Posted on 2017.10.19 by MUSICA編集部

夜の本気ダンス、才気煥発な一撃となる
アルバム『INTELLIGENCE』リリース!
新作で示した新境地をメンバー全員で語り尽くす

踊れるとか、そういう前につく言葉はいらなくて。
僕らは純粋に「ロックバンド=夜の本気ダンス」
って言ってもらえるところを目指してる。
変化球の挑戦をしてるわけではなく、ストレートを投げてるんです

『MUSICA 11月号 Vol.127』P.124より掲載

 

■このターム一発目のシングル『Without You / LIBERTY』を聴いた時から予感はしてましたが、これは完全に覚醒感のある、過去最高のアルバムになりましたね。今の手応えを教えてもらえますか?

米田貴紀(Vo&G)「制作の期間がタイトで、結構目まぐるしい感じやったんですよね。夏フェスとも重なってたし。その中で楽曲を作ってレコーディングして――というか作りながらレコーディングして(笑)、やっと完成した感じで。だから最初はあまり客観的にも聴けなかったんですけど、今はようやく落ち着いてきて、どういうアルバムだったのかがやっと各々わかってきた感じだと思います。前作の『DANCEABLE』と聴き比べてみると全然違うなと思うし」

■米田くん的には前作との一番の違いはどこにあると思ってますか?

米田「前作は結構狭い範囲で曲を作っていた感じがあって、その円がグッと広がった感じがするというか。もちろん前作もあの時にできる一番大きな円を作れたと思うんですけど、でもこのアルバムと比べるとかなりの差を感じますね。実際、楽曲のヴァラエティという点でいろんなことに挑戦したし。シングル3枚でいろんな方向に目標を決めてやっていったところが、アルバムにもちゃんと繋がってるかなって思いますね」

西田一紀(G)「制作期間が短いってこともあって、楽曲の制作も刹那的に行われたんですよ。だからこその危うさとか脆さみたいなものが、かえって楽曲をロックミュージックたらしめているような感覚がありますね」

■それはとてもわかります。実際、スリリングな焦燥や、だからこその爆発力が強く宿ってる曲がこのアルバムの色を作ってると思うんですけど。それにしても、そんなにも制作がタイトだったの?

西田「タイトでした。作って、米田くんが歌詞書いて、録って、フェス出て……っていう繰り返しの中でやってたんで。大変でしたね」

■ということは、客観的に曲を捉えて構築しながら進むっていうよりも、その時その時の瞬発力で作っていく感覚のほうが強かったんですか?

米田「あ、まさに。瞬発力っていうのは凄くありましたね。その場の閃きを採用することが大きかったかもしれない」

■マイケルくんと鈴鹿くんはどうですか?

マイケル(B)「米田が言ったヴァラエティにも繋がるんですけど、シングルでいろんな一面を出してこれたっていう流れがあった上で、いざアルバムを作るってなった時に各々が今までになかったところを開けた感じはあったのかなって思うんですね。僕自身、今までは割と同じリズムを繰り返す楽しさに重きを置いてたんですけど、今回はそれだけじゃ応用の効かない部分も要求されたんで。そこに対して、昔の自分だったらどうアプローチしたんだろうとか、今までの自分を顧みながら新しいことに挑戦できて。前作から1年半の間に得たものも出せたし、逆に今まではバンドで出せてなかった部分も出せたところもあって……そういう、過去の自分と今の自分を上手いこと混ぜ合わせてアウトプットできた感じがしてますね。まぁ時間的に本当に大変だったんで(笑)、正直、やってる時はどうなるんだろうって思ってたんですけど、こうやっていろんな方に音源を聴いてもらって話してる間に、自分の手応え以上に確信に近づいてる感覚があります」

鈴鹿秋斗(Dr)「今の状態で聴いてももちろんいい曲だと思うんですけど、まだまだ育てられる伸びしろのある曲達だなってことも同時に凄く感じてて。たぶんここからライヴやっていく中で、もっと育てていけると思うんですよ。もっと楽しめる余白がある感じがするというか」

■それってつまり、このアルバムを作っている間に自分自身もバンドもどんどん進化してる感覚があった、だからこそ、この曲達をライヴでモノにしていく過程でもっと広げられそうだっていう予感があるということ?

鈴鹿「夜の本気ダンスって基本は米田がやりたいことをバンドとして表現するっていう意識なんですけど、その米田が表現したいことが広がってきたことによって、自然とバンドも自分も広がっていってるっていう感覚ですね。そういう意味では確かに成長してるのかなとは思いますけど」

■このアルバム、1曲目の“Call out”は2分くらいの、短いんだけどスリリングなスピード感のある攻撃的なロックナンバーで。で、このまままずはカッ飛ばしていくかと思いきや、2曲目で早くもBPMをグッと抑えて、粘るグルーヴでクールに踊らせる“Eve”を持ってきてて。この冒頭部からして、夜ダンが以前とは違うモードに入っていることを感じたんですけど。

米田「“Call out”が先にできてて、その後“Eve”ができたタイミングで『この2曲は繋げたら面白いんちゃう?』みたいなことになって。で、どっちかのキーが半音低かったんですけど、それを無理矢理上げてでも繋げたい!って思って。だから、“Call out”が1曲目やから自然と“Eve”が2曲目やなって感じだったんですけど……確かに今までだったら1、2曲目は攻撃的な楽曲を入れていくのがセオリーだなって自分でも思ってはいたんですよ。でも今回はもっと自由に、周りをあまり気にせず、自分がワクワクすることを追求しましたね。自分が好きなバンドのオマージュだったりも入れてるし。それこそ1曲目と2曲目が繋がってるのも、アジカンの『君繋ファイブエム』の1、2曲目のほぼ繋がってる感じが昔から凄く好きで。完全にそこからのオマージュなんですけど――」

(続きは本誌をチェック!

text by有泉智子

『MUSICA11月号 Vol.127』