Posted on 2012.08.15 by MUSICA編集部

10-FEET、3年を経て遂に完成したアルバム『thread』迎撃インタヴュー!

『MUSICA9月号』P.76に掲載

3年かけて搾り出された、最高傑作にして「ただのロック。」
絶え間なき後悔と、それでも生きていく事だけを歌ったアルバム『thread』。
部屋の隅でひとり膝を抱えるすべてのあなたにロックは今、このアルバムを捧げる

■最初からおかしなこと言いますけど、正直、僕は間に合わないと思ったんですよね。去年の11月にインタヴューした時のことを考えると、当分できないだろうなと思ってて。だから京都大作戦の時に「アルバムどうなの?」ってスタッフに訊いたら、「2日前にできました!」って言われて、びっくりして疑ったぐらいで。

「あははははははははは、そうですか。それは鹿野さんが僕のことをわかり過ぎてる証拠です」

■逆に言うと、よくあの精神状態とか楽曲を作っていくモチベーションからここまで仕上げてきたなっていう感じがするんですけど。この半年の中で、一気に覚醒してった感じなんですか?

「スタートダッシュがちょこっとあって、あとはもう半年かかって1曲か2曲、みたいな。で、なんとか目標の量に届いたなっていう感じでした。楽曲ができる時ってポーンとできたりするんですけど、出ない時っていうのは一向に出てこなくて。結果、自分に対して思い悩んでるのかなって思ったり、このまま枯れてまうのかなと思ったこともあったし。でも、そんな中で既にでき上がってる曲とかを聴いたらそこから勇気もらったりとか、1滴1滴でも何かが出てきて1曲でき上がる度にそこから勇気もらったり……3年という時間以上に長旅でしたね、このアルバムは」

■結果的に最上級の意味で、「ただのロックアルバムが生まれた」と思うんです。普遍的でもあり無防備でもあり、振り絞ったものしか鳴ってないという意味で、ロックアルバムとしてのロックアルバムだなと思って。そういうアルバムを『thread』と名づけたのはどうしてなんですか?

「ピック・アップ・ザ・スレッドっていう言葉があって、その意味はずっと続けてたことをもう一度やるっていうことなんですね。ずっと連絡取ってなかった奴と久々にもう一回繋がる、みたいな。今回のアルバムって、全曲ビッと1本の糸で結びついたイメージがあるというか、ひと筋の人生とか旅のような……常に選択肢がたくさんあって、その時その時の選択って一回しかないんですよね。それが人生であり音楽であり……そういうのを選びながら繋がってきてるというか。自分が作り出して選んできた道の中に、どんな時でも『あぁ、俺やな。俺そういう選び方するな』みたいな、自分らしさみたいなものがあって、そういうものを今回の全楽曲に感じてアルバムタイトルつけたところがあって。自分の人生、自分がずっとやってきたことがあって、もう一度それをやろう、自分のところにもう一回引き上げてピックアップしてみようっていう。そういう意味で、このタイトルをつけたかったんですよね」

(続きは本誌をチェック!)

text by 鹿野 淳

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