Posted on 2018.05.26 by MUSICA編集部

5周年・5リリース・5イベントを掲げるKANA-BOON、
その第2弾リリースとなるミニアルバム『アスター』。
初期を彷彿とさせる世界と、切り開きつつある新たな世界。
谷口鮪、今の赤裸々な心情を語る

今は自分達の音楽が中心にある。今までは自分達の音楽と
活動がちょっと足並み揃ってない感じがしてたんですけど。
この1年は自分達の音楽に道を開いてもらいながら活動してきた感覚がある

『MUSICA6月号 Vol.134』より引用

 

(前略)

■今回は3月のB-SIDEコレクション『KBB vol.1』に続く5周年の第2弾リリースという位置づけで、『アスター』というミニアルバムが出ます。「夏に向かって届けたい新曲」って書かれてたからてっきりアゲアゲ系な内容なのかなと思いきや、基本的には5曲とも失われた恋の話で。アッパーな曲調もあるけど、歌の内容は切ない。

「そうなんです。自分でも夏盤っていうのでもっとガツガツした感じになるんかなって、ほんまにそう思ってましたけど。結果、こういう凄くリアルな形のアルバムになりましたね」

■それは何故だったのかっていうところから聞けますか?

「まず第一に、『NAMiDA』のモードを引き継ごうっていうバンドの指針があったんですよね。『NAMiDA』で自分達がいいなって思ったとこって、やっぱりタイトルトラックの“涙”だったり、別れとか自分のリアルっていうのを真っ直ぐに表現してる曲だったんで、今回もそういう方向で行きたいなっていうのがまずあって。その上で、『アスター』っていうタイトルが自分の中で固まった時に、今の自分の気持ちやったり自分の状態に忠実な曲で固めたいなって思ったんで。だからこんなに切なめに(笑)」

■アスターって花の名前だけど、このタイトルはどういう意味なの?

「花の色によって意味(花言葉)は変わるんですけど、『追憶』とか『忘れられない想い』とか、あとポジティヴなところでは『信じる恋』っていう意味があって。『変化』っていうのもあるんですけど、割と恋の花なんかなっていう印象です、僕は」

■というか、「変化」以外は切ない言葉ばっかり並んだね(笑)。

「『追憶』に関しては今までも散々やってますけど、今回はそこに『信じる恋』っていう、『信じる』っていうことがプラスされたアルバムやなって思ってて。今の自分の状態もそうやし。テーマ的なところで言うと、そこが同じ別れの歌でも今までと違うところですね。今は『信じる恋』っていう花言葉のモードが一番強いっていうか、それが本当に今の本心というか………だからこの5曲の中で一番リアルな今の心境を表してるのは、“彷徨う日々とファンファーレ”なんですけど」

■なるほど。さっき自分でも言っていた通り「追憶」はこれまでも歌ってきたし、失われた恋を歌う、過ぎ去ってしまった君への想いを歌うっていうことは、特に初期におけるメインテーマのひとつだったわけですけど。たとえば“涙”の時もそうだけど、そこをテーマとして掲げるのは、自分のリアルな心情以外にも、ソングライター、表現者としての原点に向かい合うみたいな意識もあったんですか。

「うーん……今回は、特に向き合ったっていう感じでもないですね。そこは割と前作の『NAMiDA』で向かい合ったので。だから今回はそういう意識はあんまりなくて。ただ、単純に、魅力をもっと伸ばしたいなっていうのは考えてました。自分の今の心境もありつつ、別れっていうテーマをさらに一歩進みたいっていうか、今までとは少し違う形でやってみたいっていう気持ちがあったというか………全体的に少しポジティヴな気持ちになれるものをっていう意識は、詞を書いてる中でありました。だから、初期のエネルギー感とはまた違うベクトルですけど、でも、それぐらい自分の中で注いだ感じはありますね」

(続きは本誌をチェック!)

text by有泉智子

『MUSICA6月号 Vol.134』