるものになったなって思いますね」

■それでは、1曲1曲訊いていきましょう。

全員「よろしくお願いします!」

 

1. タイムアウト

 

■ど頭のヘヴィかつアグレッシヴなドラムのフィルからしてガツンと来る、重心の低いタフなバンドサウンドで押していく曲で。このストロングな始まりは『DOPPEL』の1曲目が“1.2. step to you”だったのとは好対照だし、この1年で音自体でちゃんとロックバンドとしての意志と衝動を表すバンドになったことを証明する曲でもあるよね。

古賀「作ったのは結構昔やね」

飯田「昔って言うても今年やろ。5月くらい?」

谷口「うん。この曲は全然アルバム想定で作ってないんですよね。本当に発散というか、スタジオの合間にノリで作った曲で。あ、自分達の中でリフ押しブームが来てた頃じゃない?」

飯田「そうや。“結晶星”ではやらなかったリフ押しのカッコよさをやりたかった頃や」

谷口「でも自分的には、サビを『ウォ~ウォ~』だけでぶち抜くっていう珍しい曲ですね。こういうサビで歌っていうものを歌わない曲って今までなかったし、割と新鮮な曲が1曲目に来てる」

■「ウォ~ウォ~」で攻めていくのもそうだし、楽曲自体も、こういう完全にバンドサウンドの強さで突破していく曲っていうのは珍しいよね。

谷口「リズム隊の強さがドンと前に出てますね」

小泉「この曲は、作った段階では始めのフィルがなかったんですよ。でも鮪に指摘されてレコーディング直前に考えて入れて。そしたら、レコーディングで録った時にカッコよ過ぎて。自分で言うのもなんですけど(笑)」

(続きは本誌をチェック!

text by 有泉智子

『MUSICA2月号 Vol.94』