Posted on 2018.05.26 by MUSICA編集部

ヤバイTシャツ屋さん、オリコン4位を記録したアルバムから
4ヵ月で届いたニューシングル『げんきいっぱい』。
ポリープ手術を無事に終えたこやまたくやに接触し、
休養期間を経た今の想いと今後のヴィジョンを語り倒す!

最近悩んでるのが、大衆的になり過ぎるのが怖いなって思ってて。
僕達の場合は変に売れ過ぎるとダサいってことを凄く感じてて……
ある程度のアンダーグラウンド感を残しながら大衆的になりたい

『MUSICA6月号 Vol.134』より引用

 

(前略)

■絶好調のタイミングでのニューシングルですが、リード曲である“鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック”は、このタイアップはちゃんと数字に繋がるっていう実績があると言われている東京モード学園のCMソングで。そんな曲で何を歌ってるのかと言えば、完全に自虐ですよね。CDが売れて嬉しいって言ってるのに、<もうCDに価値はないんか もはやバンドはTシャツ屋さん>っていうグッズ主義を歌っているという。まずはこの真意から聞かせてもらいましょうか。

「これは1年前に出した“ヤバみ”のアンサーソングとして書いてるんですけど。とはいえタイアップ曲なんで、ちゃんとモード学園に寄り添って作ったつもりではあって。歌詞もその部分以外は『なりたいようになる』とか、ちゃんと夢を持ってる人に対するメッセージを入れつつ、僕らは自分達のことを歌うのが得意なんで、ヤバイTシャツ屋さんのことも入れ込みつつっていう感じで……だからタイアップに寄り添ってはいるんですけど、でも寄り添い過ぎない、いい感じにできたと思いますね。そもそも“ヤバみ”は、ファーストアルバムを出した時に『なんて意味のないことを歌うバンドなんや!』って言われ過ぎて、ちょっと意味持たせたろ!って思って書いたんですよ。だから“ヤバみ”って結構メッセージ性を込めたというか、僕らの中ではシリアスな曲やと思うんですよね。やけど、“ヤバみ”に対しても『また意味ないこと歌ってるやん』って言われたんで、僕的には『えー!? 伝わってないんや!?』って思ってちょっとショックで。そのショックを1年くらい抱えてたんで、それを自虐的に歌詞にしたっていう」

■ファーストアルバムを出した直後のシングルで抱いた怨念を、セカンドアルバムが出た後のシングルで晴らすっていうのはどういう執念なの?

「ヤバTにとっての試練というか、仕方のないこと――面白いように見せてるし、面白いことしたいって思ってるから、伝わらへんのは仕方ないことやなって思いつつも、そこに対してはちゃんと物申していかへんとなって思っていて。何かと闘っていたいバンドなんで。垂れ流されてるような音楽に対しての皮肉やアンチテーゼというか、自分達のことを歌いながらも自虐的にやってみたいなっていうのがあったんですかね」

■“鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック”という、非常にキャッチーな言葉をひたすら並べ続けることによってまったくキャッチーじゃないタイトルになるという(笑)、新しい論法が成り立ってる曲なんですけど。現実的に曲自体もキャッチー、特にサビはメロディ重視で。というか今回は3曲ともメロディ重視の曲ですけど、その辺りはソングライターとしての自分の挑戦や何らかの狙いがあったんですか。

「1曲目に関してはもうCMになるのが決まってたんで、抜け感があるのがいいなって思ってて。耳に残るキャッチーな感じしか歌詞が出てこないって思って、そのままサビに置きました。要はキャッチーな感じにせなあかんって思ってたらこうなったんですけど、抜け感を出すためにキーをE(コード)に設定して解放感のある音が出るようにしてたりとか。……最近、僕はEにハマってるんですよ」

(続きは本誌をチェック!)

text by鹿野 淳

『MUSICA6月号 Vol.134』