HaKU、最新型オルタナティヴでリアルを射抜く
モニター越しのコミュニケーション、
「非」現実が現実化する時代。
その中で生の実感を掴み獲るべく、
「君と僕」を真っ直ぐに見つめるところから始めた
僕らの世代のリアリティ、『Simulated reality』。
本当の「生」に向き合う準備はいいか。
▶前回のインタヴューは『astronautS』というアルバムの発表時だったんですけど。その頃って「宇宙」とか「光」とか、割と大きいスケールで物事を捉えている印象があったんです。一方、今回の作品は「君」や「『君』を通した自分」といった、対象がより身近なところに移ってきていて。この変化は、どのようにして生まれてきたんですか。
「やっぱり歳をとるごとに物事の考え方も変わってくると思うんですけど、僕らの音楽もそうで。より世の中と相互依存の関係になってるというか……世の中の動きに対応して、僕らの音楽もこうなっているんだと思うんです。その中で、自分が自分を見つめ直したいというか、世の中に対しての自分というものを凄く見つめ直したい時期に来たんだと思っていて。それはもしかしたら『astronautS』を出した頃にも感じていたことだったのかもしれないですけど」
▶でも、よりはっきりと意識するようになった、ということですね。
「はい。で、そこから楽曲を作るってなった時に、自分達が肌で感じることが一番正しいことだから、それを感じながら制作しようという感じになっていって。そうすると、『自分は本当に自分なのかな』というような感覚というか……人からすると『こいつ頭おかしいんじゃねぇの?』くらいのことなんですけど(笑)。でも、突き詰めていくと、そういうところに辿り着いて。……“astray”という曲にも書いたんですけど、1個フィルターを通してやり取りすることによってダメになっていく自分を見つけてしまったので。そこからもっと身近なことを書くようになっていったんですよね」
▶それはある種の、生きている実感の希薄さみたいなものを感じたということ?
「そうですね。それで、いろんなことを知りたいと思って。知らずに生かされるよりは、知って自分から臨んでいきたいというか。それは今も凄く感じていることです」
(続きは本誌をチェック!)
text by 関取 大
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