Posted on 2012.12.15 by MUSICA編集部

特集:ザ・イヤー・2012 年末恒例企画!2012年の音楽シーンを一挙総括大特集!

インタヴュー:スガシカオ、星野 源、クリープハイプ、supercell
各アーティストからのアンケート回答
さらに小野島大×宇野維正×有泉智子×鹿野 淳特別鼎談一挙掲載

『MUSICA 1月号 Vol.69』P30に掲載

2012年という1年から読み解く
日本の音楽カルチャーの現在、そして未来とは?

鹿野(以下■)2012年特集、今回はそれぞれ5つずつ今年を象徴するトピックを出し合い、それを基に話をしていきたいと思います。まずは、小野島さんのトピックから行きましょう。
小野島「ひとつ目は、ソニー邦楽がiTunes Storeでの配信を開始したことですね。iTunes Storeが日本でローンチしてから7年くらい経って、ようやく全部が出揃ってスタートラインに立ったわけです。それはつまり、Spotifyなどのクラウドサービスを除いて、プラットフォームが出揃ったということで。ネットが中心になってから、ユーザーとレコード会社とアーティストの関係性が歪んだ感じで進行していたのが、ようやくスタートラインに立てたんじゃないかなと。もちろん遅過ぎたわけですが、ここからいろんなものがフラットになっていけばいいかなと思っています。聞くところによると、iTunesでのソニーの邦楽の売れ行きも好調だそうで――」
しかも、ソニーが参入したことで他のレーベルのiTunes売り上げも上がっているそうです。要するに、iTunes Storeがやっとこの国の音楽のデパートらしくなったということだよね。
小野島「ここからいろんなものが始まっていけばいいなと、ある種、希望を込めて思います。アーティストもみんな歓迎しているし、よかったんじゃないかと」
宇野「面白いなと思ったのが、今年、ブルース・ウィルスがiTunesを訴えたんですよ。彼は子供が3人いるんですけど、自分がiTunesで膨大に買ってきた音楽ライブラリーを死後に子供に譲ることができないってわかったからで。要はiTunesって、いわば生涯レンタルなんですよ。音を所有しているわけではない」
有泉「その音楽を所有するという権利を買ってるに過ぎないってことですか?」
宇野「そう。だから死んだ後は誰にも譲れない。CDの場合は、子供にでも友達にも譲ることはできるけど、iTunesの場合は、その曲のライセンスを合法的に他人に譲ることはできない」
物じゃないから、貸し借りが成立しない。
宇野「ソニーが何故iTunesを始めたのか明らかにはしてないですけど、僕が予測するに、iTunes一色にならないことがある程度わかったからだと思っていて。CDはあり続けるし、他の形もあり続けるし、そのOne Of Themでしかないという見極めがついたからなんじゃないかと思うんです。日本はiTunesが成功していないほとんど唯一の先進国で。さっき鹿野さんがおっしゃったように、これをきっかけに活性化しているという事実はあるんでしょうけど、ソニー的にはiTunesに完全敗北することはないという判断がついたということだと理解してます」
僕は単純にソニーがこれ以上iTunesと戦っても消耗戦になるだけだと賢い選択をしただけだと思ってるけど。意地を張っても、マーケットをすり減らすだけだっていう判断なんじゃないかな。
有泉「私もそう思うんですよね。クラブミュージック系のBeatportを始め配信サイトはありますけど、ポップミュージックにおいてはiTunesがほぼ独占という状態はしばらく続くと思いますし。逆に、その状態が見えたからこそ、解放せざるを得なかったんじゃないかな、と」

 

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