Posted on 2014.12.15 by MUSICA編集部

KANA-BOON、渾身のニューアルバム『TIME』
鮮やかに邁進する今を刻んだ谷口鮪第一声!!

今までは「大事なものは自分だけ、他に何ひとつない」
っていう部分があったんですよ。
それが今までの僕の強さでもあったと思うんです。
でも今は逆に、大事なものを持って、
それを守っていく強さみたいなものが自分の中にある

『MUSICA 1月号 Vol.93』P.32より掲載

 

■いよいよこの号が出る直前に、1月21日にセカンドアルバム『TIME』がリリースされることが発表されます。次号では初の表紙巻頭特集を行うことになっているんですが――。

「よろしくお願いします!」

■こちらこそ。それに向けて、まず今月は鮪くんひとりでアルバム第一声インタヴューを行いたいと思います。

「やっぱりひとりだと緊張しますね」

■(笑)。で、早速アルバムの話なんですが。昨日の夜にアルバム全曲分のTDが終わったばかりということで。

「はい、そうですね」

■つまり、後はマスタリングを残すのみという状態なわけですよね。まずは、ほぼでき上がってみて自分ではどんな感覚を抱いてますか。

「今はまだ終わったばっかりなんで、とにかく『なんとかできたな』っていう感じです。結構スケジュールが大変やったんで。歌録りとかに関しては、初めて1日スタジオ飛ばしてもうて。歌詞ができてなかったんですよ。シングルの時は、みんなが録ってる間にカップリングの歌詞書いてとか、そういうふうにやってたんですけど、アルバムはさすがにそのテンポ感じゃ歌詞が追いつかなくて。ほぼほぼどの曲も歌録りのギリギリまで詰めて、歌詞が完成してすぐ録ってっていう結構ハードなアルバム作りでした」

■逆に言うと楽曲は順調に進んだんだ?

「曲はそうですね、この1年の間に作り溜めてあったものがあったんで、曲に関しては全然困ることなくって感じでした」

■聴かせていただいて、この1年の成長がちゃんと音楽に結実したアルバムだなと思っていて。それはサウンド/演奏面における大幅なボトムアップ――非常に芯の強い、音と演奏それ自体がロックバンドの意志と衝動をきっちりと表すストロングなサウンドが鳴っていることもそうだし、歌詞の内容も含め、この1年の間に改めて確認していったことと新しく決意していったことが非常にリアルな実感と共に楽曲に落とし込まれていることもそうで。昨年のファーストアルバム『DOPPEL』でスタートを切った後、バンドとしてのギアを本格的に上げたこの1年をダイレクトに表したアルバムだと思ったんですけど。

「確かに、ほんまその通りやと思います。実は去年『DOPPEL』を作った後に次に作ろうと思っていたものとは、結果的に全然違うアルバムになったんですけど。その頃は最初にテーマを決めた上でコンセプトアルバムみたいなのを作ろうと思ってたんですよ。でも、そこからシングルを出していくじゃないですか。その時に、コンセプトアルバムにするってことを一切考えずに出してきてしまって。そうなると、今回アルバムにもシングルが4曲入ってるわけで、最初に考えたコンセプトアルバムにするっていうのが難しくなってしまって……」

■そうだったんだ。

「でも、トータルして見ればちゃんとテーマもつけられたし、アルバムとしてはちゃんと一貫性のある作品ができたなとは思ってます」

■『DOPPEL』を作った後にコンセプトアルバムやりたいと思った、その時に考えていたテーマはどういうものだったの?

「なんやったかな………………忘れました」

■おい(笑)。

「あの時はなんか、たぶん『DOPPEL』へのコンプレックスみたいなもんがあったんですよ。自分達の過去の曲を収録していくっていうことに少し抵抗もあったりして。聴く人からしたら全部初めての曲ですけど、僕らからしたらすでに1回味わってる曲だったりするものも結構入ってたから、そこに対するコンプレックスがあったんですよね」

■要するに、ジャスト今の自分達を表したものではないっていう。

「そうですね。だから次作はそうじゃない、ほんとに真新しいものを作りたかったんです。だからテーマも、たぶん考えてはいたんでしょうけど………忘れてしまったな。なんやったんやろう………」

■忘れるくらいのテーマだったのか……。

「あ、でも、ちょっと重めなテーマを考えてたと思います。『DOPPEL』は割とパーソナルな曲が多かったんで、もっと大きいことを歌いたい、みたいな気持ちがあって。そういうバンドになりたいっていう。今もそういう気持ちはもちろんあるんですけど、当時はその意識が凄く強かったんですよね。だから、もしあのままコンセプトアルバムみたいなのを作ってたら、結構重めな、誰が喜ぶねん!みたいなアルバムになってたかもしれない。だから逆によかったです」

■このアルバムは、今のKANA-BOONを見事に刻み込めた作品だと思うんですよ。この1年間にバンドが果たしてきた挑戦と成長と、その上でここからさらに突き進もうとしている意志と方向と理由が、ちゃんと作品として刻まれたものになったと思うんですけど。

「確かにそうですね、デビューしていろいろ大きいワンマンもやったり、フェスでもステージが上がっていったりして。そういう経験とか、そこで生まれた気持ちとか、逆に変わってない芯の部分とか、そういうのは全部ちゃんと曲に落とし込めたような気がします。ほんとに今を詰め込んだ感じですね」

(続きは本誌をチェック!

text by 有泉智子

『MUSICA1月号 Vol.93』