Posted on 2017.05.17 by MUSICA編集部

BUMP OF CHICKEN、21年目以降のこれからを誓い合う
名曲“リボン”を配信リリース。
1年4ヵ月ぶりのソロ取材で藤原基央が語り尽くす

どんな曲も聴いた人がその曲との関係を作れる
普遍的なものであるべきだと思ってて。
ただ、今回そうじゃない作業を1個したとすれば、<赤い星>っていう言葉で。
これは僕達4人にとってのマークだから。それを書きたいと思ったんです

MUSICA 6月号 Vol.122P.38より掲載

 

■今日は5月の1日だね。

5月の1日って?」

■久々の新曲リリース日、おめでとうございます。

「……ああっっ! ありがとうございます」

■ちょっと待って、「5月の1日だね」って言ったら、そういう気持ちで言われてるって普通思うでしょ(笑)。

「ごめん、わかんなかったわ(笑)」

■アーティストに「今日だね」みたいな話をすると、大抵はみんな「嬉しいです、自分の子供がまた生まれたみたいで」みたいな話になるものなんだけど(笑)。仕切り直して、16時間前に“リボン”が配信という形で世の中に飛び出していったわけなんですけど、どんなお気持ちですか。

「いや、僕も本当に嬉しいですよ。もちろん僕にとって、自分の曲が世の中に聴いてもらえる瞬間っていうのはいつも凄く大きな喜びがあります。ただ、今どうしてすぐに反応できなかったかと言うと、“リボン”に関しては2月の時点で(スタジオライヴの)生配信という形をやらせてもらっているので、なんか、既に(この曲が世の中に)出た気でいたのは事実なんだよね」

■そうだよね、210日のP.M.1130から、スタジオライヴの生配信という形でこの曲を世の中に披露したことはプロモーションを超える出来事だったからね。結成20周年イヤーが終わってしまう最後の日の最後の時の直前に生配信したわけだよね。

「そう、間違いないです」

■この曲は、そういうことをやること込みで作った曲なんですか?

「結論から言うと、違います。曲が先ですね。そういうことをやるために曲を書こうよって言われてたら、たぶん僕は書けなかったと思います。そういう派手なことを思いつくのは周りのスタッフで、僕はただいつも通りに曲を書くだけです」

■じゃあこの曲も、コンセプチュアルに書いたというよりは、いつものようにポロッと自分の中から生まれて宿って、そして出てきたんだ。

「そう。1月くらいに書いたんですけど、その時、続けざまにスタジオ作業をしている日があって。その作業中に、やることなくなっちゃったな、みたいな時間に書いたぐらいの感じだったと思います」

■あ、そんなに何気ない感覚なの?

「そうそう。それで書いたらこういう感じの曲ができて。で、こういうタイミングでこういう感じの曲ができたんだったら、210日でアニヴァーサリーイヤーが終わるので、そのタイミングでオフィシャルサイトで発表でもなんでもいいんで聴いてもらえたらいいな、ぐらいのことは考えていたんですよ、僕やメンバーは。そうしたらスタッフがスタジオライヴで生配信しようっていうアイディアを出してくれて。僕らはそんな派手なこと思いつかないから(笑)」

■この曲は、曲先(歌詞よりも和音やメロディーが先にできること)?

「これはアルペジオが先です。イントロからそのままAメロまでずっと続くあのアルペジオが一番初めにあって、あそこから始まりました。あのアルペジオがあって、歌メロも鼻歌程度にあったんですよね、なんとなく。それはずっと前からあったんです。もう12年ぐらい前からあったんじゃないかな。<嵐の中を>っていうところから始まるじゃないですか。それもあったと思います、嵐感っていうんですかね」

■それ、なんだ(笑)。

「イメージだよ(笑)。情景みたいなものかな。嵐の情景みたいなものが浮かんでたと思います」

■なんで嵐の中だったの?

「わかんないよ、そんなの(笑)。でもそこから転がっていきました。それができてから時間空いてるし、じゃあ、時間もあるしあのアルペジオの鼻歌をちょっといじってみようかな、みたいな感じで本格的に作り始めて。それで『あ、1曲できた!』みたいな感じ」

■では、そこまでをゆっくり紐解いてゆくね。まず今日の取材は、去年の暮れに日産スタジアムのライヴ映像作品の取材をして以来になるんですけど。そこで2016年を振り返って、2017年もよろしくねっていう形でお別れしました。今の話を聞いていると、年明けは休まなかったってこと?

1月の中旬に曲を書いてるんだから、あんまり休んでないってことだろうね。正月は少しゆっくりみたいなのはあったと思うんですけど、割と間もなくスタジオに入ったんでしょうね。今年の初めどんなんだったか全然覚えてないな(苦笑)」

■そのタイミングでスタジオ入ったっていうのは、なんらかのことに急き立てられるような感じだったのか、それとも自分のルーティーンとしてのスタジオ入りだったのか。どんな感じだったんですか?

「周りのスタッフさん達のルーティーンであり、そこに急き立てられた僕、ってことでしょうね(笑)」

■ははははははははは。周りのスタッフ的には、ここらでフジにちょっと曲を書いて欲しい、その曲を持ってどこと何を話そうかみたいな?

「『年も明けたしそろそろ藤原に曲書かせておこうぜ』みたいな感じだったんじゃないですかね(笑)。……なんかあったっけ? 1月に急き立つ理由」

スタッフ「それです(笑)。年も明けたし、ツアーが9月からスタートするって決まってたから、このタイミングから曲を書き始めていこうっていうところでしたね」

■それこそ前回のインタヴューでメンバーみんなと話した時に、「2017年はどうしていこうみたいな話は、なんとなくやんわりと出てるよ」って言ってくれてたじゃない? それは今年のツアーの話だったんだね。

「そうだと思います。ただ、そういう話し合いはタイミングタイミングでちゃんとあるし、なんならこの前もやってるんだけど、その話の内容や約束を一番最初に忘れていくのがまず僕で」

■なんで?

「あんまり必要ないと思ってるから(笑)」

■ははは、どうして?

「(笑)たぶん、ちゃんとした1年間の見通しみたいなものがあっても、自分の役割の中で、その見通しに合わせて曲を書いていこうと思ったってできないし……っていうことだと思うんですよね、きっと。僕は曲を書く役割で、でも何かに合わせて曲を書くってことはできない人だから。だからそういう見通しっていうのは、自分俺の役割の中ではあんまり重要じゃないっていうか。僕はあんまり計画性がないので、スタッフのみんなが計画性を持って動いてくれているっていう。で、僕は曲を書いて、レコーディングをして、ツアーになったら精いっぱいやる、それだけです」

(続きは本誌をチェック!

text by鹿野 淳

『MUSICA6月号 Vol.122』