Posted on 2013.12.17 by MUSICA編集部

新世代の表現者の象徴となった
じん(自然の敵P)の2013年とは?

 

達成感に浸れる時間があんまりなくて。
また逆に、そこで浸ってしまってはダメだろうという危機感もあるし。
むしろ、自分にどれだけ後がないかをちゃんと自覚する必要があるなって思う

 

『MUSICA 1月号 Vol.81』P.60より掲載

 

■12月18日に8月のワンマンライヴを収録したライヴDVD『ライブインメカクシティ』が、そして2014年の1月1日に、カゲロウプロジェクトのミュージックビデオをまとめた『MEKAKUCITY V’s』がリリースされます。これはある意味、今年の活動を象徴するような2作だと思うんですけれども。

 「はい」

 ■5月にリリースしたアルバム『メカクシティレコーズ』はカゲロウプロジェクトの音楽篇を完結する作品でもあったわけですが、それからどういう日々を過ごしていましたか? もちろん、カゲロウプロジェクト自体はまだまだ続いているので、その執筆に追われる日々かとは思うんですが――。

 「そうなんですよ、まさに。確かに音楽篇は完結したんですけど………『メカクシティレコーズ』のマスタリングを終えた――というよりも、たぶん最後の曲の歌詞、つまり“サマータイムレコード”の歌詞を書いた瞬間に、自分の音楽がひとつ完結した感は確かにあったと思うんですけど。でも、その終わった感に浸れた時間っていうのも、歌詞を書き終わった後の3時間くらいのもので……」

 ■短い(笑)。

 「その3時間も、最初の2時間は『ああ、アルバム2枚分作ったなぁ』という感慨に浸れたんですけど、残りの1時間は『次は何をやろう?』みたいなことを考えてしまって(笑)。でも、それをじっくり考える時間もないまま、バタバタと物事が進んできてしまった半年間だったという感じですね(笑)。正直な話、『メカクシティレコーズ』のインタヴューを受けたりしてる時にはもう、早く次の新しい曲を作りたい!っていう気持ちがあったんですけど、でも小説だったり、マンガの原作だったりっていう書きものの作業がもの凄いびっちり入ってきてしまって、ひたすらそれに追われる生活になってしまいまして………」

 ■まぁそうですよね。凄く不思議なんですけど、すでに音楽で全体のストーリーとプロットは作ってしまっているわけじゃないですか。で、その中で並行して小説も書き、マンガの原作も書きっていうのは、自分の中でカオスになっていったりしないんですか?

 「なります。正直ゴチャゴチャになっていきます」

 ■やっぱり。

 「音楽で作ったストーリー、プロットと矛盾のない形で、でも小説版では0から100までこういう起伏でいこうっていうアイディアはあって、そうすると『今回の巻ではまだコイツにこのセリフは言わせられないぞ』みたいなことはやっぱりあるんですよ。さらにその横でマンガのストーリーも書いてるので……正直、かなりウワーッとなることもありますね。でも、同時に展開していくからこそ、ファンの人達からも『まさかここでこう来るとは思いませんでした』って意見をいただいたりするし、ちゃんと僕が狙ってたところでびっくりしてくれてる手応えはあるので、このやり方自体は凄くいいのかなと思うんですけど。でも本当に、ストーリーを書いていく作業はパズルですね。自分で切り出したパズルをどうやって組み立てていこうか、みたいな感じ(笑)。音楽はどっちかというと解放的な瞬間が凄く多いんですよ。歌詞では理性的に考えるところもあるんですけど、それよりももっとワーッと作れちゃうところも多いから、そこで救われている部分があって。楽器弾くのも好きですしね。でも、書きものの作業になるともの凄いドープになる(笑)。だから、正直言って、音楽篇が終わってしまって書きものだけになってからの半年間は、自分的に結構しんどい状況で進んでます(笑)」

 

 (続きは本誌をチェック!

 

text by 有泉 智子

『MUSICA1月号 Vol.81』