Posted on 2015.09.16 by MUSICA編集部

indigo la End、冴えわたる充実期!
才気を爆発させたシングル『雫に恋して/忘れて花束』投下

自分でやってて、
こういうバンドは本当にいないなって思うし、
割と唯一無二的なところまで来てるなって思ってて(川谷)

『MUSICA 10月号 Vol.102』P.56より掲載

 

■引き続きコンスタントにシングルがリリースされてますが。どういう意味合いでこのシングルを出したかっていうところから伺いましょう。

川谷絵音(Vo&G)「栄太郎が入って1枚しか出してなかったのんで、とりあえず出したいっていう、ただ単にそれだけなんですけどね」

■なるほど。ゲスの極み乙女。もそうなんですけど、何しろ作品を出していくじゃないですか。世の中では10年ぐらい前から「シングルはタイアップがつかなきゃ出す意味がないんじゃないか」って言われ続けていて、それこそ5年前からはそういう定説がシーンの真ん中にあったりするんですよね。そこと自分らの行動のギャップはどういうふうに考えてるんですか?

川谷「まぁタイアップがつけばいいなぐらいに思ってはいるんですけど(笑)、逆に言えばタイアップがついても売れないのは売れないし。僕、定期的にALLジャンル、CDの売上げのチェックはしているので、『こんなデカいタイアップがついてるCDでも、これだけしか売れてないんだ』とか思うんですよね。それってタイアップの意味がないし、そもそもシングル出すこと自体に意味がないっていう話になっちゃうから、アルバムを売っていくために曲を出していかなきゃいけないっていう想いもあって。あと、僕らは出したい時に出せるっていう状況があるんで、ただ単に音楽的欲求として自分達の曲を出したいっていう、ほぼそれだけですね。今回は、元々両A面にするつもりはなかったんですけど、“雫に恋して”のバンドサウンドだけは1月からあって、もうレコーディングも録り終わってて。それで歌だけが入ってないっていう状態で『どうしようか?』って言ってたんですよね。そしたら、レコーディング寸前に“忘れて花束”っていう曲ができたんです。本当は別で録ったやつをシングルにするつもりだったんですけど――」

■ん? このタイミングでシングルを出そうと思ったけど、“雫に恋して”じゃなくてもよかったし、“忘れて花束”じゃなくてもよかったってこと?

川谷「そうですね(笑)。もっと別のものがあったのんで、それをシングルにするつもりで動いてたんですけど、直前に曲を作り始めたら、“忘れて花束”が凄いいい感じにできてきて。で、カップリングどうしようかと思っていたら、1月に録ってたやつがあったんですよ。それが後の“雫に恋して”で、それに歌を入れてみようってなったんですけど、全然思いつかなくて。で、全然サウンドが違う元々あった曲に使ってたサビの譜割と歌詞とメロディをこのバンドサウンドに当ててみたんです。そしたらバツンってはまって、『これがリードじゃない?』みたいな話になって。でも“忘れて花束”も凄くよかったから、甲乙つけがたいねって話になって。じゃあ、両A面でいこうかっていう感じになって」

■そもそも“雫に恋して”の元ヴァージョンを1月に録ったのって、“悲しくなる前に”(前作シングル)とかと一緒に録っちゃったからなのか、栄太郎くんが加入して、バンドで曲いっぱいやっていこうっていう流れから生まれてきたものなのか、どっちだったの?

川谷「“悲しくなる前に”よりはだいぶ前に録ったんですよ」

後鳥亮介(B)「“渇き”(カップリング曲)とかと一緒ですね」

佐藤栄太郎(Dr)「そもそも、あのシングルに入れるつもりじゃなかったんだっけ?」

長田カーティス(G)「“悲しくなる前に”のレコーディングの直前で、やっぱり曲作ろうってなって“悲しくなる前に”を作って、“雫に恋して”が溢れて、今度はこっちに回ってきたみたいな(笑)」

川谷「1月の時点では、『幸せが溢れたら』(アルバム)のレコーディングが終わって、まだリリースされてない状態で、かつオオタさん(オオタユウスケ/前任のドラム)が辞めた直後でもあったのんで、今までと違うっていうか――『幸せが溢れたら』はまだ世に出てないけど、世に出た後のことを考えて、これとはちょっと違うものをやろうと思って。『幸せが溢れたら』が結構ゴリゴリなアルバムではあったんで、そういう部分じゃなくてもうちょっと切ない新しい部分を見せようっていうのがあったんですよね。ミディアムテンポで、歌モノで、かつちゃんと栄太郎のドラムが映える曲というか。で、歌詞も言葉数が多い感じのサビにしてたんですけど、ずっと宙に浮いてて。それで今回やっとメロディがはまったっていう」

■この“雫に恋して”は特に名曲でした。バンドのストーリー的に言うと、僕は前号でこのバンドはどんどんバンド界のライザップ的存在になってると言ってきたんですけど。グルーヴや音の強度の筋肉が増しているという意味でのライザップね。

一同「(笑)」

■つまり“悲しくなる前に”はボトムの太さや演奏の強さが楽曲の中で割と前に出てきていたから、このシングルでは新しいメンバー編成でそもそもの武器であったindigo la Endの繊細さを出してみるっていうものかなと思ったんですけど。でも今の話を聞いてると…………外したか。

川谷「はははははは。でも、結局いつも自分が出したいタイミングで出してるんで、これも自分なりに『これがはまるんだろうな』っていうのはあったと思います」

佐藤「これ録った時って、みんなで合わせ始めてすぐの時なんですよね。特に僕は『幸せが溢れたら』のツアーをやるから曲を覚えてリハしようってなったので、初めて行った時にアルバムの中の曲を3曲ぐらい覚えて行ったんですよね。で、初めてのスタジオでその3曲をスパッとやったら、『じゃあ、2週間後ぐらいにレコーディングあるから、曲作っていい?』って言われて(笑)」

長田「『次までにお願い』みたいな(笑)」

佐藤「『次はまた新しい3曲覚えてきてね』っていう(笑)。でも、その時は不思議と『何言ってんの?』とは思わなかったんですよ。今もきっと思わないですけど、普通だったら『マジか!?』ってなるところが、『オッケー! わかった!』みたいな感じでスパッといけたんですよね」

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text by鹿野 淳

『MUSICA10月号 Vol.102』