Posted on 2016.10.16 by MUSICA編集部

KANDYTOWN、アルバム『KANDYTOWN』でメジャーデビュー。
時代を担う16人からなるクルーに迫る

普通は何かイメージを共有するとか、
コンセプトを立てるとかするんでしょうけど、
そういうのはまったくなく。ただ、俺らは俺らの生活を
そのまま見せようっていうのがそもそものコンセプトだから(YOUNG JUJU)

『MUSICA 11月号 Vol.115』P.74より掲載

 

■初の全国流通盤となるアルバム『KANDYTOWN』が、いきなりメジャーレーベルからのリリースとなります。これはどういう経緯でこうなったの?

YOUNG JUJU「去年『Kruise』を出した後、11月ぐらいにレイジくん(OKAMOTO’S)から『興味持ってる人がいるんだけど、1回でいいから話してみない?』って言われて、今の担当の人と会ったんですよ。で、俺らの意見を尊重してやっていいよってことだったんで、合致して。今まで全部自分達で完結してた――曲を書くこと、ビートを作ること、ミックスすること、映像を撮ることまで全部自分達の中で完結してたから、今回も自分達でやれることは自分達でやりたくて。それでOKということだったから。でもたぶん、ワーナーから話がなくても、今ぐらいの時期にKANDYTOWNとしてアルバムを出そうとしてたとは思うんですけど」

IO「俺らはメジャーとか、どこで出すのかってことは別にそんなに重要じゃなくて。ただ自分達が出すに当たって一番ベストな環境と思ったのが今回のワーナーだったっていうだけだったと思いますね。結果的にメジャーでやってもらうことになったって感じだと思います」

■はたから見てると最高だけどね、ストリートで500枚限定で出してたヒップホップのクルーがいきなりメジャーからファーストを出すっていうのは。KANDYTOWNは幼馴染からなるクルーで、中には保育園から一緒だった奴らもいるわけですが、中でもこの3人の出会いはどんな形なの?

JUJU「俺はIOくんやYUSHI(ズットズレテルズのメンバーでもあった、ドカットの名でも知られるラッパー。2015年2月に急逝)の学校の後輩で。呂布くんはYUSHIとかIO君のクルー(BANKROLL)の人っていう認識だったんです、初めは。紹介してもらったのは15、16歳の時だったと思うんだけど、でもその前からBANKROLLを観てたし聴いてたんで存在はずっと知ってて」

呂布「俺はB.S.C.と中学が一緒で、ヒップホップが好きっていうのがわかって仲よくなって、ライヴとかよく行ってたんですけど。ヒップホップのライヴって中学生の俺らからしたらお兄さんお姉さんばっかりだったんですけど(笑)、でもその中にYUSHIがいて、なんか声かけたんですよね」

■YUSHIくんとは年が一緒なんだっけ?

呂布「一緒です。で、地元も近いんで遊ぶようになって」

JUJU「やっぱYUSHIを主体に繋がってった感じだよね。YUSHIと仲よくなって他の奴らとも出会うとか、知ってはいたけどYUSHIのところで何年か後に再会するとか。特に俺ら年下組はYUSHIが可愛がってるからみたいな感じでBANKROLLの人達から可愛がられてたんだと思うし」

呂布「ほんとそこですね。YUSHIと遊んでる中で必然的に会うようになって。やっぱYUSHIが一番最初にラップ始めたし、一番ヒップホップを知ってたし。そもそもYUSHIがいなければBANKROLLもなかっただろうし、BANKROLLがなければYaBasta(YOUNG JUJU達のクルー)もなかったかもしれないし。要はあいつがいなければKANDYTOWNはなかったかもしれないです(KANDYTOWNはBANKROLLとYaBastaが合わさる形で形成されたクルー)」

■IOくんがラップ始めたのもYUSHIくんがきっかけだったって話だもんね。

IO「そうですね、むしろ俺は無理やりやらされたんです(笑)。元々友達で、みんなで外でドロケイとかやってた遊んでたのが、中学くらいから家の中でリリック書くっていうのが一番の遊びになって」

呂布「ね、むしろそれだけでしか遊んでなかったよね。YUSHIの部屋に集まって、声も入ってないビートがずっと延々とループで流れ続けてて、みんな黙って書いてるんですよ(笑)」

IO「だからラップやらないと退屈で仕方ないんですよ。自分が楽しむためには自らプレイヤーになるしかなかったっていう(笑)。最初はそんな感じだったけど、でもその時にヒップホップが一番カッコいいなと思ったんですよね。ラッパーが一番カッコいいって気づいちゃったって感じです。で、音楽が遊びの中に入ってきて、生活の中に入ってきてから、自分の動き方だったり生活が変わった部分はいっぱいありますね」

■それこそさ、私は最初IOくんって顔立ちからハーフだと思ってたんですよ。そしたらレイジくんに「いや、あいつは黒人になりたさ過ぎて、顔がどんどん変わっていったんですよ! マジで数年前の写真見ると全然日本人の顔してますよ!」って言われてびっくりして。結構感動したんだよね。

IO「レイジ……(笑)。でも、本当にそうなんですよ。ファボラスとか(ジュエルズ・)サンタナとか凄い好きで、PVとか観てカッコいいなと思ってたら、『ハーフ?』って訊かれることが多くなりました。なんかあるじゃないですか、そういうの」

■「イメージがリアルを追いつめる」っていうIO君のパンチラインがありましたけど、まさにそういうことだよね。

「ほんと、黒人のブラックミュージックの振る舞いだったり仕草だったりが一番カッコいいって俺は思ったんで。ファッションもそうだけど、最初は見よう見まねで黒人のスタイルを吸収していって……そしたらこうなったっていう」

(続きは本誌をチェック!

text by有泉智子

『MUSICA11月号 Vol.115』