Posted on 2012.12.16 by MUSICA編集部

スガシカオ、新時代のミュージシャンの在り方を模索する

裸一貫からの再出発をお見事!な成果で飾ったスガシカオ、
新たな時代の新たなミュージシャンの在り方を模索し、
音楽シーンの重要なアイコンとなった激動の2012年を斬る

『MUSICA 1月号 Vol.69』P38に掲載

■この前のZEPP DiverCityのライヴを観させてもらって感じたのは、お客さんが凄く新陳代謝しているなってことで。それはノリから2階席から見た景色からいろんなものを含めて変わっていて、スガさんにとって、ひとつのいい結果に繋がっているんじゃないかなと思いました。この2012年はかなり激動の年だったと思うんですけど、振り返ってみていかがですか?

「確かに激動っちゃあ、激動ですよね。もう何もかもが初めてでイチから立ち上げなきゃいけなかったし、その中でライヴも進行しなきゃならなかったので、その準備含めて、休む暇が全然なかったですね。リリースが不安定なので、ある程度ベースをライヴに置かないと、生活もできないし。リリースもライヴもないっていうんじゃ、活動してるように見えないしね(笑)」

■ひたすらブログの中だけで自分の意思表示、ってなっちゃうからね(笑)。そんな1年を通して、スガさんがこだわったのはファンクってものだったと思うんです。でも、半年前のインタヴューでも話したように、ファンクなんて今この国のどこにもないし、化石のような音楽になっているとも言えるわけで。ただ、それを地道にやったことで、自分のマーケットがこうして代謝できたのは何故だったと思いますか?

「結構――批判にならないように言うのは難しいんですけど――利益を生もうと思うと、これまで聴いていてくれていたお客さんを相手にするのが一番いいんですよね。なんだけど、たとえばフェスに出たとして、そこで俺のことをいいと思ってくれたお客さんにまた来てもらおうと思ったら、安定したものを全部捨てなきゃならないっていうのが当然出てくるんですよね。組織の中にいるとそういうことがなかなか難しかったけど、ひとりになった時に、1回それをちゃんとやりたかったんです。今、僕のところに来てる客って、もちろん最初からのお客さんもいますけど、ライヴの景色が変わった理由は、『ROCKS TOKYO』もそうだけど、フェスで観て面白いじゃんって思ってくれた人達が増えたからだと思うんです。だから僕から見ても凄く景色が変わった感じはしてて。でも、そうなるためには安定したものを全部捨てないといけなくて。まあ、今はファンクラブもないので、安定しようにも安定しようがないんだけど(笑)」

■それは逆に言うとね、フェス客とか若い人に受け入れられるためには、自分が裸一貫でやっている、その姿勢を見せなくちゃいけなかったということですよね。それともうひとつ。音楽を、世代を飛び越えて楽しんでいる、仕事ではなくて楽しんでいるっていうアティテュードを生々しく見せなくちゃいけないということも今年のスガさんは考えたのかなと思ってたんだけど。

「まさにそう。たぶん、この1年は、そのふたつのことが自然にできた気がするんだよね。そして、それが実を結び始めたんじゃないかと思いますね。なんていうか……音楽を耳とか頭で聴いて欲しくないんですよね。だからスタンディングのライヴにもこだわったし。とにかく体で聴く、体でビートを感じる、そういうところに焦点を当てたかったんです。だから、自分が若返るというよりは、肉体的な音楽をお客さんと一緒にやりたいっていう気持ちで進んできて」

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text by 鹿野 淳

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