Posted on 2018.02.16 by MUSICA編集部

メジャー、チャートトップ、ベルリン録音、
様々な挑戦と試行を繰り返した果てで生まれた
アルバム『#5』。TK単独、そして345&ピエール中野の
2部構成でおくる、決定的バックカヴァー特集!

僕はむしろ、ソロプロジェクトよりも凛として時雨においてのほうが
「自分の純度を高めたい」と考えていて。だからこそ、いろんな経験をしても
凛として時雨になった瞬間に一気に時間が引き戻されて、丸裸の状態に戻る

『MUSICA 3月号 Vol.131』より引用

 

【INTERVIEW#1 TK】

(前段略)

■先ほどご自分でもおっしゃった通り、この5年間はとても精力的かつクリエイティヴな期間だったと思うんです。現実的に作品数としても、凛として時雨、TK from凛として時雨、共に多作と言える時期だったと思いますし。そういう5年間は、今回のアルバムにどうフィードバックされていると思いますか。

「面白いもので、これだけソロのプロジェクトだったりプロデュースをやらせてもらって、作品を生み出してきたにもかかわらず、『じゃあ凛として時雨のアルバムを作ろう』って自分の中で決めた時に、5年前、もしくはバンドを始めた頃まで感覚が戻ってしまうんですよね。いろんなプロジェクトで楽曲を作っていくと、もう少しいろんなことを器用にできるようになったり、ソロでやったことをバンドに持ち込んでみたり、そういうことがあるかなと思ったんですけど、全然なかった(笑)。やっぱり凛として時雨においては、そういうものは通用しないんですよ。それはたぶん、自分自身がこのバンドの特異性と言いますか、凛として時雨に対して『こうありたい、こうあるべきだ』っていう、自分の空想にも近いあるべき姿を追い求め過ぎているが故なのかなと思うんですけどね。あと、僕はむしろ、ソロよりも時雨においてのほうが『自分の純度を高めたい』と考えてますし。だからこそ、いろんな経験をしていたはずなのに凛として時雨になった瞬間に一気に時間が引き戻されて、丸裸の状態に戻って、スタート地点よりもむしろ手前の状態に置かれるっていう、そういう感覚が今回もあって。本来だったら、この5年の間にメンバー3人それぞれいろんな動きの中で得てきた収穫を持ち寄って、ひとつパワーアップした姿になるんだろうし、そういうふうになるのかなとは、一瞬は思ったんですけどね(笑)。なんか、凛として時雨は、凛として時雨の時間の中でしか成長しないものなんだなっていうのは改めて凄く思いましたね」

(続きは本誌をチェック!)

text by鹿野 淳

『MUSICA3月号 Vol.131』

  

【INTERVIEW#2 345&ピエール中野】

■ふたりだけでインタヴューするのがほぼ初めてだということで、楽しみにしてます。

ピエール中野(Dr)「革命ですよ、これは!!」

■わかった(笑)。まずはアルバム全体への率直な想い、感想から聞いていきたいんですが。

ピエール「率直な感想としては、『とんでもない作品がちゃんとできたな』というのがまずあって。世に流通するCD作品として初めてリリースした『#4』の時と同じく、これが世に出たらみんなびっくりするんじゃないかなっていう作品になったなと。自分達の演奏とやってきたことをしっかりとパッケージングできたアルバムだと思ってます」

345(Vo&B)「TKがタイトルを『#5』にしようと思ってるって聞いた時に、すべてがピタッと合わさった感じがして。最初に時雨をやり始めた頃の気持ちと、今も同じ気持ちでいられるっていうのを凄く感じましたね」

■TKから話が出る前に、ピエールがアルバムタイトルは『#5』がいいんじゃないかと思ったのは、どういう気持ちだったんですか。

ピエール「曲が出揃って通して聴いてみた時に、昔、小さいライヴハウスでガンガンやって、いろんな人から驚かれてた頃のことを思い出したんですよ。とはいえ、TKはさすがにそうはつけないだろと思ってたんだけど、仮タイトルが『#5』になってるみたいなのがメールで届いて。だったらこれでもう決まりじゃないか!って連絡したのをよく覚えてます」

■凛として時雨ってもはや存在も音楽自体も意外性の塊だったりするし、その意外性がちゃんと受け止められるバンドでもあるわけですけど。今回の作品はこれまでの許容量を超えた意外性が溢れてると思うんです。そういうことは作りながら感じていたんですか。

345「でもそれは、常にそうなんです。デモが来た時点で、いつも意外性を感じさせられるというか。いい意味で『これやるの!?』みたいな、『これ冗談じゃなくて本当にレコーディングするの?』みたいな楽曲が届くのは、最初から変わらずなんですけど(笑)。『これ歌って大丈夫なの?』って思う歌詞もたくさんありますし……」

ピエール「<サラワレタイ夏>(“Sadistic Summer”)とかね」

345「その言葉をずっと歌っててって言われて、最初冗談かなって思うじゃないですか。そういう感覚のまま、早15年ですね(笑)」

(続きは本誌をチェック!)

text by鹿野 淳

『MUSICA3月号 Vol.131』