Posted on 2017.09.19 by MUSICA編集部

BRADIO、極上の新曲でいざメジャーへ!
バンドの真骨頂かつファンクへの敬意も露わにした
シングル『LA PA PARADISE』を解く

BRADIOJ-POPの中でもソウル、ファンクで行け!」
って言われて、「俺達の時代来た?」って。
それでソウルの根底にある「愛と宇宙とセックス」
というテーマで曲を書いたんです(真行寺)

MUSICA 10月号 Vol.126P.100より掲載

 

(前半略)

Earth, Wind & Fireって何がアースとして占めるのかっていうと、ディスコ・ビートであることは凄く重要なんですけど、それよりほぼファルセットで歌うことであのアース感が出ていたりして。で、“LA PA PARADISE”はまさにそれをやられてるわけなんですけど、その辺は自分の中でどういうイメージを持たれてたんですか?

真行寺「“LA PA PARADISE”自体が、今までのBRADIOの中で一番70年代とかソウルっていうものに近づいた曲だと思ってまして。プロデューサーの藤井さんがそういうブラックなミュージックに凄い強い方なんですけど――元々彼らの音楽は、黒人が迫害されて、その人達が自分達の居場所みたいなものを見出すために、『自分達の居場所はここじゃない、宇宙だ!』みたいな感じでああいう音楽になっていったものらしくて。それで『自分達は宇宙から来た生き物で、俺達は唯一無二なんだ』っていう、あの当時の黒人とその音楽のソウルっていうものを、この曲の歌詞の中に入れようって話になって。それは藤井さんとソウルについて話したからですし、最初からBRADIOに対してこうあって欲しいっていうヴィジョンを最初から持たれていたので、こういう作品になっていきました」

■それはどういうものだったの?

真行寺「BRADIOJ-POPの中でもソウル、ファンクで行け!みたいな感じで。『あれ? 俺達の時代来た?』みたいな」

全員「あはははははははは!」

真行寺「ちゃらんぽらんなんで、『あれ、これ行けるんか?』みたいな(笑)。それで今回歌い方に関しても歌詞に関しても、『愛と宇宙とセックス』っていうソウル・ミュージックの根底にあるようなテーマで書いてみて。別にJ-POPに落とさなきゃいけないみたいな制約があってやっていなかったわけではないんですけど、今まではファルセットは意外と避けてきた部分があって。それを今回全面に出したっていうことに関しても藤井さんが後押ししてくれたからなんです」

■なんかこのインタヴュー、プロデューサー賛辞になりそうだけど、でも本当に効いてます。しかもそのファンクがちゃんと歌謡曲にもなるっていう、そこが見事だなと思う。

真行寺「あ、嬉しいです。それを汲み取ってもらえて」

■そこを含めての冒頭の久保田利伸イズムなんですが(笑)。歌詞に関して、“LA PA PARADISE”には本当にいろんなものが散りばめられていて。僕がわかっているだけでも1980年のRCサクセションの“雨上がりの夜空に”、あと1975年のアースの“Shining Star”、1977年のアースの“宇宙のファンタジー(原題:Fantasy)”――。

真行寺「年代まで!!(笑)。凄い調べてくれましたね」

■時代背景が曲から響いてきたから当然です。あと1996年の久保田利伸の“LALALA LOVE SONG”、1977年の映画『Saturday Night Fever』、1984年のマドンナの“Like a Virgin”。ちなみに他にもあったりします?

真行寺「山本リンダさんの“どうにもとまらない”(1972年)と、あとRCサクセションの“キモちE”(1980年)の『いい』を『E』にして歌ってるのも盛り込みました!!

■あぁ、ここにもあったかぁ。しまったっ!

真行寺「いやいや、とんでもございません!!

大山「めちゃめちゃ凄いっす(笑)」

■そうやって凄く意味のある、言ってみればソウル、ディスコ、ファンク、パンク、歌謡曲、それらがこの国の中で受け入れられてきた歴史というものを思い思いに綴られてるようなものになってるのですが。

真行寺「今回は歌詞中で、今まで<君>と呼んでたところが<お前>っていうふうにしたんです、そこが今までのBRADIOと決定的に違うところですね。藤井さんは僕の人となりをそんなに知らなくて、ライヴとかでの印象だと思うんですけど、『貴秋には<君>って言わないで<お前>って言ってもらいたい』って言われて。それは『愛と宇宙とセックス』っていうテーマの、そのセックスの部分での11っていう、『俺とお前』っていう近い位置を歌詞で表現しようっていうことなんですけど」

■それをプロデューサーに言われた時、どう思ったの?

真行寺「正直ちょっと抵抗ありました。『え、お前って言う……?』みたいな。僕、性格は結構暗いというか、相当暗いというか(苦笑)、あんまり『お前』とか言わないので」

■だからある意味今のこのキャラクターに武装しているわけで。その武装しているキャラクターとしての歌詞を歌ってと言われたってことだけど。

真行寺「かなり戸惑いましたね。でも、書いていくうちに得体の知れないものを感じたというか。それはさっき言った『勘違い』のようなものなんですけど、そこで最近のライヴの時に感じてる勘違いっていうものに繋がった気がして。なんかそういう体験を書いていく中でできたのが、自分の中で大きかったかなと思います」

■ちゃんとセクシーファンクバンドのセンターに乗り移れたんだ。

真行寺「そうですね。ソウルにおけるセックスっていうものがわかってる、っていうのとはまた違うんですけど、こういうのやりたかったみたいな感覚になれたので。それはBRADIOにとっては歌詞からも新しい方面を歌えたかなと思います」

(続きは本誌をチェック!

text by鹿野 淳

『MUSICA10月号 Vol.126』