Posted on 2012.02.16 by MUSICA編集部

藤巻亮太、ソロデビュー。そのシビアな胸中と決意をすべて語る

『2012年3月号 Vol.59』 P60に掲載

自分を楽しめない状況で人前に立ったり、何かを表現してもそこに嘘が滲むのって、自分が一番わかっちゃうんですよね。 その嘘を抱えたまま走り続けることはできないって思ったんです

■前回のインタヴューが1年ぶりだったんだけど、そこからまた13ヵ月経ったね。

「ご無沙汰な気はしてましたけど、そんなに経つんでしたっけ……たくさん話さないと(笑)」

■そうだね。前回のインタヴューで、「次の取材までは間を開けませんから、曲も出します」と言っていた藤巻ですが。

「ははは。まずはその後、レミオロメンとしてのツアーが終わり、何が起こっていったかっていうことですよね?」

■はい。13ヵ月前には、次にこういうソロという形で会うと思ってなかったし、いろいろ変化があったと思うんだけど。今日はその辺も全部お訊きします。

「はい、いろいろ話したいんです。お願いします」

■まず、ソロでやりたいと思ったのは、どういう気持ちからなんですか?

「2010 年が結成10周年で、全都道府県を回るツアーをやって。そこには充実感もあったんですけど、その後の年末年始、ある対談で仲よくなった野口健さんにヒマラヤに連れてってもらったんです。そこで凄くいい経験ができて。そのタイミングで、結構いろんなことを考えたんですよね。今の自分を取り巻く環境の中で、自分が音楽をやる正しさがあるのかどうかっていうことを凄く考えて。この状況のままで音楽をやっていくと、何かが凄く薄まってしまうのかなぁって思ったんです。だから1回、何故薄まってしまうのか、どうして自分は今のプロセスに違和感を抱いているのかっていうのを検証しようと思って」

■CDブック『Your Song』のインタヴューの時に、「正直、曲はないです。今の自分はカラッカラです」って言ってるんだよね。それはある意味、そういう気持ちの空洞がもたらしたものなの?

「曲を作るモチベーションっていうことだと思うんですよ。何故、曲は生まれるのか? 曲は誰のために存在するのか?っていうことに対して、(レーベルなどから)出口を用意してもらって、そのリリースのルールに向けて書いていくっていうモチベーションでしかなくなってきたんですよね。締切までに何かを仕上げるとか、次のツアーがあるからそのために何かを頑張るとか……それが間違ってるとはまったく思ってないんですけど、それで自分がいいものを作れてるのかっていうことに対しては凄く疑問が湧いてきて。これはいかんぞと思い始めていたのが、その頃だったんです。……音楽が生まれて、そこに協力してくれる人がいて、それを伝えていって、共感してくれる人がいて――そういう循環で物事が進んでいけばベストなんですけど、ある時期から、自分の中での共感ありきな部分が大きくなっていったんですよね。その共感に対して応えていくことが自分の中のモチベーションにもなったし――」(続く)

Text by 鹿野 淳

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