Posted on 2014.12.16 by MUSICA編集部

年間総括特集:
2バンド同時メジャーデビューを果たし、
質量共に段トツのMVP!
川谷絵音(indigo la End/ゲスの極み乙女。)、
2014年とindigo la End新作『さよならベル』を語る

2015年のスケジュールを見てると、
来年のほうが忙しい感じになってるから、
2014年はそんなに忙しくなかったと思うようにしてます。
これで忙しいって思ってたら、2015年は死んじゃうんで(笑)

『MUSICA 1月号 Vol.93』P.84より掲載

 

■お忙しいですか? って、訊くのも野暮過ぎるほどの状況ですが。

「……まぁ、体調も崩してたんで(笑)」

■ライヴを延期したっていうのは聞いてるんですけど(11月25日、急性咽頭喉頭炎で高松でのライヴを延期)、もう大丈夫なんですか?

「おかげさまでようやく大丈夫になってきました」

■原因は、完全にワークホリック的な?

「いや(笑)、九州で食中りになって……何に中ったかわかんないんですけど、食中りのままライヴした辺りから体調おかしくなってきて。それで免疫が弱ったところで喉にきてしまって……」

■ことさら大袈裟に言うつもりはないんだけど、簡単に言っちゃうと、1年間ずっとギリギリな状態で走り続けてきたから免疫すら欠けてきたと。

「そうですね(笑)。今はもう大丈夫なんですけど」

■そして、indigo la Endの『さよならベル』は、絵音くんがそうやって走り続けてきた1年のフィナーレを飾る作品だと思うんですけど。

「最初は2015年でもいいかなって思ってたんですけど、今の勢い的にもう1枚出しておいたほうがいいかなっていうか。みんな、出さなくても大丈夫だよっていう感覚だったと思うんですけど、僕の中では『今もう1枚出しておいたほうがいいだろうな』っていう――前のシングルが出て、アルバムのレコーディングをしてる時に凄くいい曲ができたから、2015年に出すとなるともったいないし、自分の旬なうちに出したいなと思って」

■アルバムのレコーディングをしていて、今はある程度もう目処がついてきたっていう状況で、その前にちゃんとindigo la Endの今っていうものを刻みたいっていう気持ちがあったんだ。

「そうですね。アルバムの前にもう1枚出しておいたほうが、新しいアルバムの見え方も変わるだろうなと思ったので」

■indigo la Endは『あの街レコード』以降、この1年間で新しい音楽のカラーを作ったと思うんですけど、1曲目の“さよならベル”に関してはその新しいindigoの王道感に強度を増したような楽曲という感じがしました。この曲はどういうところから生まれてきたんですか?

「最初はシングルっていうより、(アルバムの)リード曲を作ろうっていう感じで――ベクトル的には『瞳に映らない』からの流れが自分の中であったので、アルバムもこういう感じにしようっていう構想があった中でリードにする曲というか。ライヴでもちゃんと見せられるし、特徴的なギターのフレーズとか今の4人のグルーヴとか、歌詞もそうなんですけど。indigo的な王道感というか、あんまり違ったことをやろうとかじゃなく、本当にリード曲を作ろうっていうつもりでいろいろ作っていた中でこれができて」

■indigo la Endって、言ってみれば川谷くんの中にあるポツンとした孤独の世界が根底にあるんじゃないかと思ってるんですね。今回のシングルも、特にこの“さよならベル”の歌詞の世界はまさにそういうものだと思うし。ただ、音に関してはどんどんダイナミック、ドラマティック、ファンタスティックなものになっていってて、強度を増してるじゃないですか。

「そうですね。たぶん今の4人の感じがこういう感じなんだろうなと思うんですね。ベースが入って4人になってからまだシングル1枚しか出してない状態ですけど、後鳥(亮介/B)さんが入ってからのindigoっていうのが今のサウンドで。リズム隊に肉体感があるというか。ゲスの時に課長(休日課長/B)にブワーッて言えることが、indigoだと今まであまり言えなかったんですよ。でも、正式に入って言えることも増えたし、しかも後鳥さんはなんでもできるから。やれることが単純に増えましたね」

■そういう意味では、indigo la Endとしてのバンドシップというか、絆とか本音みたいなものがかなり激変したんですか?

「本音っていうか……別に僕、メンバーと話さないので」

■そこは相変わらずなんだ(笑)。

「相変わらずですね(笑)。曲の歌詞の内容について話すこともないし、アルバムの曲順も僕が一人で決めるので。まあ、メンバーも訊いてもこないですしね。普段あんまり自分からコミュニケーション取ろうとしない集まりだし(笑)」

■絵音くんのそのツンデレ・マイナス・デレな感じって、どういうバンドへの哲学から来るの? たとえばバンドによっては、それこそずっと一軒家に一緒に住んでるっていう人達がいたり、幼馴染で生い立ちから関与してるって人達がいたり。別にそういうバンドばっかりじゃないけど、でも2014年のindigo la Endぐらい過密な活動をしてれば、「俺達はmixiで知り合ったけど、今年は今まで言えなかった本音が言えるようになって、本当のバンドになった気がします」みたいなことを言っても当然だと思うんだよね。でも、そうじゃないんだよね?

「(笑)全然そういうわけじゃないですね。でもそういう青春みたいなのが羨ましいなって思ったりもするんですけど、このバンドはあんまり話さなくてもわかるというか。元々、人づき合いが苦手な人達が集まってるんで、後鳥さん以外は。基本的に他の3人は結構そういうタイプなので、特に自分達は何も変わらなくても後鳥さんが勝手に盛り上げてくれて、バンドの雰囲気がよくなったというか――完全に人任せなんですけど(笑)」

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text by 鹿野 淳

『MUSICA1月号 Vol.93』