Posted on 2016.02.18 by MUSICA編集部

Galileo Galilei、
あまりにも唐突に告げられた活動終了の真相と、
ラストアルバム『Sea and The Darkness』で見せた真の姿――
そのすべてを赤裸々な肉声で綴る

終わらせるまでの時間っていうのは、
むしろ、逆に生きてる感じが凄いした。
一気に自分の周りの風景やメンバーといる時間に
色がついていくような、そんな時間を過ごせたから

『MUSICA 3月号 Vol.107』P.92より掲載

 

■タイトルにも示唆されている通りとてもダークな、どうにもやるせない悲しみや憂鬱、虚無や憤り、孤独といったものが生々しく表されたアルバムなんですが、同時にとても美しく、バンドらしい作品だと思いました。Galileo Galileiのひとつの到達点であり、そしてその生々しさという点で実はこのバンドとしては非常に新しい側面をもった作品ですね。

「ありがとうございます。こういうのはあんまり自分で言いたくないけど、でも今回のアルバムは今のところの最高傑作ができたなって思ってて」

■これはそもそも、明確に終了を決めた上で作ったアルバムなの?

「そうです。というか、最初は作るつもりもなかったアルバムなんです。終了は、3年ぐらい前からじわじわと考えていて。最初はバンド名を変えようっていう話から始まったんだけど、少しずつ『いや、そうじゃないんじゃないか』って話になっていって……で、一度はミニアルバム(『See More Glass』)を最後にもうやめてしまおうって話になったんだけど」

■3年前っていうと、『ALARMS』の頃にはそういう意識がすでにあったということ?

「そうですね。だから『ALARMS』を作り終わって、『See More Glass』作ってる頃にはもうこれで終わりにしない?っていう話をしてました」

■Galileoを終わらせようという話になったのは何がきっかけだったんですか。3人になったこと? それともまったく別のこと?

「3人になったことは実は全然関係なくて。むしろ、バンドをスタートした時のメンバーであるこの3人以外の人間がいたら、また違った結果になったのかもしれないけど。でも、どのみち遅かれ早かれこういう話にはなってたんじゃないかなと思ってて。……Galileoって最初はみんなで集まってマリオカートをやるみたいな、そういう遊びの延長で、仁司(佐孝仁司/B)の家のガレージからスタートして。で、いつの間にかメジャーデビューまで凄い勢いで進んでいって――まぁ俺達自身に勢いがあったわけじゃなかったんだけど(笑)」

■閃光ライオットでグランプリ獲ってからデビューまで、周りからの勢いも凄かったし、トントン拍子にブレイクした感じだったよね。

「はい。だから、まだ10代で特に未来のことを決める間もなく、ミュージシャンっていう仕事を生業にするようになって。でも、その中で俺らは運よく音楽に人生を賭けたくなってしまった――子供の遊びだったことが、いつの間にか本当に人生を賭けてやりたいことになったんですよね。これに人生を賭けることでもしかしたら他の大事なものを失うかもしれないけど、それでも音楽がやりたい、音楽が本当に好きで、音楽に熱中することに生き甲斐を感じるような、そういう本当のライフワークになった。ただ、そうなってしまったことで――たとえ話になっちゃうけど、俺達はずっと、3人で子供の頃の遊び道具であるオモチャの車にずっと乗ってた感じなんですよ。で、俺達が大きくなっていくにつれて、その車はもう狭くて狭くて仕方ないっていう状態になっちゃったんだけど、でも、それでも俺達はそのオモチャの車が大好きで。Galileo Galileiってバンドが凄い好きだったし、乗り物として本当にお気に入りだったんです」

■窮屈だからといって、ひょいって簡単に捨てられるものではなかった。

「そう。ただ、凄い気に入ってたけど、でも同時に、いつまでもオモチャの車に乗っていることが凄く恥ずかしいって気持ちもあって。あと、それを言い訳にしちゃえる状況だったというか。無意識のうちにですけど、これまで曲を発表していく中で『だってしょうがないじゃん、この車ちっちゃいんだもん』っていう気持ちが少なからずみんなにある気がして。それでこのままじゃダメだと思って、3年前くらいに何か変化が必要だなと思って……それで俺は『バンド名を変えてみない?』って言ったんだけど」

■なるほど。それが終了っていう決断になったのは何故だったの?

「バンド名が変わったところで、きっと俺らが感じてる窮屈さだったり、寂しさは変わらないなって気づいたから。……なんか、ずっと懐かしさの中にいる気持ちだったんです。みんな大人になって進んでいくにつれて、子供の頃に大事だった場所とか思い出とかは過去のものになっていって、思い出すだけの記憶になっていくじゃないですか。でも俺らの場合は、ずっとそのセピア色の過去に囚われてたというか」

■それは、Galileo Galileiっていうもの自体が自分達の少年時代とイコールだった、その象徴みたいなものだったからだよね。

「そうだと思う。で、そういう想いが少しずつ積もって限界が来て、それで『バンド自体を終わらせよう』っていう話になった……だから正直、ここしばらくは『Galileo Galileiを終わりにしたい』っていう一心でやってきてたとこがあったんです。でも、自分でも不思議なんだけど、終わらせるって決めてから今に至るまでの間に喪失感はまったくなくて。もちろん苦しんだけど、この終わらせるまでの時間っていうのは、むしろ逆に生きてる感じが凄いした。一気に自分の周りの風景やメンバーといる時間に色がついていくような、そんな時間を過ごせたから。だから今は終わらせるってことに関してネガティヴな気持ちは一切なくて。もちろんこれから凄く大変な思いはすると思うけど、そのほうがいいとさえ思えてるし。俺達はここでオモチャの車を降りるけど、俺はそれを捨てたり燃やしたりはしないし、否定もしない。でも、そのオモチャの車はここに置いていく、それで俺らは次に行きたいなっていう、そういう感覚なんです」

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text by有泉智子

『MUSICA3月号 Vol.107』