Posted on 2012.11.21 by MUSICA編集部

トクマルシューゴ、その脳内世界を解き明かす

独りの天才の脳内世界が鮮やかに溢れ出す
現実と異郷の狭間に打ち立てられた
純度100%の万華鏡ポップ
『In Focus?』。
交錯する光と陰、開放と閉塞、自由と統制――
カラフルに舞い紡がれた世界、その深淵を覗き込む

『MUSICA 12月号 Vol.68』84に掲載

■『Port Entropy』の時に、「これを作ってしまえば後はどこにでも行けるっていう、基盤になる作品を作りたかった」とおっしゃってましたけど。

「うん、そうですね」

■そういう作品を作った上で、次にどこへ向かおうというイメージはあったんですか?

「とにかく、今までやってない面白いことをいろいろやろうっていう意識でしたね。『もうなんでも作ってしまえ!』と思いながら作っていたんですけど、そうしたら本当にいろいろでき過ぎてしまって(笑)。何十曲もできてしまって、『これ、アルバムにする時どうやってまとめればいいんだろう?』というのはずっと考えてたんですけど……でもある時、『そのままでいいんじゃないかな』という気がしてきて」

■それはどういう意味合いで?

「自分の殻に閉じこもってずっと曲を作ってたら、自分の国みたいなものができてきたような気がしたんですよ。であれば、いろんな国の人達を自分の国に住まわせて、ちゃんと政策も法律も決めて、しっかりと各々が生活できる環境を作るような感覚でアルバムを作ってみたらどうなるんだろう?っていう感覚にだんだんなってきて。そうしたら、現実世界も結局同じなんですけど、(アルバムをまとめなくても)このままでいいんじゃないかなっていう気もしてきて」

■それってつまり、多様性を受容しながら緩やかに統合させるみたいな、そういうこと?

「はい。ただそれと同時に、本当にこのままでいいのか?っていう気もしてきて。なんとかしないといけないんじゃないかなという想いと、でも、このままでいいんじゃないかなという想いが混在してる。それでタイトルに『?』がついてるんですけど(笑)。でも、そういう形でアルバムができたら、凄く混沌としたような、とにかくいろいろなものが入ってる作品ができるんじゃないかなと思ってやってみましたね」

 (続きは本誌をチェック!)

text by 有泉智子

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