Posted on 2017.01.15 by MUSICA編集部

ONE OK ROCK、
新次元のロックアルバム『Ambitions』リリース。
挑戦者の気概を滾らせる新作に宿る確信を全員で語る

一番大事なことは、ナシをアリにして行く
自分達の意志と行動力だと思うんです。
僕らはタイミング的にも、自分達が今まさに
そういう状況に立っていると思う

『MUSICA 2月号 Vol.118』P.30より掲載

 

 

■一ジャーナリストとしても一ロックファンとしても、本当に素晴らしいアルバムを作り上げたなと興奮しています。

Taka(Vo)「ありがとうございます!」

■世界に照準を定めてアメリカで制作を行う体制になって2作目となるアルバムですけど、ただ、前作と今作では、その意味合いは大きく違うと感じていて。前作の『35xxxv』は、日本のロックシーンという領域を脱して世界のロックシーンの中で対等に闘うためのアルバムを作りに行った作品だったと思うんですけど、今回の『Ambitions』は、世界のポップミュージック・シーンの中で今ロックバンドとして鳴らすべき音、ロックバンドとして体現すべき音楽を作り上げに行ったアルバムだと感じていて。つまり、今この時代におけるロックサウンドを自分達の手で新たに作り、更新しようという意識が感じられるし、実際そういうアルバムになったなと思うんです。ご自分達ではどうですか?

Taka「今回の僕らの大きなテーマとしては、アルバムも8枚目ですし、これまでにいろんなたくさんの曲を作ってきたわけなんですけど、10年目にしてONE OK ROCKというスタイルがほぼ確立できたところがある中で、次なる目標を掲げて、その新たな始まりとなるアルバムを作ろうっていうことがあって。今までは1曲1曲が、ファンの子達だったり誰かの背中を押していたと思うんですけど、僕らが今からやろうとしていることは、実はそういうことではないんですよ。実際に今新たな目標の下で動き出している中でいうと、1曲で誰かの背中を押すというよりも、バンドとしてどんな夢を掲げてそれを叶えていくのかっていうことへの僕らの動き方だったり、バンドとしての在り方そのもので、誰かの背中を押すことができれば一番いいなと思っていて。これは僕の独自の考え方なんですけど、僕はいつの時も守るっていうことが大嫌いで。だから常にちゃんと攻めて、ぶっ壊して、また新しいものを作ってっていうやり方でやってきてるんですけど、今回で言うと、世界っていうものをちゃんと自分達で捉えた上で、また1個1個潰していくっていうことの始まりなのかなって思ってるんですよね。そういう意味では、今回はONE OK ROCKの本当の意味での第二章の始まった中で作り上げたアルバムだと思います」

■自分の中でも、前作を作っていた時のモードであったり意識だったりとは、今回のアルバムは明確に違う感じなんですか?

Taka「違いますね。前回の一番のテーマっていうのは、とにかくまず、海外でレコーディングするっていうことだったので。そこで感じたもの、得たものは凄まじいものが当然ありましたし、それで作ったものを持って海外を回ってみて感じたものもたくさんあるので、その上で今回はプロデューサーを立ててどうのこうのっていうよりは、前回のレコーディングで手に入れたものでもって、ほぼほぼ自分達の感覚でセルフプロデュースをして作ったっていう」

■あ、今回はセルフプロデュースなんでしたっけ?

Taka「いや、一応プロデューサーは立ててはいるんですけど、でも最初にそのプロデューサー陣に『今回のアルバムは自分達の感覚で作りたい』ということは伝えた上で作っていて。大御所のプロデューサーを立てるでもなく、自分達の表現したいことを表現してくれる人を起用したんです。だからいろんな人が携わってはいるんですけど、総合的に僕が常に客観的に見て、自分の感覚と違うと思った細かい部分はとことん詰めていって」

■前作はアメリカ人のプロデューサーに自分達を預けてみて、その中で向こうのやり方、向こうの感覚を学んでいくような部分もあったと思うんですけど。そういうスタンスとはガラリと変わったってことですよね?

Taka「そうですね。まぁ、『郷に入っては郷に従え』の精神でいつもやっているので。前回は完全にそのパターンで、吸収、勉強というか、向こうの感覚を肌で感じるというやり方だったんですよね。そういう形でやることは、単純に楽曲に関することだけじゃなく、文化を勉強するっていうことにも繋がるので、それは僕らにとって必要だなと思ったからなんですけど。で、今回はそういうことをある程度吸収したし理解もした上で、もう一度、自分達のセンスを信じてみるっていうやり方を採ったんです」

■Ryotaは今回のアルバムはどういうふうに感じてますか?

