Posted on 2018.06.23 by MUSICA編集部

ロックがロックたるための進化を見事果たした
『Chasing the Horizon』! Jean-Ken Johnnyによる
全曲解説と、Kamikaze Boyとのチャットインタビューの
二本立てで、覇気に満ちた名盤を語り尽くす表紙巻頭特集!

 

我々MWAMガ何ヲ軸ニシテ、何ヲ根源ニ掲ゲテ音楽ヲ鳴ラスベキナノカ
鳴ラシタイノカッテイウコトヲ、モノ凄ク再確認シマシタ。
自分達ガバンドトシテ鳴ラスモノニ、
大袈裟カモシレナイケド「意義」ヲ見出シテ、
コレダッテイウ光ガ見エタ。明確ナ道筋ガ見エタナト思イマス

『MUSICA7月号 Vol.135』より引用

 

#1 Jean-Ken Johnnyによる全曲解説インタヴュー

 

(前略)

■各楽曲には様々な形で新しい挑戦やアイディアが織り込まれていますけど、それは何か奇抜な新しい発明が行われているというよりも、自分達のロックというものが今この2018年にあるべき姿を追究し、そのために必要なブラッシュアップと刷新を行なっている。だから結果として凄くMAN WITH A MISSIONらしいなと思えるロック・アルバムなんだけど、でも明らかに今までに聴いたことない感覚を覚える作品なんですよね。で、それは同時に、ヒップホップとR&Bが覇権を握る現在のポップミュージックの世界の中で、ロックというものをいかにリアリティと説得力を持ったアートフォームとして響かせるのかってことへの回答にもなっている。逆に言えば、そのための模索を今まで以上に果たした作品だからこそ、自分達でも全体像が見えなかったのかなと。

「いや、本当におっしゃる通りだと思います。それこそ前回のインタヴューの時に有泉さんと、ロックっていうジャンル自体のアップデートをするのか、それとも、自分達が聴いてきた、ロックが隆盛を極めた90年代のポストロックやオルタナティヴ・シーンのあのメンタリティを引っ提げて、ジャンルというよりはサウンド感をアップデートして、そのメンタリティを打ち出していくのかって話をしたじゃないですか。その両者で肌感的に僕が合ってるなと思ったのは、後者だったんですよね。で、それと同じようなことをエンジニアの人達も口酸っぱく言ってきて、それによってもの凄い自分の中では心のタガが外れたんですよね。確実に目指すべきひとつのフォーマットというか、自分達の取るべきアティテュードが見えたというか。だから実は、あのインタヴューのおかげでいろいろとさらに肩凝りが取れまして。我々のバンドがやるべきこと、やりたいことはこれなんだと、自信と確信を持って言える形になりました」

 (中略)

 01. 2045

 ■最高に痛快な形でアルバムの幕開けを飾る、めちゃくちゃカッコいい名曲です。ポストパンクとテクノ、ハードコアとラップメタルが融合された、非常にスリリングで攻撃的、それでいてダンサブルなロックソングで。これはカミカゼさんが作曲、そしてBOOM BOOM SATELLITESの中野雅之さんがプロデューサーとして参加してますよね。

「デモが上がってきた段階でこれはめちゃくちゃいいなと思ったんですよね。作曲者としての私とカミカゼを比較すると、どちらかというと、自分はロックにあるノスタルジックな部分と言いますか、前時代的な美しさっていうものが今の時代においても説得力があるんじゃないかっていう部分を全面的に押し出してきた側だとすると、カミカゼはロックというジャンルそのものを革新させて、かつポップスとしての大衆性と説得力を持つものを作るというベクトルを持っている側で。で、この曲はその中でも一番いいバランスで革新性が打ち出されてるんじゃないかと思います。よくカミカゼに『これ大丈夫かな?』って訊かれるんですけど、まぁずっと作ってる2匹なので、僕もたまにとてつもなく辛辣なことを言ったりもするんですよ。特にデモの段階では『これ、ちょっとよくわかんないです』とかめちゃくちゃ言うことがあるんですけど(笑)。でもこの曲に関しては、それはなかったです。ただただ、これ絶対めちゃくちゃいいですよ!って。そしたら『自信になります』って言ってましたけど(笑)」

■(笑)。

「特に導入部、イントロからAメロに入る部分がめちゃくちゃカッコいい。日本の音楽ってサビに集中してしまいがちですけど、僕は圧倒的に大事なのはイントロの5秒、10秒だと思ってて――」

(続きは本誌をチェック!)

text by有泉智子

『MUSICA7月号 Vol.135』

 

#2 Kamikaze Boyとのチャットインタヴュー

 

■ジャン・ケンさんは、「自分はどちらかと言えばロックのノスタルジーや王道的な部分を楽曲化していく作曲者で、カミカゼはロックというものをそのジャンル感というところから刷新していくような作曲者である」とおっしゃっていましたよ。

「僕ハ彼ホド『ジャンル』トイウ角度カラ音楽ヲ見テイナイノダト思イマス。コウイッタ所デ言ウ話デハ無イノデスガ、ミュージシャンノインタビュートカ、ホトンド読ンダ事ナインデスヨ。時代ノ背景トカ、ソノアーティストガ影響ヲ受ケタ音楽トカ、ソウイッタモノヲ全然知ラナインデス。ダカラ、耳デシカ音楽ヲ判断シテイナインデスヨネ。ダカラ、マナートカヲ考エズニ、A トB ヲ簡単ニ混在サセヨウトシテシマウノカモシレマセン。凄ク色ンナ人達ニ怒ラレマスガ」

■怒られるんだ(笑)。いや、でもそれは納得の行くお話だなと思います。理屈ではなくご自分の感性と発想でピンと来たものをハイブリッドしているってことだと思いますし、そういう人だからこそ生み出せる楽曲なのだと思いました。たとえば“Please Forgive Me” は、昨今のゴスペルライクなR&B やメロウなEDM とポストロック、ミクスチャーが美しく融合している楽曲ですが、これはどのようなイメージや発想で作られたんですか?

「トテモエモーショナルナ楽曲ヲ制作シタイト考エテイマシテ……イクツカテーマガアッタノデスガ、マズハ、メロディーノフロウヲ童謡ノ様ニシタイ、ト。POP ソングノヨウニ、A・B・サビ、トイッタ構成デハナク、童謡ノ様ニ自由ナ構成ニシタイ、ト。ソシテBPM ヲドンドン変エテ行キタイ、ト。ソウスル事ニヨッテアリキタリデハナク、斬新デ、エモーショナルナ楽曲ガ完成スルノデハナイカ、ト仮説ヲ立テテ、チャレンジシタ楽曲デス」

(続きは本誌をチェック!)

text by有泉智子

『MUSICA7月号 Vol.135』