Posted on 2012.11.28 by MUSICA編集部

渋沢 葉、狂い咲く可憐な花の正体を探る

この歌が呼び覚ますのは、
あなたの中に残された無垢なる子供か、
それとも孤独なモンスターか。
憤りを孕んだ激しき情動と、儚くも切なる祈り――
必然的に抱えたロックとポップ、
ミニアルバム『花はここに咲いています』で、
その両極を露わにす

『MUSICA 12月号 Vol.68』P128に掲載

■前回の取材から約5ヶ月が経ちましたが、その間にライヴ活動も始めて。どんなふうに過ごしながらこの作品に向かってきたんですか?

「あっという間だったんですけど、ライヴをするようになって実際に聴いてくれる人達に会って……最近まで最前列の人の顔って絶対見れなかったんですよ。だけどライヴをするごとに、そこにいるお客さんとコミュニケーションしなきゃって思うようになって、少しずつ変わってきていて。頑張りたいなと思うし、楽しみだなとも思うし……それに、誰かに届くんだと思うと余計燃えて(笑)。毎日毎日、曲を作ってますね」

■前回のインタヴューで、音楽を始めたことによって、自分の中にいたもうひとりの自分がやっと話を始めたっておっしゃってたんですけど。その子がいよいよ世の中に出ていっているわけで、その部分で思うことは何かあります?

「………まだ、とにかく正直にいこうっていうことでいっぱいいっぱいで。でも“ダーリン”のMVを撮ったんですよ。監督を番場さん(番場秀一)がしてくださったんですけど、そのMVには、私以外にモンスターとちっちゃい子供が出てくるんです。それで、『ああ、お見通しだ』と思って(笑)」

■ははは。まさに、小さな子供とモンスターというのは渋沢さんの中に共存しているものであり、表現の核を成しているものなわけですけど、今回の『「花はここに咲いています」』は、その二面性がより明確な形で表れていますよね。“ダーリン”という非常にポップな楽曲を真ん中に、激しいロックソングと祈りを捧げるような繊細な曲が強いコントラストを放ってる。こうなったのは何故?

「“破壊BOSSジャム聖飢魔Ⅱメイク”と“ARE YOU PANPI?”は、1年半ぐらい前に作った曲なんです。だからなるたけ早くに出したいなって思ってて。『せきららら』の次は、頭はこの2曲にしたいっていうのは決めてあったんです」

■その時の心情がダイレクトに表われてる分、鮮度が高いうちに出したかったってこと?

「そうですね。今の状況と歳を考えると、早いほうがリアルに伝わるものだと思って。で、“祈り”と“悪魔再生”をアルバムに入れたのは、聴いてくれる人に人間の美しいところも感じて欲しいというか………汚いところも美しいところも全部含めて、輪っかみたいにグルンと回る作品にしたかったからなんです。“~PANPI?”と“破壊~”で打ちっぱなしにするんじゃなくて、ちゃんと戻ってこれる曲をアルバムの中に入れたかった」

(続きは本誌をチェック!)

text by 有泉智子

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