Posted on 2017.03.18 by MUSICA編集部

Dragon Ash、デビュー20周年に突入!
シングル『Beside You』から、Kjの胸中を覗く

このタームの最初の時期は、
音楽人生で一番ってくらいTDとか音とかやり直した。
こうじゃねえ、こうじゃねえって何回もやり直してきた中で、
やっと“Beside You”でカチンってハマった音が聞こえた。
その感動は大きかった

『MUSICA 4月号 Vol.120』P.98より掲載

 

■デビュー20周年であると同時に、去年の春、実に3年ぶりに行われたツアーからDragon Ashは新しいタームをスタートさせているわけですけど。当時は、しばらくDragon Ashはバッキバキにモッシュできるラウドな楽曲しかやらない!と宣言してましたけど、『光りの街』に続き、今回の『Beside You』も心に寄り添うような曲で。この曲を20周年のアニバーサリーシングルとして選んだのは何故なんでしょう?

「まず、みんな反対してるわけじゃないんだけど、ラウド一辺倒で行くっていうのを望んでるのは単純に俺だけだったっていうのが大きくて」

■はははははははははははははは。

「そうなんだよね、実は(笑)。でも、作品を出す順番とかどんな曲をシングルにするかをみんなで考えていくのは、いいことだと思ってるから。そのほうが責任をみんなで負えるじゃん。全部俺が作って全部俺が決めてたら、バックバンドかよってなるわけで。それぞれ役割があって、それぞれを信頼してやっていくのが俺らのいいところだし、俺もそういう意見があったほうが曲作りやすかったりもするから。『光りの街』があのタイミングで出たのはそういうことで。でも『Beside You』は、珍しく俺がこれをシングルにしたいって言ったんだよね」

■あ、そうなんだ。それはめちゃくちゃ珍しいですね。

「うん。そもそもは、デビュー日に何か出すかって話になったんだよ」

■まぁバラしちゃうと、年末までは、デビュー日の2月21日に記念シングルをCDで出すという話になってましたよね。

「そうなんだよね。で、“Mix It Up”と“Beside You”を作ってて。録る前は“Mix It Up”にしようと思ってたし、みんなも“Mix It Up”がいいって言ってたんだけど。でも、俺のデモからDragonの演奏に変えていく過程で、“Beside You”は久々に俺が持ってったアイディアと、それを解釈して自分なりの表現をするメンバーがカチンとハマる音が聞こえたんだよね。特にドラムとベースなんだけど。デモは結構エレクトロに寄ったつもりだったんだけど、サク(桜井誠)が叩いて賢輔が弾くとこんなグルーヴィーになっちゃうの!?みたいな驚きがあって。そういう快感が久々にあった。それで、“Mix It Up”にしようって言ってたけど、やっぱり“Beside You”にしたいと思って。でも、これは90%無理だろって感じのタームになってたから――」

■2月21日にシングルCDを出すには、スケジュール的に間に合わないっていう意味の無理ね(笑)。

「そう。じゃあ、“Mix It Up”は記念日に配信して、別日に“Beside You”を出そうよっていうアイディアを珍しく俺から出したんだよね。だから久々に曲のリアクションで出すものを変えた。そういうことを俺が言うのは滅多にないことだし、そもそもこれをシングルにしたいとか言うことも滅多にないから、俺がそう言ったら、メンバーも『お、おう。Kjが言うならそうしたら? っていうか、そんなこと言うんだ!?』みたいな感じだった(笑)」

■Kjは、いつもシングルに関してはスタッフやみんなの意見で決めればいいっていうスタンスですもんね。にもかかわらず、自分から“Beside You”と主張したってことは、それだけ久々にカチンとハマッたこと、つまり制作過程で起こったメンバーとの化学反応に感動したっていうこと?

「そうそうそう。すげぇアガッた。20年やってて何百曲も作ってるけど、未だにカチッとハマるのってムズいのよ。だって基本、すでに普通のバンドよりも全然カチッとハマってるわけだからさ。にもかかわらず、もうひと段階余白があったんだっていうか、こんなガチャーンとハマるんだ!?みたいな感動を久々に味わえて。それは俺にとってもメンバーにとってもめちゃくちゃ喜ばしいことなんだよ。たぶんそれを味わうためにやってるんだけど、ここまでやってきた上でそれを起こすのはめっちゃ難しいから」

■だから今の話って、別にいつもはカチッとハマッてないという意味ではなく、いつも以上、自分の想定以上の化学反応が起こった、と。

「うん、まさに。まだこの先があったんだっていう喜びがあった」

(続きは本誌をチェック!

text by有泉智子

『MUSICA4月号 Vol.120』