Posted on 2018.06.26 by MUSICA編集部

10-FEET、“Fin”Tour! 瑞々しく感慨深かった
61本中59本目の徳島公演に完全密着!
そしてすだち酒を片手にアルバム後のバンド道や
来るべき京都大作戦に向けて、3人と夜を越えて語らう

 

5年ぶりのアルバム『Fin』を引っ提げ全国を行脚した
「“Fin”TOUR 2017-2018」の徳島GRINDHOUSE公演に密着。
終演後に行った全員インタヴューと共に、
『Fin』以降の彼らの強靭かつフレッシュな進化に迫る!

『MUSICA7月号 Vol.135』より引用

 

(前略)

 定刻通り18時半から開場。16時時点で既に何十人もライヴハウスの階下に集結していた人達を含め、一気に人でフロアが埋まってゆく。この天井も低く、お世辞にも広いとは言えないライヴハウスに300人近いお客さんが注ぎ込まれた。これは間違いなく、壮絶な酸欠ライヴになることをメンバーも含め、みんなで覚悟する。そのフロアの光景が見える楽屋のモニターを背にして着替え、週末にあるミリオンロックという金沢のフェスの行程確認やパスをスタッフから渡されている。

 5分押しで行くことがマネージャーからアナウンスされる。その直後にTAKUMAが楽屋から消える。いつもだいたい彼は直前までどこかに消えて、そして静かに戻ってくる。今日もそうだった。

 気づいたが、30分ほど前から、3人が一度も顔も合わさないし話もしない。だからといって緊張感が張り詰めているわけではないが、いや――やはり独特の寡黙な緊張感が張り詰めている。

 その沈黙を突き破ったのはやはりKOUICHI。まさにステージに出ようとする時、KOUICHIがみんなの背中を叩いたり、くすぐったり、愛嬌を入れてゆく。その中でTAKUMAが「(ツアーも)あと3本! 行くぜ!」と叫び、NAOKIが屈伸しながら出て行った。そう、既に彼らのオープニングSE、ドラゴンクエストⅢの“そして伝説へ”が響き、歓声と怒号と手拍子が湧き上がっている。

 さあ、結果的にこのツアーの中でも1、2を争う酸欠ライヴが始まった――。

(中略)

■頭5曲くらいやった後のMCで、「徳島はいつも頭3曲くらいは様子見なんだけど、今日は全然違うな。最初からキてんな!」って言ってたけど、その特別感みたいなものを感じたの?

TAKUMA「そうですね。前は前で凄く感じてくれてるなって思ってたんですけど、若いお客さんが新たに入ってきたり、長年来てるお客さんも見受けられる中で、その両方があるからこそ、見た目わかりやすく激しくノる感じって最近はそんなに感じてないんですよ。盛り上がってないってわけではないし、伝わってないわけではないけど、直接的にはあまり感じてなくって。ちょっと前はそれに戸惑ったんですけど、でも見た目のノリより伝わってるか伝わってへんかが大事やなって思うようになってやってる中、今日はみんながワッて来て、ウチらの最近のライヴの中では結構激しいほうやって。それで僕は凄く嬉しくなったんで、それを言葉にしたらきっと気持ち伝わるなって思ったし、一緒にもっと盛り上がりたいなって気持ちでしたね。びっくりしました」

■僕はこのツアーを観るのは2度目なんですけど、1度目の千葉LOOKと今日と両方とも酸欠ライヴで。50本以上ずっと酸欠してるの?

KOUICHI「基本暑いですね。極端に酸素がないところも場所によってはあります(笑)」

TAKUMA「アルバムの新曲へのお客さんのリアクションも結構いろいろあるんで。これだけ長いツアーやと行ったことある回数も少ないところばっかりやから、場所によって『ここはこういう盛り上がり方するんや!』とか、リアクションが違ったりするのも面白かったりします」

KOUICHI「でも今回のアルバムの曲、みんなめっちゃ歌ってくれてるよな」

TAKUMA「それは俺も思う」

■歌いやすい曲を作ったから?

TAKUMA「確かに今までの10-FEETの作品よりは歌いやすくなってる気はするんですよ。でも歌いやすさを求めて作ったわけじゃなかったんで。前作、前々作から前進するためにどうしたらいいかってことを考えて作り上げた先に生まれた結果やから、それが凄くよかったと思うんです。自分を見てても、自分以外の仲間とか先輩とか、全然関係ない外タレとか見ててもそうなんですけど、一番売れた時期とか一番ガッと行った時期の曲、いわゆる代表曲を求められてる時っていうのがライヴであって。きっと僕らにも“RIVER”とかいろいろあると思うんですよ。で、今回のアルバムを作ってる時は、そこに対してとことん挑みたいと思ってて。たとえばフェスやと代表曲でセットリスト組んでみたいなのが普通だと思うんですけど、そのセットリストにどれだけ今回のアルバムの曲が残っていけるか、音源作ってる時はそこにすっごい挑んでたんです」

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text by鹿野 淳

『MUSICA7月号 Vol.135』