Posted on 2017.08.18 by MUSICA編集部

銀杏BOYZ、3ヵ月連続シングルを発表!
新たな季節を謳歌する峯田の胸中を探る

恋とロックへの憧れっていうのが俺の中にずっとあったんだけど、
いつのまにか、そこで女の子とロックが同化しちゃってるの。
ふたつが別にあるんじゃなくて、もう俺の目の前にひとつのものとしてある

MUSICA 9月号 Vol.125P.72より掲載

 

■いやいや、本当にお忙しそうで。

「それでも、ちゃんと遊んでますよ。明日から早稲田松竹で『トレインスポッティング』の122本立てが始まるんですよ。それも行かなきゃなって思ってて」

2本続けて観ると最高ですよ。そっか、全方位的にアクティヴなんだ。

「元気にやってますよ。ちゃんと寝てるし。朝ドラの撮影が終わるまで、髪型は変えられないんですけどね」

■で、そんなタイミングで銀杏BOYZ7月、8月、9月と3ヶ月連続でシングルリリースという。

「俺、去年マネージャーに言ったんですよ。『来年は音楽ちゃんとやる』って。去年、NHK1本ドラマ出て(『奇跡の人』。全8回)、その時期に今やってる朝ドラのオファーがあったんだけど、これで音楽のほうを疎かにしてたら、さすがに『あー、峯田、そっちのほうに行っちゃうのね』ってみんなに思われるのはわかってたから。もう、何も閉じず、全部をオープンにして、音楽もドラマも全部やることにして」

■でもこれ、あくまでも結果的にですが、よく大手の事務所とかが戦略的にやる、ミュージシャンがドラマ出演で話題になってるタイミングを狙い澄ましてリリースを当てるってやつですよ(笑)。

「そうっすね(笑)。しかも、ドラマの中でもThe Beatlesを武道館に観に行くみたいな話があって、ちょうど銀杏も武道館公演を控えてるっていう。全部行き当たりばったりなのにね」

■最初に3ヶ月連続でシングルをリリースするって聞いた時は、とりあえずこの段階でアルバムを目指さないのは、以前みたいに煮詰まらないための方策なのかなって。

「いや、そこまで考えてない。9月にリリースする新曲は、まだライヴでもやってないけど凄く自信があって。でも、その後もさらに新曲作ってるからね。曲はどんどんできていて、そこはあんまり心配してない」

■へぇ!

「元々今年は10月の武道館が最初に決まったんですよ。俺、決まった後に初めて聞いたの、スタッフから。『峯田くん、武道館やる気ある?』って」

■え?

「『抽選当たったよ』って」

■そんな、フットサルのコートみたいな(笑)。

「そうだよね(笑)。で、『せっかく武道館やるから、その前にシングル1枚出しましょう』ってことになって。で、その後に『ひよっこ』の話が決まって。なんか、せっかくやるならシングル1枚じゃつまんないなって思って、『3枚出すから』って自分から提案したの。で、3枚も出すならツアーもやろうって、それも俺から言い出したこと」

■やる気が漲ってる。

「最初『3枚出すから』って言った時は、言いながら『結局よくて2枚だろうな』って思ってたの(笑)。でも、本当に3枚行けたからね」

■大成長じゃないですか。いや、この間のツアーの新木場STUDIO COASTの時、峯田くんがMCで言ってたことが強く印象に残ってて。「これまで自分はやりたいことをやってきたけど、これからはやらなきゃいけないことをやる。そのことに気づいた」って言ってたでしょ? それって、すっごいデカい変化だなって。

「うん。それは、何か大きなきっかけがあって言ったわけじゃなくて、前からちょっとずつ思うようになっていたことなんだけどね。今回の3枚のシングル、『エンジェルベイビー』と『骨』と『恋は永遠』は、恋とロックの3部作って呼んでるの。で、恋とロックへの憧れっていうのが俺の中にずっとあったんだけど、いつの間にか、そこで女の子とロックが同化しちゃってるの。そのふたつが切り離されたものとして別にあるんじゃなくて、もう俺の目の前にひとつのものとしてある。きっと、ずっとそうだったんだろうけど、それに自覚的になったのが今回の3枚」

■なるほど。

「『光のなかに立っていてね』を作ってた時は、まだそこまで自覚的じゃなかった。ロックというものは自分の中に既にあって、それを表現者として出して行くんだって思ってた。でも、これは進化なのか退化なのかわからないけれど、ロックは自分の外にあるんだってことに気づいたの」

■女の子と同じように?

「そう。ロックは自分の外にあって、それに向かって行くのが俺のやることなんだって」

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text by宇野維正

『MUSICA9月号 Vol.125』