Posted on 2018.01.20 by MUSICA編集部

メロディが冴えわたるシングル『ロトカ・ヴォルテラ』、
3月発表のアルバム『Rainbow』収録予定の4曲も入手し、
KEYTALKの根幹を求め、小野&首藤とじっくり語らう

全員同い年っていうのが凄い大切で。急激にブレイクするわけではなく、
僕らはちょっとずつ進んではしっかりコケたりもしてきて。
そういう活動が、今のこの関係性を作っていったのかもしれない(小野)

『MUSICA 2月号 Vol.130』より引用

 

(冒頭略)

■今回のシングル、この『ロトカ・ヴォルテラ』っていうタイトルは食物連鎖のことですよね。

首藤「はい、食物連鎖の増減を示す方程式みたいなものです。実はそれ自体を理解はしてないんですけど、元々響きのカッコいい外来語を探してるうちに出会った言葉で。仮歌詞はなんとなく書けたところで、曲タイトルになり得るようなワードを探していて、食物連鎖をメタファーにしたら面白い歌詞が書けるんじゃないかってとこでこのタイトルが閃いて。そういう人間の内に秘めてる内情を歌詞にしたっていう流れでつけました」

■さっき今日だけクリスマスとして限定公開されてるビデオを観たんですけど、珍しくこのバンドとしては、モノクロームでシャープなものになっていて。言ってみればダークなイメージの曲になっている。着ている服も全部真っ黒だし、これはどういう気持ちの表れなんですか?

首藤「いろんな曲を作ってきた流れの中で今回は黒っていう色がきたっていう感じで。これもただこういうモードだったというか、周期がきたっていう感じですね。シングルだけを振り返ると“セツナユメミシ”や“黄昏シンフォニー”のように、歌モノとして歌を聴かせる曲の流れが続いてきた中で、今度はロックでちょっと強いエッジの効いた曲を自分で作って聴いてみたいなって思って。そういうモードだったところで、ちょうどシングルのタイミングがきたんです。まぁ聴く人からしたら、ひょっとしたら『らしくない曲』かもしれないですけど、KEYTALKが演奏したらカッコよくなるなっていうのも想像できたので。なんの抵抗もなく作れました」

小野「KEYTALKのパブリックイメージからすると新しい感じなのかもしれないですけど。でも2010年ぐらいから遡って曲を聴いていくと、昔にもこういうタイプの曲あったよな?って感じなんですよね。だから僕も自然と今日はこのテンションね、みたいな感じで楽しくやりました」

■で、好きなほうですよね、こういうカッティングエッジなアレンジ。

小野「まぁ僕、音楽好きですからね(笑)。音楽が好きだからあれが好き、これが好きみたいのは特になくて、どれも楽しくやってて。強いて言うならギターが好きなので、ギターを弾ければ本当にあとはどんな曲がきても大丈夫というか。それを自分色にどうするかっていう話なんで、このジャンル好きですよね?って言われても正直あんまりないんですよね」

■それは失礼しました。この食うか食われるかっていうテーマは、今のこのバンドの現状を歌ったものとも受け取れるんですけど、そういう意図はありましたか?

首藤「あんまりそういう歌は歌わないですよね(笑)。これもシリアスな感じの曲だから、バンドの内情を歌っているように思われるかもしれないんですけど、正真正銘ただの物語です(笑)」

■義勝の場合、曲を書くというのはある意味ストーリーテリングをしていて、だから曲の中に自分を置くというよりかは、客観的なシーンやストーリーを設定して曲を書いていくのが自分の論法だって以前聞きましたが。そういうやり方をするのが好きなのはどうしてなんですか?

首藤「自分自身のことを歌うのがちょっと恥ずかしいっていうのが昔からあるからですね。まあ言い訳になるのかもしれないですけど、『これは僕のことじゃないですよ』って宣言することで、途端に歌詞が凄く書きやすくなるというか、僕の場合はそれで逆にフィルターが外れる感じがあるんです。自分のことを書く人もいっぱいいると思いますし、そっちのほうが刺さりやすいとも思うんですけど。でも僕は物語書くほうが本音というか、好きだなっていうのがあって。これはもう趣味ですね」

■<光は陰に 吸い込まれてゆく>っていうリリックがありますけど、まさにそういうサウンドになってますよね。

首藤「そうですね。陰と陽で言うところの陰の部分がバンドのテクニカルなカッコよさと繋がって、イメージ以上の仕上がりになったと思います。曲を作り始める時に思ってたのは、演奏も凄いカッコいい曲になったらいいなってことだったんですけど、今回はその感じが本当にどの楽器もあるんですよ。感覚的にハマったっていうのを完成した時に凄い感じましたね」

(中略)

■それと同時に、メロディが強いって本当に最強なんだなって思いました。言ってみればそれがあればどこにでも行けるし、逆に言うと、どこにでも行けるっていうのはどこへ行っても帰ってこれるってことだと思うから。

小野「本当にそうですよね! あと、メロディがいいとみんなのものになりますからね。難しい曲だとそれでしかないですけど、どんなアレンジになろうがメロディだけはひとり歩きしてきますから」

(続きは本誌をチェック!)

text by鹿野 淳

『MUSICA2月号 Vol.130』