Posted on 2017.06.20 by MUSICA編集部

KEYTALK、『PARADISE』から僅か3ヵ月で
早くもシングル『黄昏シンフォニー』をリリース!
化学反応を爆発させ続ける4人に全員インタヴュー

音楽から離れる時間も大事だと思うんですよね。
音楽じゃないところから感じたこととかが曲に影響されるし、
それが回り回ってる感じなんで。
いろんなことを経験して人間力を上げていくことが曲に繋がるっていう(寺中)

MUSICA7月号 Vol.123P.84より掲載

 

■アルバム『PARADISE』からわずか3ヵ月で『黄昏シンフォニー』というシングルがリリースされます。シングルの話をする前に、今回は全体論として訊いていきたいんですけど、まずは『PARADISE』というアルバムが自分にとってどんなものだったのか、っていうところを改めて教えてもらえますか。

小野武正(G)「今まさにツアーを周ってる真っ只中なんですけど、『PARADISE』の曲中心にはしつつ、昔の曲もふんだんに取り入れる形でヴォリューミーなセットリストでワンマンをやっていて。なので、『PARADISE』をリリースした時よりも、ライヴを経てより自分らの曲になってきたなって思うし、新しい曲と一緒に昔の曲をやることによって、昔の曲も最新系に引き上げられているなって思いますね。やっぱりリリースしただけで完成じゃなかったんだなっていうのを、今ライヴを周りながら実感している感じだし、ここからたぶんもっとよくなっていくんだろうなっていう感じがしてますね」

寺中友将(Vo&G)「もちろん『PARADISE』をリリースしてのツアーなので、お客さんも『PARADISE』をたくさん聴き込んでくれてるなって思ってますね。どの曲が来ても『待ってました!』感を感じるっていうか。新曲もいろいろチャレンジしてる楽曲が多いので、ライヴでもまた新しい空間が作れてるなって思います。タケも言いましたけど、やっぱり昔の曲の価値が上がったように聴こえるなって思うんですよね。新しい曲を作れば作るほど、どんどん昔の曲も大きくなっていくイメージがあるし」

八木優樹(Dr)「確かに『PARADISE』は攻めた曲が多いんですけど、セットリストに入った時に、自分の中では意外と違和感がないなって思ってるんですよね。もちろんライヴの空気感もあると思うんですけど、みんなが思っていた以上に――自分達では攻めて作ったんですけど、全然KEYTALKだったなって」

■それはどういう意味で?

八木「単純にライヴの幅が凄く広がったなっていう感じがするんですよね。激しい一辺倒だけだったライヴもいろんな見せ方ができるようになってきたし、大人の階段を上り始めたきっかけになったアルバムだなって思います」

首藤義勝(Vo&B)「僕も『PARADISE』は守りに入ったアルバムというよりは、どっちかと言うと挑戦的なアルバムだと思っていて。でもそこでお客さんを置いていっちゃうことなくギリギリのところでちゃんと提示できて、かつちゃんと形になってるのはよかったなって。既存曲も結構セットリストに入れてるんですけど、そこに新曲がいい感じで作用しているんで、ライヴで見せられる幅が広がったっていう意味では手応えを感じながらライヴができてるって感じですね」

■だから、今周っているツアーの中で『PARADISE』っていう作品を客観的に見る機会もあったと思いますし、なおかつあの作品が数字としてもいい結果を残せたことで、自分達の音楽シーンの立ち位置も含め、いろいろ感じたこともあったんじゃないかなと思うんですけど。

寺中「………自分としては、あんまりひとつ上に行けたなっていう感覚はなくて。ただ、『PARADISE』みたいに攻めたことをこれからもやっていけば、常に今の音楽シーンの中にはいれるのかなっていう感じはしました。やっぱりバンドって、勢いがあるバンドと勢いがなくなっていくバンドがいると思うんですけど、その中でちゃんとチャレンジをしていけば、その中から弾け出されずに立ち向かっていけるんじゃないかなっていうのは感じましたね」

■作品的な意味で手応えはあるんだけど、音楽シーンとして全体を見た時に「1ステージが上がった感覚がない」って思うのはどうしてなんですか?

寺中「僕らのやろうとしていることだったり、楽曲のクオリティだったりは確実に上がっていってると思うんですよ。でも、それって後から結果がついてくるものだと思っていて。『PARADISE』を出してドンッ!とリアクションが来るっていうより、後からガンガン効いていきそうな作品な気がするんですよね。だから、あのアルバムでKEYTALKに興味を持ってくれる人がもっと増えていって、ロックシーンを今後も動かしていけたらいいなって思いますね」

首藤「巨匠が言ったように、自分達自身がステップアップしてるっていう実感はあります。でも、シーンで見た時に、自分達がステージを上げられてるのかっていうのはそんなに……気にはするけど、比べてどうこうっていうのは考えないかな。自分達が目指す方向に向けてずっと階段を上り続けてるイメージという感じというか。後ろを見てもしょうがないし、上には上がいっぱいいると思ってるんで、僕らは進むしかないなってる感じです」

■そのモチヴェーションって、どこから来てるんですか。

首藤「今はすべてがモチヴェーションな感じですね。いいアルバムを作れたっていう思いはもちろんありますけど、そこで満足したら終わっちゃうんで。あの作品でまだやりたいことができるなって思わされたし、それがすべてのモチヴェーションに繋がってるんじゃないかなって思います」

八木「僕も周りにいいバンドはいっぱいいるなって思ってるんですけど、シーンや周りがどうこうっていうよりは、自分達にしかできないものができたかなっていう気はします。バンドの立ち位置としては…………宙に浮いてる感じですかね、KEYTALKは」

首藤「……ん?」

小野「舞空術で常に浮いてるんだね(笑)」

八木「そう(笑)。だから、やっぱり4人とも曲を作るようになったのが大きいのかなって思います。『もっとロックバンド的な方向に寄せてもいいんじゃないか』って思われる部分もあると思うんですけど、この4人だと全員のまったく違う感性だったり音楽性、雰囲気を『いいね!』って思いながら楽しめてるんで。そこが他のバンドと違うのかなって思います」

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text by池上麻衣

『MUSICA7月号 Vol.123』