Posted on 2015.03.18 by MUSICA編集部

[Alexandros]、
その現在地に迫るリレー式ソロインタヴュー企画
後編――磯部寛之・白井眞輝

Chapter 1――磯部寛之
俺は全幅の信頼を洋平に置いてるし、
実際今でも自分が一番ワクワクしてるぐらいで。
でも、そういうバンドじゃないと
歴史に残るバンドにはなれない気がするんですよ

『MUSICA 4月号 Vol.96』P.46より掲載

 

■前号で洋平くんと聡泰くんにインタヴューをしまして、今月はヒロくんと白井くんです。まずは、2014年の6月に『Adventure / Droshky!』リリース後、ここまでの期間はヒロくんにとってどんな期間でした?

「俺の印象はいい意味でいつも通りというか(笑)。確かにリリースはなかったんですけど、制作はずっとやってたし、ライヴも割とやってたし……だからツアーがなかったくらいで、あとはいつも通り忙しく動いていたっていう感じですね。次の6月にアルバム発売なので、その仕込みは水面下で徐々に徐々にやってたし……その水面下の作業は今も進行中ですけど(笑)」

■というか、まさに佳境だと思いますが(笑)。でも、デビュー以降めまぐるしいスピード感で活動してきた中で、久しぶりに長いタームで制作に取り組めたことは有意義だったんじゃないかと思うんだけど。

「そうですね。とはいえ、これまでも1枚アルバムを出したら、すぐにもう次のアルバムを意識し始めるっていう感じはあったので。あと、制作って時間があればあるだけやっちゃうものだし、やっていく中でアイディアもどんどん出てくるから……だから結局、制作期間が短かろうが長かろうが、レコーディングまでにいかにして形にするかって部分は全然変わってない気がします(笑)。俺らは元々自分達がやりたいようにやってきたバンドなんで……もしかしたらそれがより自由になってる印象はあるかもしれないですけど。上モノに関して言えば、こういう音が入れたいってなった時にすぐ実現できる環境が今はあるし、そういう部分で自分達の中や、主にアイディアマン川上洋平から出てくる音を形にする方法は増えていると思うんですけど。……だから今回『も』自分達がやりたいようにやれている、自由にできている、という感覚ですかね」

■今回の『ワタリドリ / Dracula La』は10枚目のシングル、そして次のアルバムは5枚目なんですよね。これだけバンドの歴史と作品を重ねてきても、今なお落ち着くことなく新鮮な気持ちで、より果敢に新しいことに挑戦できている、そういうある種の無邪気な思春期性が失われないのは何故なんでしょうね?

「うーん……でも、歴史があるっていうには俺らはまだ早過ぎるって自分達では思ってて。やっぱり今でも乾いてるというか、もっともっとやりたいことのほうが多過ぎて、まだ落ち着く場合じゃないし、振り返ってる場合じゃないんですよね。やっぱり、まだまだ実現できてないことのほうが多いですから」

■そうだよね。

「それをどうやって実現させようかってことを考えて行動に移してるうちに、あっという間に月日が過ぎるというか(笑)。それはある種、凄く幸せなことなんですけど。そうやって常に考えて実践している途中なので、まだ微塵も落ち着く兆しはないし……でも、もしかしたらいきなり落ち着いたりするのかもしれないけど(笑)。音楽もバンドも、先のことはわからないですからね。ただ、自分達がこうなりたいっていう目標や指標に向かって、その先を見据えてやっていくのはこれからもずっと変わらないと思うんですけど」

■このバンドの目標はもっと遠く高いところにあって、それを考えれば今はまだ道半ばの状態であるということは理解しているんですけど。ただ、とはいえ去年武道館をやったり、夏フェスでメインステージやトリを任されたりしたことは、このバンドがずっと駆け上がってきた中で掴んだひとつの成果でもあったと言えると思うんだけど。その辺はどう捉えているんですか?

「純粋に嬉しかったですけどね。でも、そこで何らかの達成感を感じられたかというと、それはやっぱり全然なかったんですよね。だから『これからもっと上に行こうね』っていう活力剤になったっていう言い方が一番合ってるんじゃないかと思います」

■不思議なもので、何かを掴めば掴むほど、大きい場所に立てば立つほど、自分が届いてないもの、手に入れられていないものがはっきり見えたりするもんね。

「ほんとそうですね。……ただ、届いてないものがはっきりした上で、どうやってそこに行くのかっていうHOW TOの部分はひとつずつ明確になってる感じがあって。やっぱり何かを掴むと、自分の中でイメージがちょっと具現化されるんですよね。たとえばデカいステージに実際に立って、そこから見える景色っていうのを体験することは、次にどうすればいいかっていうことを考える機会にもなるし、それによって自分達が進むべき道筋が見えたりもするし。だから、一つひとつ具現化して、それを踏まえて次に向かってるっていう……そういう感覚が強いですね」

(続きは本誌をチェック!

text by 有泉智子

『MUSICA4月号 Vol.96』