Posted on 2018.06.23 by MUSICA編集部

エレファントカシマシ、金字塔アルバム『Wake Up』!
何故今これだけ芳醇かつ潔く挑戦的な曲が生まれたのか?
まさに裸一貫リスタートを切ろうとする時期だからこその
決意溢れた意志を、男・宮本、絶頂トークで飾る!

 

やっぱりエレファントカシマシは、ここからまたスタートして
新しいエレファントカシマシを探して、自分達のものにして、それが
10年後にどうなっていくのかってことをやっていかなくちゃいけないし、
やっていきたいと思ってる。だから本当に『Wake Up』なんですよ
自分達の30周年の記念アルバムだって言えるのかもしれないし、同時に、
新しいエレファントカシマシへの第一歩のアルバムであるとも言えます

『MUSICA7月号 Vol.135』より引用

 

(前略)

■考えてみると、宮本さんって攻める時のアルバムは非常にヴァラエティに富んでるんですよ。たとえば『明日に向かって走れ–月夜の歌–』や『STARTING OVER』というセールス的にも大きな結果を残した2枚のアルバムも、それぞれベクトルは違えど、どちらとしても攻めた結果としてのヴァラエティの豊かさを持っていたど思うんです。

「あー、なるほど!」

■で、今回“Easy Go”の中に<神様>という言葉がありますけど、宮本さんがこういう使い方で<神様>という言葉を歌うのは意外なわけですが。

「(笑)」

■その<神様>という言葉は、このアルバム中で最も音楽的に異色であると言えるレゲエ調の“神様俺を”という曲に繋がっているし、そして1曲目の“Wake Up”は、明確に次に“Easy Go”が来ることを念頭に置いた上でオープニング的に作られている曲だと思うんです。そして一方で、“風と共に”の中で歌われる<自由>が、7曲目の“自由”にも繋がっている。何が言いたいかというと、このアルバムは、どれも相互の因果が強い楽曲達で構成されていると思うんですよね。話が長くなって申し訳ないんですが、ご自身では、どうしてこのような形になったんだと思われますか?

「いや〜、ありがとうございます。単純にひとつは、作っている時期が長い期間にわたってるんですよ。……“Easy Go”は完成したのが1月で、おっしゃる通りそれを踏まえて“Wake Up”をその後に作ってるんですが。たとえば『東京の空』というアルバムの時に最後の最後に“この世は最高!”という曲を作ったんですけど。非常に細かい話で申し訳ないんですが、私はその前に“奴隷天国”という曲を作ってまして、それと比べると“この世は最高!”は弱いんじゃないかってことを言う人がスタッフの中にもいたんだけど、でも“この世は最高!”は『東京の空』というアルバムのオープニング曲として絶対に必要だったんです。それと同じで、“Wake Up”もこのアルバムのオープニングとして絶対に必要で………でも、だから最初はこんな4分もあるような曲じゃなかったんですよ。2分20秒くらいの、非常にオープニング然とした、力強くて一番新しいエレファントカシマシの、俺の気持ちがバシッと入ってるものにしたいっていうのがあったんです。で、作ってみたら、この<Wake Up Wake Up〜>という繰り返しと<ゆこう go go go>というのが僕は本当に凄く好きなフレーズで、それが入ったことによって、逆に4分くらいの普通の1曲になっていってしまった(笑)。それこそ『RAINBOW』の1曲目の“3210”みたいな、そういう役割プラスアルファくらいのイメージで始めた作業だったのに、もう見る見る力強くなっていって。しかもその時は“Wake Up”というタイトルは決まってないのに、これができたことでアルバムのタイトルも『Wake Up』になるという、それくらい統一感が出た!という手応えが感じられたんですよね。それくらい最新の曲から、(アルバム曲順の)最後の“いつもの顔で”と“オレを生きる”という2曲は、私が感音性難聴で入院した後、半年以上の時間をかけてようやく曲を作り始めた頃――要は“めんどくせい”(2015年9月発売のシングル『愛すべき今日』収録)と同じ時期にできた曲で。つまり、歌詞は違うんだけど、2013年の曲なんですよ」

■あ、そんなに前の曲なんですね。

「そうなんです。だからこのアルバムには2013年から2018年5月まで、5年にわたるヴァリエーションが入ってるんですよね。しかも、冒頭の説明に近いんですが、“風と共に”や“RESTART”、“Easy Go”も含め、我々の足跡と共にある曲がたくさん入ってる。だから結果的に曲のヴァリエーションが広がったというのは、絶対にあると思うんですよ」

(続きは本誌をチェック!)

text by鹿野 淳

『MUSICA7月号 Vol.135』