Posted on 2015.02.17 by MUSICA編集部

[Alexandros]、
バンドの現在地に迫る2号連続ソロインタヴュー企画敢行!
前編――川上洋平・庄村聡泰

Chapter 1――川上洋平
「ひとりじゃないんだよ」っていう歌が多いけど、
俺は「人はひとりなんだ」って言いたいんです。
何故なら、自分の人生は誰かに頼って生きるものじゃないって思ってるから

『MUSICA 3月号 Vol.95』P.52より掲載

 

■なんとインタヴューするの8ヵ月ぶりなんですよ。これってウチではデビューしてから初めてのことで。

「8ヵ月って言われてビックリしましたよ(笑)」

■これは何を表しているかというと、フェスやイベント、あと年末のディスフェスと、ライヴはコンスタントにやっているけれども、でも基本的には今までになく制作にじっくり向かい合う期間を過ごしていたということで。まずは、どんな8ヵ月を過ごしてました?

「まず5月から6月にかけては、次のアルバムのデモを作ってましたね。その時にできたのが5、6曲ぐらいあって。で、それを夏フェス期間に温めて、秋にまた後半戦の曲作りに挑んでました。実はそれってセカンドアルバムの作り方と同じなんですよ。その感じを取り戻そうぜっていうのを2013年の終わりぐらいに話して。やっぱりここ最近ずっと突っ走ってきたから、このタイミングで1回ちゃんと時間かけてモノを作るってことをやってみたかったっていうのがあって」

■その話は前作『Me No Do Karate.』を作り終わった直後からあったよね。あのアルバムは、アレンジに関してはかなり時間のない中、瞬発力でいろんなアイディアを出し合いながら作り込んだもので。だからと言って妥協した部分はないし、当時のバンドのテンションや勢いが凝縮したアルバムだったけど、だからこそ次はもう一度じっくり曲と向かい合う制作をしてみるべきなんじゃないかって話はしてましたよね。

「そうなんですよね。前作ももちろん満足してるし、あれはあれで凄くいい経験になったんですけど。でも単純に、あれをやり切ったからこそ、次は瞬発力じゃない部分、本当にじっくり作った時に出るものを試してみたいなって思ったというか。その成果は次のアルバムに出ると思います。でもね、たぶん曲調はむしろシンプルになってると思いますね。『これ、本当に作り込んでんの?』みたいな感じになってると思います」

■そのシンプルさは今回のシングルからも感じるけど、作り込むことによって生まれるシンプルさはあるよね。それってつまり、1回盛り込んだアイディアを精査することで引き算ができていくってことなんだけど。

「そうですね。とは言え、まぁかなり幅広いですけどね。本当の意味で面白いことになってます。有泉さんにかなり昔に聴かせてたヤツとかも今回やっと入ってる(笑)」

■そうなんだ。温めてたのを出してきたって感じ?

「そうですね。あと前からシンプルに8ビートをやりたいっていう話はしてましたけど、それがやっとできつつあって。アイディア的にもそうだし、メンバーの温度的にもそういうものができる雰囲気になってきたんで。“Dracula La”もそうですけど、今回そういう曲が結構ありますね。前に作ったメロディで、でもバンドのアンサンブル的にまだ早いなって思ってたものを今回のタイミングで蔵出ししてきたっていう。2年越しの曲とかありますからね」

■私は今回のシングル聴いてて、ソングライティングが凄く自由だなって思ったんだよね。

「あ、そこは僕の今年のテーマですね」

■洋平くんってバンドをカッコよく鳴らす曲を作るのが凄く上手だと思うんだけど、でも作曲者としての本質的な部分では実はバンドに囚われない、シンガーソングライター的な幅広さやポップネスを持っていて。そういうソングライティングの自由度、シンガーとしての自由度が上がってるなぁと思ったんです。

「メロディ作ってる時は、それを凄い感じてましたね。前作はメロディを作っても考え込んでたことが多かったし――メロディ自体は何も考えずに出てくるんですけど、本当にそれでいいのか?っていうのを凄い考えて、何度もやり直したりして」

■『~Karate.』のインタヴューの時、初めてメロディ作りで苦しんだって言ってたもんね。出てくることは出てくるんだけど自分自身が満足できなくて、作っては捨て、作っては捨て、を繰り返してたって。

「そう。でも今は、『俺の中から出てきたメロディは絶対にいいはずだ』っていう自信がより強くなって。だからそこに関して迷いは一切なくなって、とにかく出てきたメロディをどうやって肉づけして、どういうふうに表現してあげたら一番いい形になるのかってことを見出すほうに時間をかけたんですよね」

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text by 有泉智子

『MUSICA3月号 Vol.95』