Posted on 2012.08.14 by MUSICA編集部

BUMP OF CHICKEN、「GOLD GLIDER TOUR」密着連載――最終回

七夕の東京の夜、そして去年から続いた長き旅路の果てで辿り着いたファイナルの仙台。
いつだって頑張って考えて探し続けた音楽の力を、
4人の蛍(firefly)が照らし出した新たな光。
4年ぶりのツアー、その最終章のすべてを、
忘れがたきすべての瞬間を、どうしてもあなたに――

 去年のGOOD GLIDER TOURから続いた、久しぶりのツアーに完全密着したこの連載も、7回目にしてファイナルを迎えました。ツアーに参加した人も、できなかった人も、みんな自分のいろいろな鏡と照らし合わせながら、このレポートを毎回読んでくれたことと思います。
 ありがとう、最後の物語を始めます。
 今回はツアーが終わった後なので、楽曲含めてすべてを露にしながら綴っていこうと思います。

7月7日 代々木第一体育館

 13時ちょうどに体育館に入る。外は雨が降ったり止んだり微妙な雲行きで、早くから並んでいる多くの客は、傘をさすというより、簡易雨合羽を着て静かに開場を待ったり、グッズ売り場に並んだりしている。
 楽屋に入ると、ギターを弾きながら発声しているフジが「ご飯を食べなよ」と迎えてくれる。
 そして唐突に「しかっぺ、キズパワーパッドって知ってる?」と言うから、知らないと答えると、「実は名古屋で“Smile”やってる時に、この指(右手の人差し指)が切れちゃって大量に流血してさ。よく見ると肉がもう抉れちゃってるんだよ。で、その日は何とかこなせたんだけど、そこから代々木までの間にどう治せばいいのかって落ち込んでたら、秀ちゃん(升)が『キズパワーパッドがいいよ』って言うから試したのさ。したら、びっくりするほど早く治って、ほら、もうこの通りだよ」と、いつものような繊細な指を自慢げにこっちに掲げてくる。既に代々木では2日ライヴをして今日を迎えているが、その後この日までに2日の休息日があったので、体は軽いし調子はむちゃくちゃいいようだ。
 その後増川が入ってきて、「外の雨の調子はどう?」と心配そうに訊いてくる。降ったり止んだり、でもなんとなくずっと降ってるかなと話すと、「みんなもう集まってるんでしょ? 申し訳ないよな。なんとか開場までの間だけでも止ませることができないのかな?」と眉間に皺を寄せて話す。そんな増川は、舞台監督に「今日は湿気が多いってことでしょ? だったらやっぱりギターの音もだいぶ湿ってくるんだよね? その辺どう仕上げようか?」と、プレイヤーとしての積極性をぶつけながら、ライヴまでの時間を過ごしている。東京だと意識も変わってくるものなの?と尋ねると、「もうずっとツアーやってるからさ、東京もどこもあんまり変わらなくなってきてるよ。というか、変わらないほうがいいと思うからさ、この代々木の間もメンバー同士で飯食ったり遊んだりしてるよ(笑)」と話しながら、サウンドチェックに向かって行った。
(続きは本誌をチェック!)

text by 鹿野 淳

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