Posted on 2012.08.15 by MUSICA編集部

サカナクション、新たな季節の到来を鳴らす

混乱よ、哲学よ、夜よ、シーンよ、さあ踊ろう。僕らはこれを待っていた!
久しぶりのアッパーチューン“夜の踊り子”をサカナに、
新しい季節の到来を山口一郎、告げる

『MUSICA9月号』P.60に掲載

■ようやくこの曲のインタビューができると思うと嬉しいな。完成してから長かったね。初めて聴かせてもらってからどのくらい経つっけ?

「いつだっけなぁ。冬だったんだけど……」

■たしか1月末だったような気がするんだけど。

「マスタリングが終わった日にここ(MUSICAのオフィス)に持ってきて聴かせたんだよね。スタッフの人には内緒で持ってきたから、聴いたって言わないでくださいって言いつつ(笑)」

■あれは、自信作ができたと思ったから持ってきたんだよね?

「そう。『鹿野さん、これでしょ?』っていうのを確認しにきたんですよね」

■完全にドヤ顔だったのを憶えてる(笑)。自分の中ではスマッシュヒットなシングルができた手応えがあった、と。実際、本当に素晴らしいシングルとして届けるべきシングルだと思うんだけど、こういうアッパーかつ音楽的な魅力が前面に表れている曲は、シングルとしては久しぶりだよね。

「そうですね。“アイデンティティ”とも違うし、“ルーキー”ともまた違う、サカナクションの表としての新しい感覚がまたひとつ、この曲で出せた気がしますけどね」

■制作面でいくと、これは『DocumentaLy』後の1発目の曲でもある(“僕と花”よりも先にできていた曲です)し、ここから走り出そうという気持ちが歌詞には凄く赤裸々に綴られていて。まずは『DocumentaLy』以降、どういうモードでこの曲に着地していったかを教えてもらえますか?

「『DocumentaLy』っていうアルバムには、音楽が日常だっていう、当たり前のことを切実に伝えるのがひとつのコンセプトだったんですよね。それをやって、アルバムとしての目標はもちろん、セールスの目標だったり、ライヴ動員の目標だったりが思い描いたところにいけたんですよ。で、その結果を出した後に、スタッフと一緒に目標を新しく設定して。具体的には今までの倍の結果を出そうっていう目標なんですけど」

■たしか、アルバムのセールスが20万枚、幕張メッセが2daysという目標値を掲げてるよね。

「そう、そこに行きたいっていう気持ちがあって。そのためにどうしていこうかって話し合いながら自分で思っていたことを精査していった結果、やっぱり、外へどんどん挑戦していくっていうことをもっとはっきりやっていかなきゃいけないと思った。そのための新しい一歩を『表』に発信したい――前から言ってるように、僕は表裏一体っていうところを上手く表現していきたいわけですけど、その『表』の曲を作りたいっていう気持ちが強くなったんですよ。そんな時にモード学園のCMタイアップの話があって、これはその表という目標をクリアするためのひとつの材料だなとも思ったし、チャンスだなとも思って。だからすぐに作りましたね」

text by 鹿野 淳

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