Posted on 2016.05.17 by MUSICA編集部

NICO Touches the Walls、
10年越しの想いを花開かせた大阪城ホール公演を
徹底レポート&インタヴュー!

その感情を燃やし尽くし、その想いを轟かせ、
彼らにしか鳴らせない音楽を、彼らにしか描けない景色を、
遂に大きく、大きく解き放った感動のステージ――
ターニングポイントたる名作アルバム『勇気も愛もないなんて』と
ツアーの中で確かなる覚醒を果たしたNICO Touches the Walls、
その証たる大阪城ホール公演レヴュー&インタヴュー!
さあ、NICOの飛躍は、まさに今ここからだ!!

『MUSICA 6月号 Vol.110』P.58より掲載

 

 NICO Touches the Walls、初の大阪城ホール単独公演「渦と渦~西の渦~」。1月8日に行われた日本武道館公演「渦と渦~東の渦~」と対をなすスペシャルライヴで、元々は昨年の12月に予定されていたが、古村の骨折によって5月6日に延期になっていたものだ。

 ご存知の通り、その間にNICOは紛うことなき最高傑作にしてターニングポイントとなるアルバム『勇気も愛もないなんて』を完成させて世に放ち、3~4月にはそれを掲げてのツアーも周った上で、この日の大阪城ホール公演に挑むことになった。つまり、NICOというバンドの歴史にとって非常に重要な期間であり、彼らがバンドとして著しい覚醒と飛躍を遂げた期間であったこのタームの締め括りを飾るステージとなった本公演は、本当に結果論だけど、彼らにとってもお客さんにとっても一番いい形での初の城ホール公演となったと思う。4月24日に行われたZepp DiverCityのツアーファイナルも観に行ったのだけど、そのライヴが間違いなくNICO史上のベストライヴだったと言えるほど素晴らしい――というか凄まじいと言っていいほどの出来栄えで、アルバム制作とツアーを通して果たして獲得したものの大きさに心の底から感動と感嘆を覚えたのだけど、そんなファイナルからまだ2週間後という脂の乗り切った状態で臨んだこの日のNICOは、あのファイナルとはまた別の意味をも孕む素晴らしさを体現していた。これは断言してもいいが、当初の予定通り昨年12月に開催していたら、城ホールという巨大な空間をこんなにもエモーショナルかつ音楽的で、そして飾らない自信と愛に満ちた感謝で溢れさせるライヴをやることはできなかっただろう。その感動は、別に古村の骨折からのリベンジストーリーとしてのドラマ性からくるものではなくて(それも多少はあったかもしれないけど)、この半年の間にNICOというバンド自体が自身と自らの力で遂に開かせた大輪の音楽がもたらしたものであり、さらに言えばここに至るまでの“ローハイド”からの3年間の旅――いや、10代で結成してから実に12年という長きにわたる旅の中で、彼ら4人が自分と音楽とバンドを見つめ続け、取っ組み合い続け、試行錯誤し続けた、その闘いの確かなる成果としてもたらされたものだ。

(中略)

 終演後、バックステージでやり切った達成感と共に満足げな笑顔を浮かべる4人とインタヴューをした。彼らの飛躍は、ここから始まるのだ。

 

■終わったばかりですが、どうですか?

光村龍哉(Vo&G)「うん、もうやり切った(笑)。ホッとしてるっていうのが一番かも」

坂倉心悟(B)「ひとまずのゴールは迎えられたかなっていうのはあるよね」

光村「図らずもツアーファイナル的な気持ちもあったしね(笑)」

■次がちゃんと見えたんだ。というか、延期でたくさんの人に迷惑をかけただろうけど、結果的に今日が城ホールでよかったと思った。アルバムツアーのファイナルもZepp DiverCity観に行って、あれが本当に素晴らしかったんだけど――。

光村「Zeppよかったでしょ?(笑)」

■あれは間違いなく今までのNICOで一番よかった。で、やっぱり『勇気も愛もないなんて』を出してツアー回ったことで覚醒も成長もしたし、その一番脂が乗ってる状態で城ホールに臨めたっていうのは、結果的に凄くよかったと思う。待ってた人も待っただけの甲斐があるライヴだったよ。

光村「そうですね。大阪って自分達にとってはやっぱりアウェーでもあって。東京のバンドだし、大阪って自分達の土地を愛する精神が凄いから。だからここまで、その人達とどうコミュニケーションを取っていくのかの歴史だったんですよね」

■10年前に梅田のシャングリラで大阪初ワンマンをやった時から。

光村「そう。あれから10年ずっとやってきて、今の自分達の『これ以上は出ないんだ』っていうぐらいのやり切りを大阪で残せたのは凄くよかった。同時にこの3年くらいのモードに1個区切りがつけられた達成感もあるし、充実感もあるし」

■達成感と共に、始まりの夜って感じは強くしたけどね。本領発揮したNICOがここから始まっていく、その場所にやっと立てた実感がありました。

光村「俺らとしてはこの3年、『この球を信じよう』って思いなが目の前にいるお客さんに投げ続けてきた感じはあって……だから自分達としてはどっちかっていうと、『やっと見てもらえた』って感じが強いかな。もちろんそこから始まるっていうのもあるんですけどね。ただ、ある種この城ホールで自分達の信じてきたものを証明したっていう、凄い勝利感があるんだよね」

■それは凄くよくわかる。

光村「だからお客さんにもそう思ってもらえて、今日を楽しんでくれたらよかったなって思うし。あと今日はスキャットもキレてたし(笑)」

古村大介(G)「長かったねぇ(笑)」

対馬祥太郎(Dr)「今までで一番長かった(笑)」

■というかあのスキャットはゾクゾクした。

坂倉「でも、その始まり感っていうのは俺も共感できますね。ほんとさっき言ってくれた通りで、自分達としても脂の乗った感覚でできたのは凄くよかったと思うし。大阪って普段はツアーの序盤にやることが多いので、それをこの土地の人と共有できたのはよかったなって」

(続きは本誌をチェック!

text by有泉智子

『MUSICA6月号 Vol.110』