Posted on 2018.02.16 by MUSICA編集部

2018年の幕開けを飾る星野源のニューシングルは
『ドラえもん』! カウンター精神を持ちながら
ポップエンターテインメントのど真ん中を突き進む、
今最もヤバい音楽家・星野源の心理と真意を探ります!

僕達はなんでもない人達だけど、でもヒーローだけが世界を救うんではなく、
何者でもない僕達のやること1個1個が人知れず世界を変えていくんだ、
そうやって未来を作っていくのだ、そういう気持ちは自分の中に強くある

『MUSICA 3月号 Vol.131』より引用

 

(前段略)

■先ほど去年の夏前に台本をいただいてから具体的に考え始めたとおっしゃってましたけど、完パケたのは……。

「12月の末です」

■つまり、半年以上かけて作ってるわけですよね。それだけこのハードルを越えるのが難しかったってことなんですか?

「最初は今とはまったく違う曲を作ってたんですよ。ディスコの曲をずっと作ってたんです。“ドラえもん”っていうタイトルにするってことと、間奏で“ドラえもんのうた”のイントロか“ぼくドラえもん”のAメロのどっちかをオマージュするっていうことだけは決めてたんですけど」

■あ、オマージュ案も最初から決めてたんだ。

「決めてた。決めてたって言っても自分の中だけで、その許可が下りるかどうかはわからない状態で(笑)、でもこのアイディアは絶対に面白いと思いながら、ディスコティックな曲を作ってたんです。で、それがなかなか上手くいかなかったんですよ。なんだか違うな、なんだか違うなってずっと思いながら、あれこれいじってたんですけど、全然上手く行かず。挿入歌の“ここにいないあなたへ”はもの凄く早くできて、録音もパッと終わったんですけど、それが終わった後にまたもう1回、主題歌に取り掛かっても全然進まず。ミュージシャンのみんなに参加してもらいながら、リズムを変えたりいろいろやってみたりもしたけど、やっぱりダメで」

■それは1回、セッション的に作ってみようとしたってこと?

「いや、一度やって軽く録音してダメで、別のアレンジを考えてまたプリプロして、でも結局、自分が最初に思いついたワクワク感みたいなところに到達できず、これは本当にヤバいと思って……という状況の中で僕が精神的なクライシスを迎えてしまい、10月~1月の2ヵ月ぐらいは『もう何もしたくない!』みたいな状態になっちゃった(笑)」

■制作もやりつつ、『コウノドリ』を撮ってる時期?

「そう。『コウノドリ』を撮ってる時間は、役に入れるから凄く楽しいんです。演じてる間は星野源を忘れられるので(笑)。そういう時期を経て、これは1回リセットしようと思って。普段、作曲してる時に思いついて録音しておいたメロディがいくつかあるんです。それを聴き直したら1フレーズ、これは楽しいなっていうのがあって。その時はまだディスコティックな気持ちだったんで、これは“ドラえもん”にはならないだろうけど、なんか楽しいからちょっとやってみようと思って。それが結果、今の“ドラえもん”のBメロかな? そのフレーズを広げようと思って、コードやその時に作った様子を思い出そうとやってたら、パッとこのイントロが出てきて。『あれ? これ、面白い』と思ってやり続けていったら、バーッと全部ができたんですよ。そこで『あ、これ“ドラえもん”の楽しさと似てる』って思い、アレンジのことを考え始めていったんだけど、そうしたらすぐにできました。あの苦しみはなんだったんだと思うくらい、短い時間で凄く楽しく作曲できました(笑)。で、曲ができたと同時期に、タイミングを合わせたかのようにそれまで感じていた精神的な辛さとかも全部解決していったんですよ」

(続きは本誌をチェック!)

text by有泉智子

『MUSICA3月号 Vol.131』