Ryota(B)「前回は本当に何もわからない状態で海外に行ってレコーディングをして。でも、その時のレコーディングはもちろん、その後アメリカ、ヨーロッパとツアーを回っていろいろなことを学んだ上での今回の制作期間だったので、前とは違う気持ちで臨めたというか。今回はリラックスしてできたんですよ。LAで、今も4人で一緒に住んでるんですけど」

■まだ同じ家に一緒に住んでいるの?

Ryota「そうです。で、その家にスタジオを作ったんで、いつでも曲が作れる環境になって。だから、特にTakaとToruは朝から晩までずーっと曲を作ってて、俺とTomoyaは……」

Tomoya(Dr)「それを見守る(笑)」

Ryota「そう! 曲が形になるまでは見守ってました(笑)」

■(笑)レコーディングに向けて力を蓄えていた、と。

Ryota「はい(笑)。本当にもう、前回と比べものにならないくらい気持ちも楽だったし、レコーディング自体も凄く楽しくて。やっぱり前はなんかテンパってたんですよね。レコーディングに行く時も常にテンパってたんですけど、今回は、特に前と同じプロデューサーとやる時は凄くリラックスして臨めたし、訊きたいこともしっかり訊けて。また次の制作に繋げられるなと思えることもたくさんあったし、凄くいい時間でした。アルバム自体も凄くカッコいい、ここからまた勝負するぞっていう気持ちになるアルバムができたので。これをもって2017年は頑張りたいと思います」

■Tomoyaはどうですか?

Tomoya「さっき言った通り、曲作りの段階、まだ曲があんまり固まってない時は、俺とRyotaはずっと見守るしかできなかったんですけど。家のスタジオでTakaとToruが毎日毎日、朝から晩まで曲作りをやっていて、デモの状態でも構成とか展開とかどんどん変わっていったから、いざドラムのレコーディングの日が決まっても、曲自体は結構ギリギリになって全貌がわかる感じだったんですよ。だからその時まで凄く力を貯めて、レコーディングで一気に録る!みたいな感じでしたね。今回はとにかく新しいことにチャレンジしているし、個人的にも新しいことにいっぱいトライできたなと思っていて。でも、それこそRyotaが言ったみたいに今回は余裕も多少はできたので、凄く楽しいレコーディング期間でした」

■Toruは、Takaと共にそんなにも篭っていたわけですか?

Toru(G)「そうですね(笑)。やっぱりロスの生活に慣れたっていうのも大きかったと思いますね。レコーディングをやりつつも、当たり前ですけど4人の生活っていうものもあるわけで。初めて行った時は、たとえば『今日どこでご飯食べる?』とか、生活をする上で考えることもいっぱいあったんですけど、徐々にそういうことにも慣れてきて、今回はより音楽に集中して向き合えたかな、と。余計なことを考えず、リラックスした状態で好きな時に曲作りをやって……って言っても、(LAに)着いてから毎日ずっとやってたんですけど(笑)。それぐらい集中して取り組めたというか。もちろん家にスタジオを作ったっていうのも大きかったですし」

■日々ふたりで朝から晩までガッツリだったんですか?

Taka「やってましたね。ギターの部分に関しては僕はほぼノータッチだったので、リズム、メロディ、コードが決まって、プロダクションをこういう方向で行こうってところまで見えたら、あとはToruに投げて」

■Toru的にも、今回はより挑戦的な部分もあったんですか?

Toru「というより、Takaから曲が上がる時点ですでにもう完全に新しいものがあったので。俺の役割としてはそれに対してどう合うものを入れていくかというところで探り探りやっていたんですけど。でも感覚的にはより自由やったなっていう感じはありますね。曲作りも、スタジオとは言え家の中での作業なんで、時間も決まってないし。一旦作ったものでも、次の日に聴いて微妙やったら『ここは変えようか』って考え直したり」

■時間的な制約に縛られず、自由に納得行くまで音楽と取っ組み合えたと。

TORU「そうですね。それを何ヵ月も続けて。その間にツアーもあったので、切り替える時は大変でしたけど。でもツアー中も『あの曲どうなるやろ』とかそういうことを考えながら、みんなでバスの中で(制作途中のデモを)聴いて『こういう方向性にしようか』とか、足りてないところを話し合ったりもして。そうやって何ヵ月か向き合っていた感じです」

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text by有泉智子

『MUSICA2月号 Vol.118』