Posted on 2016.08.18 by MUSICA編集部

UVERworld、共闘と不惑の意思を叫ぶ
シングル『WE ARE GO/ALL ALONE』リリース。
鋭気漲る現在とその先に迫る

僕はいろんなものを秤に乗せて降ろしたりする作業が上手いんだとは思います。
だから背負い過ぎることもないし、UVERworldに対して他の物事を
軽く見過ぎることもない。常に自分であり続けているというか

『MUSICA 8月号 Vol.112』P.80より掲載

 

■インタヴューは本当にご無沙汰になります。最後にお会いしたのはSKY-HIの楽屋で、横浜マラソンで初のフルマラソンを完走した直後の感動の瞬間だったね(笑)。

「ああーー!! そうだそうだ! そうでしたね(笑)」

■で、今日は膝を突き合わせてじっくり音楽の話と、バンドの現状を教えてもらおうと思います。今回のシングルは、基本的にはタイアップがあってリリースするという位置づけのものなんですか?

「はい、リリース自体はタイアップの話をもらってからです。でも“WE ARE GO”に関しては随分前から作ってて。それもかなり今までとは違う特殊な作り方なんですけど――みんなで合唱してそうな、初めの<We are>っていうところが、実は去年のうちにはカッコいい<We are>が録れてたんすよ」

■それはカッコいいメロディが浮かんだんじゃなくて、カッコいい<We are>のコーラスが、レコーディングでメンバーと一緒に録れたってこと?

「そうです。なんか曲にサウンドステッカーみたいなものが欲しいと思って。たとえば“7th Trigger”やったら口笛だったりとか、他にもパーカッションだったりクランプとか、いろいろあるじゃないですか? それで次の曲はどんな感じでいこうかな?って思った時に、UVERworldって6人で『We are感』あるし(笑)、ファンの人達とのライヴでの一体感も僕らは他のバンドさんに引けを取らないくらい『We are』感あるし、それでこの言葉が出てきた時に、『俺達でこれから何かを切り開いていく。進んでいく』みたいなものが、凄く簡単にイメージとして出てきたんです。そこからはこの<We are>をどうやってカッコよく聴かせようかってことを考えてって、この“WE ARE GO”に辿り着くまでに、あらゆるできてくる曲に次々に<We are>を乗せていったんです」

■はははははははははは、凄いWE ARE な旅だね。

「ははは、本当そうです。で、その都度テンポとかキーは変えてみますけど、『なんか<We are>がもったいないな』ってなったりしながら試行錯誤を続けて――それで最終的には、大体曲の60%くらいをメンバーがパーカッションを叩いてるっていうちょっと特殊な曲ができ上がってきて、そこにこの<We are>っていうサウンドステッカーを置くとグッときたから、それを広げていく作業で。本当に今までにはなかった特殊な作業でしたね」

■たとえば“7日目の決意”とか“僕の言葉ではない これは僕達の言葉”とかのように、夢の中だったりでインスピレーションが生まれた時、それを1曲の歌としてちゃんとメロディを主体にして作っていき、そこにバンドメンバーが合わさっていろんなトラックが集まったりいろんなリズムが入ってって1曲になるっていうのが、TAKUYA∞くんの中では通常のソングライティングだったりするの?

「僕はあんまり曲の作り方にセオリーはないですけど。でも今回は初めてのやり方でしたね、この<We are>というステッカーを活かそうっていうのは(笑)。大体でき上がってくる曲に口笛を入れてみたりとか、そういう発想が多いですし、一番多いのはアコギでの歌とメロディと軽い歌詞があって、そこにみんなが乗っかっていくっていうのが一番多いですね。夢で見るパターンはさすがにそんなにはないです(笑)」

■そりゃそうだよね、すまん(笑)。 

「はい(笑)。でもその中でも僕は割と夢曲があるほうではあるかもしれないですね――僕が拾えてないだけで。“僕の言葉~”と“7日目の決意”の間にも2回ぐらいあって、1回は拾えへんくて、2回目もぼんやり見たような見てないようなって感じなんですけど」

■それって果たして本人にとっては幸福なことなの? というのも、たとえば僕なんかも仕事の夢を見るんです。でもそれは大抵、「あ、まだこの原稿書いてなかった! ヤベぇ!!!」ってことで起きるとか、そういうネガティヴな強迫観念から来る夢だったりして。TAKUYA∞くんにとって、夢の中で未知の音楽が出てくるのは果たして幸福なことなのかな?

「ここまで200曲近くUVERworldで作ってて、ボツにしたものとか合わせたら500曲くらい作ってると思うんですよね。その中で(作曲において)大きなテーマになってくるのは、『いかに自分のいいところを残しつつ自分の癖から離れることができるのか』ってことなんですけど、なかなか癖って取れないんですよね。結局そこに行ってしまったりとか、それを気持ちいいと感じてしまったりとかして。でも夢って自然とそういうところから離れてくれて、自分になかったところに行ってくれるから、これは儲けもんやって思いますね。拾えへんかった時めちゃめちゃ悔しいですけど」

■宝物を逃しちゃうわけだからね(笑)。

「この10年間でも結構逃してて――僕意外と真面目な人やから、東京に来て初めの2年間くらいはずっと、すぐ録音ができるように枕元にテレコ置いて寝てたんですよ。でもデビュー当時くらいに2、3回あったんですけど、録ってみて次の日聴いたらしょうもないものだったんでもうやめてたんです。それが“7日目の決意”で形になって、しっかり拾えへん時は結局自分の癖に落ち着いたりしてしまうんですけど、ちゃんと拾えた時はいいとこにいくというか――ダリの有名な時計がだら~んって垂れてる画(『記憶の固執』)も、寝てる時に思いついたらしくて。で、彼も寝てる時のイメージっていうのは起きた瞬間に忘れてしまうから、一時は座りながらスプーンかなんかを咥えて、樽を下に置いてガクンってなって起きたら、何を見たっけ?って思い出して描いてたみたいな話を聞いて。だから最近は寝てる時にマネージャーが起こして来たら怒ったりします(笑)」

■あははははは! 俺のスリープはソングライティングなんだと(笑)。

「『今曲作ってったんや!』って言って(笑)」

■結果論的に言うと、ずっとこうやってレコーディングを続けていて、TAKUYA∞くんの人生ってほとんどスタジオの中でしょ? 今話していただいた“WE ARE GO”は、言ってみれば曲作りの段階で、非常にコラージュ的な発想が強い音楽だと思うんですよね。それはそういう生活を続けてたことによる自分の成熟や進化の産物なのか、もしくは単純にこういう音楽をやりたかったっていう気まぐれなのか、どっちなんですか?

「後者ですね。まあ何より僕も相当スタジオにいますけど、でもとことんいる人に比べたらそれほどでもないと思うんですよ。自分は無理ができない質なんで、無理にスタジオにいるっていうのができないんですよね。遊ぶ時は遊んでるし――たぶん横浜マラソンの日もメンバーのみんなはスタジオ入ってたと思うんですけど、でもああやって気分転換に走らせてもらったりして。僕はスタジオで机の上に向かっても、いくら考えても出てこないタイプの人なんです。でも外に出て何か吸収して、スタジオで曲作ろうってなった時には、もう大体全体的にはできてるんですよね。だから人生のほとんどスタジオにいるわけではないし、産物っていうより気まぐれです。常に自分の音楽で感動していたい、新鮮さを感じていたいってとこから出てきた感じです」

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text by鹿野 淳

『MUSICA8月号 Vol.112』