Posted on 2012.12.24 by MUSICA編集部

a flood of circle、 中指を突き立てロックを叫ぶ

威勢よく中指を突っ立てろ!
愛憎まみれていきり立つ激情の濁流と
再生に懸ける真摯なる想い――
泥水を啜る狂犬のブルース、さらに極まる!!

『MUSICA 1月号 Vol.69』P106に掲載

■1年ぶりのアルバムなんですけど、前作が『LOVE IS LIKE A ROCK’N’ ROLL』っていう<LOVE>をテーマに掲げたものだったから、『FUCK FOREVER』って言葉尻だけを捉えると真逆なものになっていて。

「うん、そうですね(笑)」

■一方で、内容をちゃんと捉えていけば、とても佐々木さんらしい、シニカルなんだけど前向きなロックンロールだとわかるんだけど。

「そう。最初、結構簡単なきっかけがあったんですよ。『LOVE IS LIKE A ROCK’N’ROLL』を出した後が絶不調で、凄くダウナー期で。ライヴも体調悪くて、気合は置いて帰るんだけど歌い切れないで終わっちゃう、みたいなのが結構あったんです。で、イライラしてるうちにテンションもどんどん低くなってきちゃって。それが11月中旬から12月、1月ってずっとよくなくて……たまたまいろんなことがリンクしてたんですけど。たとえば、“理由なき反抗(The Rebel Age)”の歌詞にも出てくるんですけど、<「お前にしか出来ない仕事なんてこの世にない」>ってことを言われたりとか」

■これは実体験だったんだ?

「バイト先の人に言われたんです。あと、婆ちゃんが仙台に住んでて、去年の地震で地盤が緩くなっちゃったり壁とかが割れちゃってすぐに住めない場所になったところが結構多かったんですよ。でも、誰が区画を決めるのかわからないんですけど、『ここからここまでは税金で直します。ここから先は直しません』みたいなのがあって、行政に電話しても『決まったことなので』って言われて、気持ち悪いなっていう……そういうイライラすることが積み重なっていって、ピークになった1月くらいに“FUCK FOREVER”の歌詞を書いたんですよ。ツアーで地方行っても凄くイライラして、それでも酒は毎日呑んでたんですけど、ホテルに帰ってきてシャワー浴びながら、マジで鏡に向けて中指を立ててるっていう感じだったんです」

■え、誰も見ていない中ひとりで?

「そう、部屋で(笑)。で、<FUCK FOREVER>っていうのが最初にまず出てきて、ほんとに洗面所で鏡に中指立てて書いたような歌詞なんです。特に地震から後って――前からそうですけど、バンドマンってクズっていうか(苦笑)。『ギターなんて置いて、人の役に立つことをしろ』って言われたらぐぅの音も出ないんです。だけど、そこを敢えてやっていることの意味とか、自分の中で何故それが大事なのか?っていうことをもっと見つめていくべき時なんじゃないかなって思ったんですよね。所詮チンピラなんだから、言いたいことは全部言わなきゃいけないんじゃねぇの?って。だから、<LOVE>にとても似た気持ちで<FUCK>が書けたのがデカくて。<おはようクソくだらない世界>を<始めようクソ素晴らしい世界>にしたいからやってるんじゃん!って、なんとなく歌詞を書いているうちに自分の気持ちがわかってきたんですよね。そこから『FUCK FOREVER』のモードが始まったっていう感じですね」

■<I LOVE YOU>って歌った直後に自分から出てきた言葉が<FUCK FOREVER>だったっていうのは、自分でも全然驚かなかった?

「うん。そこはむしろ正しかったんじゃないかなと思っていて。やっぱり疑り深いんでしょうね、自分を疑ってるから。“I LOVE YOU”は本当に書いてよかったなと思ってたんですけど、自分の生活の中で『今、すげぇLOVEがあるぞ』っていうのと同時に生まれてる負の部分を無視するのは嘘くさいと思っちゃったんですよね。俺が40や50だったら、みんなでハッピーに歌えるもっとデカい歌を作ろうっていう発想だったかもしれないけど、今の俺はこの<FUCK>を見逃したり、攻撃性はナシでハッピーにいこうよ!っていうんじゃ違うような気がしたんですよね。俺、『一生、<I LOVE YOU>でいいや』とはやっぱり思わないし、“I LOVE YOU”があったからこそ、初めてこれだけじゃダメなんじゃないかって思ったし。自分の中で<LOVE>も<FUCK>もちゃんと言えるモードがしっくりきてて、それがあるから<I LOVE YOU>が言えるんだなって確かめられた感じでしたね。だから、あまり『俺、なんで<LOVE>の後に<FUCK>に行っちゃったんだろう?』って気持ちはなかったですね。同じ気持ちで書けたっていう」

(続きは本誌をチェック!)

text by 寺田宏幸

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