Posted on 2018.04.21 by MUSICA編集部

音楽の深きハーモニーと真摯に向かい合い、奏で上げた
Mrs. GREEN APPLEのサードアルバム『ENSEMBLE』。
高らかに歌い鳴らす生命賛歌≒エンターテイメント――
ミセスの5人がここに辿り着くまでの道程を紐解く!

いっぱい新しいドアを開けていろんな楽曲に挑戦していって、
最後のドアがガチャッと開いたらミセスを始めた時の
一番最初のドアがあったみたいな、そういう感じがある(大森)

『MUSICA5月号 Vol.133』より引用

 

(中略)

大森元貴(Vo&G)「自分としては、ここ1年で掲げてたものを発展途上として見せてるんじゃなくて、ちゃんとひとつの完成形で見せることができたと思ってて。なので、ここで1回満足したっていうイメージですかね」

■それは『Mrs. GREEN APPLE』というアルバムを作った時の満足感とはまた違うものなんですか?

大森「また違うかもしれないですね。あれはみんなのマインド含めて満足してたっていうか、『こういう気持ちになったね』っていう満足感だったんだけど、今回はもうちょっとクリエイティヴな満足感というか。ちゃんとプロフェッショナルとしてみんなで作品を作ったぞっていう感覚が今までの作品とは別次元で強いのかもしれない。そういう印象ですね」

■実は5人でインタヴューするのは『サママ・フェスティバル!』以来、約2年ぶりになるんですけど、当時はちょうど、マインド的な部分でこのバンドがどんどんバンドらしくなっていった、バンドならではの青春感とかエネルギーみたいなものが凄く高まっていった時期だったと思うんです。対してここ最近は、より音楽的な意味でバンドならではの生のアンサンブルやグルーヴというものを追究する挑戦をしてきたし、それが具体的な楽曲として、エレクトロの色よりも生バンドの色が強くなった今回のアルバムに結実していると思うんですよね。そういうことを自分達のテーマにしていったのは、時期的にはいつぐらいなんですか?

大森「ちゃんとテーマとして掲げたのは去年の8月末ぐらい。前のインタヴューでも話しましたけど、そのタイミングで僕が前もって4人に脅しを入れたというか。アルバムの制作は9月から始まったんですけど、その前にメンバーに『音楽的なアルバムを作りたいから、準備よろしくね』っていう漠然とした課題を出して。で、そこから僕が曲の制作に入って、4人とは別スケジュールになったんだけど……きっとそのぐらいの時期だよね? 4人が強く意識したのって」

若井&藤澤&髙野&山中「(頷く)」

大森「音楽的に音を鳴らせない部分って、昔からのコンプレックスだったから。元々僕らはミュージシャンの集いっていうよりは人間性の集いみたいなところがあるから、そのデメリットみたいな部分を強く感じてはいたし。たとえば、若井とは中学からの同級生で、そういう関係での話はするけど、純粋にひとりのクリエイターとひとりのギタリストとしての会話ってどれくらいできてるのかな?みたいなことを感じてたんですよね。で、そこをちゃんとクリアしないと、この先バンドという生命体としてひとつの消耗品になってしまうなっていうふうに強く思ってたので、この1年はそこを強める時期は今ここしかない!っていう使命感みたいなものを持ちながらやってたところがあります」

■このタイミングでそれをやるしかない、やらなければならないと思ったのはどうしてだったんですか?

大森「自分らもそろそろやりたいことが表現できるような規模感になってきたってこともあるんだけど、特に去年ホールツアーを経験させてもらったのが大きくて。やっぱりホールって音楽をちゃんと聴ける環境であるが故に、熱量どうこうで勝負できない。それを思い知らされた感があったんですよね。なんとなくわかってはいたけど、実際に今の自分らの技量じゃ届けられないなって思わされた瞬間もあったし。それは大きかったよね?」

若井「そうだね。ライヴを経験していく中で、演奏力の技量不足っていう部分はずっと自分達でも感じてて。ただ、前はそこに向かい合うというよりも、ライヴではもっとパフォーマンスの部分というか、見せる部分を高めていこうよっていう話をしてたし、そっちに集中しちゃってた部分があったなって今思い返すと感じて。もちろんそれも必要だと思うんですけど、やっぱりそれだけじゃダメで。で、技量に関しては、スタジオでセッションしていてもまだ演奏し切れてない部分があるっていうのはずっと感じてたし……そこは全員、8月に元貴から言われる前から、それぞれの課題をそれぞれがわかってた感じはあったんですよね」

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text by 有泉智子

『MUSICA5月号 Vol.133』