Posted on 2016.04.17 by MUSICA編集部

04 Limited Sazabys主催、「YON FES 2016」。
2日間の熱狂とそこで見えた確かな未来像を
レポート&インタヴューでおくる!

04 Limited Sazabysが、
時代を共に疾駆する仲間と描き出した念願の「YON FES」。
全力の青春とライヴバンドの誇りと
バンドロマンの煌めきが投下され続けた爆心地、
その渦のど真ん中から熱狂レポートを綴る!
そしてインタヴューで語り合う!

『MUSICA 5月号 Vol.109』よりP.8掲載

 

昨年の7月に『CAVU』tour・名古屋公演の密着取材をした際、実は4人からすでに「来年の春、フェスをやりたいんです」「絶対ここでやりたい!っていう場所がひとつあるんです」という話は聞いていた。『CAVU』以降一気に加速した状況や動員を考えれば、野外の大規模ワンマンだって、アリーナクラスのライヴだって切れるはず――その時はそんなことも思ったが、よくよくフォーリミ4人が放つ強烈な青春感の源泉を考えれば、「バンドとして主催するフェス」を興すことへの並々ならぬ夢がハッキリと浮かび上がってくる。Hi-STANDARDがAIR JAMで生み出したパンクとストリートカルチャーの融合や、10-FEETが京都大作戦から放ち続ける「仲間と地元ライヴハウスへの巨大な愛」、そうして無謀なほどの夢を掲げて自分達だけの遊び場とムーヴメントを遮二無二ハンドメイドで作り上げた先人達への純粋過ぎる憧憬が、04 Limited Sazabysが放つ無邪気な衝動と熱い遊び場感のルーツにあるものだ。だから、バンドとしての夢を叶え続けてきた先の大きな階段が、迷いなく「フェス」になったのだろう。

さらに両日のラインナップを見てみると、「同世代」「地元・名古屋シーンの盟友」というキーワードが色濃く見えてくるブッキングである。フォーリミ自身もたびたび「この世代がシーンを引っ張っていくんだと示したいんです。それによって、地元の人にもっとバンドに憧れて欲しいし、お世話になってきたライヴハウスや名古屋のシーンに還元したい」と口にしてきた通り、名古屋のメロディックパンクシーンから飛び出し、音楽的な解放と変化と試行錯誤を繰り返しては仲間を増やして駆け上がってきた04 Limited Sazabysのドラマがひとつの輪になって結実したのが、この「YON FES」だったのだと思う。

では、04 Limited Sazabysにとっての「世代感」とは何なのだろう。

GENは以前から「僕達の世代は、もうCDを出しても売れないっていう現実もリアルに見せられてきた世代だと思うんです」と話してきてくれた通り、ライヴハウスシーンのCDセールスもかなりの勢いを誇っていた世代を見て、バンドへのロマンを抱いて育った時代がまずあって。しかしそのうちに、マーケットの中心が次第にデジタルへ移行し、音楽に手軽さとわかりやすさが重視されるようになって、耳にタコができるほど「CDは売れない」と嘆かれるようになった時代を今体感している。僕も彼らとまったく同じ世代だからわかるが、その時代の狭間を物心ついた状態で体感してきたのが、フォーリミの世代なのだと思う。そしてだからこそ面白いのは、「CDが売れない」という現状でも憧れを追い、自分達にしか出せない音・自分達にしか表現できないライヴを追求し、その結果、パンクシーンやギターロックシーンに括られながらも、どこかひとつ角が出たオルタナティヴな音楽性を持つ自由な感性のバンドが次々に頭角を表してきたのが、まさに今なのだ。

事実、この2日間モリコロパークに鳴り続けていた音楽は21バンド21様のバラバラ具合だった。しかし、これまでのフォーマットやそれぞれのルーツに対して各バンドが圧倒的に自由であることこそが、この世代の絆なのである。そういう、個々の闘争宣言のようなライヴで熱いバトンが繋がれていく様は、まさに「ただの最高の屋外ライヴハウス」だったし、その光景にこそ、このフェスをオーガナイズした04 Limited Sazabysというバンドのアティテュードと人柄が映っていた。

たとえば1日目の両ステージのトップバッターを任された、地元・名古屋の盟友BACK LIFTとSpecialThanksのライヴもまさにそういうもので。特にKICHIKUは「フォーリミが俺達にトップバッターとしてこの景色を見せてくれたことが感慨深い」と話したが、そのフォーリミの想いに応えるには、ただひたすら自分達の音楽と色を放っていくことこそがこのステージに立つ意味であり、フォーリミへの最大の敬意なのだと明確に理解しているような、熱量高い歌をどこまでも伸びやかに飛ばすアクトを魅せた。そしてさらに、THE ORAL CIGARETTES、Brian the Sun、HAPPYという、「スペシャ列伝JAPAN TOUR 2015」をフォーリミと共に回った仲間達も集結。まるで同窓会のような団欒が広がっているのを見たKOUHEIが、「バックヤードはまさに同窓会みたいにしたかったから、嬉しいです。……だけどみんな、ライヴはスゲぇ気合いを見せてくると思う」と話したが、その言葉通り、ORALはリハ・サウンドチェックから一気にギアをトップに入れ、そのまま雪崩れ込んだ本編でも、ひたすら拓也の歌とアンサンブルがデッドヒートを繰り広げるようなアクトを叩きつけた。それをステージ袖で見ていたGENは、「本物感がヤバいっすね」とこぼしていた。ただ、そうした刺激と真剣での斬り合いが繰り広げられていたことこそがこのフェスの楽しさの肝で。多くのバンドのライヴで、フォーリミへのリスペクトや初開催を祝う言葉はあっても、その音の目つきは徹頭徹尾鋭かったのである。そんな光景と、多くのバンドがステージ上で話した「フォーリミとは、全然お客さんが入ってなかった頃からお互いに切磋琢磨してきた」というライヴハウスバンドならではのMCが重なって、同窓会にしては熱すぎるドラマが連打されていった。

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text by矢島大地

『MUSICA5月号 Vol.109』